冬休みに念願の雪山登山もできて(道具も一式揃えました!)、次の目標はテントで山に泊まること。となると、荷物をできるだけコンパクトに軽くしたいわけで。そこで、“ウルトラライト=UL”を得意とするアウトドア専門店「ハイカーズデポ」(東京・三鷹)におじゃましました。
山の先輩たちから「ハイカーズデポ」のことを聞いていて「行ってみたいと思っていたんです」という井之脇さん(井之脇さん)ブルゾン¥54,000/スタジオ ファブワーク(URU) ジャンプスーツ¥70,000・インに着たカットソー¥20,000/オーラリー 靴/スタイリスト私物
井之脇海(以下井) 「ウルトラライト」ってよく僕も耳にするんですが、ただ軽いってことだけではないんですよね?
土屋智哉(以下土) もともとは「ウルトラライトハイキング」と言って、アメリカのハイキングスタイルなんだよね。アメリカはメキシコ国境からカナダ国境まで4000㎞はあって、それをザック背負って数カ月もかけて歩く人たちがいて。できるだけ荷物を少なくして体への負担を減らしてあげて、自由に歩くことを目的としているんだよね。単なるハイキングスタイルを超えて、ものを持たない、社会から解放されて自由に生きるといった哲学的、ライフスタイル的なムーブメントにもなっていくんだけど。
井 そうなんですね。
土 うちの店は、そういったアメリカのバックパッキングカルチャーというか、旅としての山道具が中心なんです。だから、軽いものを多く揃えているの。海くんは、どんな山登りが好きなの? 百名山を全部登りたいんだよね?
井 そうなんです。黙々と考え事をしながら歩くのが好きなので、長く山を歩いて旅するみたいなのは好きですね。テント泊で縦走もしてみたいです。
土 “テン泊”いいね! どれくらい休みはとれるの?
井 うーん、長くて2泊とかですかね。
土 海くんみたいに短い日数である程度の距離を歩きたい場合も、荷物は軽くて小さいほうが体力温存できていいよね。昔はテン泊するならザックは60ℓは必要だとかいわれていたけど、今はテントや寝袋も小さくなっているし、40ℓ程度でも1週間くらいはいけると思うよ。(40ℓのザックにテント、寝袋、マット、防寒着、調理道具を詰める)
井 これでテント泊のもの、全部入るんですか?
土 入るよー!
井 (そのザックを背負って)か、軽い(笑)! テントも入ってこの大きさ、この軽さなんですか! このザック自体もすごく軽いですよね。
土 そう、構造がシンプル。荷物を入れる筒に背負うベルトがついているだけで、外ポケットもない。やぶの中を歩いていても、ポケットが枝にひっかかったりしないし。布地自体が丈夫で雨にも強いから、ザック用のレインカバーもいらないでしょ。
井 荷物がひとつ減るわけかあ。中で着替えが濡れるのが心配なら、防水袋に入れておけばいいんですよね。
土 山の道具選びや何を持っていくかって、自分を知ることなんだよね。不安だからあれもこれも持っていきがちだけど、自分がどれだけ寒さに弱いかとか知っていれば、必要な防寒具がわかるでしょ。いつも、何を持っていくかではなくて、何を置いていくかだって言ってるんだけど。
井 自分を知って、何を置いていくか、ですか。
土 ザックに温度計をつけて、5 ℃のとき自分はこう感じるんだな、っていうのを知っていれば、必要なウェア選びもできるようになると思うよ。
井 温度計、持っていて「マイナスだ!」とか言って喜んでいたんですけど……。もっと山での自分を知るように意識します(笑)。