iPhone 12 Proシリーズの新機能「Apple ProRAW」の魅力とは? vol.124

昨年末のアップデートで、iPhone 12のうち、iPhone 12 ProとPro Maxの2機種のカメラで「Apple ProRAW」という形式の写真が撮れるようになりました。Proシリーズのみに搭載されたということもあって、少しマニアックな機能ではあるのですが、この機能が加わったおかげで、私的には、以前にも増してiPhoneのカメラを活用するシーンが俄然、増えました!

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Apple ProRAWは、RAWという画像のファイル形式のひとつ。私たちが普段よく見る画像ファイルのほとんどはJPEGだと思いますが、JPEGと比べて何が違うのかというと、RAW(=生)の名前の通り、カメラがとらえた色やディテールのデータがそのまま記録されているということ。その代わりファイルサイズがJPEGよりも大きくなってはしまうのですが、撮ったあとの編集・加工(こういった作業を“現像”と呼んだりします)の自由度が段違いなのです!

使い方は、カメラアプリを立ち上げ、右上の「RAW」アイコンがオンになっているかを確認するだけ。もしこの表示がされていないようであれば、設定→カメラ→フォーマットからApple ProRAWが有効になっているか確認を。

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あとは、今まで通りに撮影すればOK。画像を見るときに左上に“RAW”の表示があれば、Apple ProRAWで撮影されているということです。さっそく、お気に入りのお香を焚いているところを撮ってみました。撮っただけの写真の見た目はほとんどこれまでと変わりません。

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もちろんこのままでも、明るいところから影の部分までがはっきりと良く写っているiPhoneらしい写真だとは思うのですが、個人的には少しパキッとしすぎていることと、全体に明るすぎるのが気になります。そこで、明るさや色味などを調整してApple ProRAWの写真を仕上げてみます。

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Apple ProRAWはiOSデフォルトの写真アプリで編集することもできるのですが、オススメは多機能なAdobeの「Lightroom」というアプリを使うこと。

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Lightroomで仕上げてみた写真がこちら。全体にシャドウとブラックを濃くして、メリハリのあるイメージに。写真の好みもあるとは思いますが、撮ったままの写真よりも雰囲気ある写真に仕上がったのではないでしょうか。

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このくらいの編集であれば、RAWでなくてもできなくはないと思いますが、Apple ProRAWは色や明るさを大幅に調整したいという時に真価を発揮してくれます。例えば、カラーミキサーという機能を使って、特定の色だけ、色味や明るさを変えたり。

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青空のブルー、葉っぱのグリーン、お花のピンク、それぞれの色味を少しずつ変えたり。顔色が悪いなあ、と思った写真の唇の色だけを変える、なんてこともできます。

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Apple ProRAWの写真を現像するとき、個人的に気に入っている設定は、「効果」の項目にある「テクスチャ」をマイナス方向に少し調整してみること。

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iPhoneの写真って、とてもはっきりくっきり写るのですが、「テクスチャ」を調整すると柔らかな良い雰囲気の写真になる気がしています。手の部分を見ていただくとよりわかりやすいかも。

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肌も滑らかにしてくれるので、ポートレートやセルフィの仕上げにもオススメ。ただし、やりすぎるとぼんやりした写真になってしまうので注意です。

ゼロから編集していくのはレベルが高い、という方はLightroomの「見つける」というタブをチェックしてみて。インスピレーションのヒントになるクリエイターの作品がキュレーションされていて、その写真がどのような過程を経て編集されているのかを見ることができます。自分のイメージに近い写真があれば、設定をそのままプリセットとして保存することもできます。

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まだ始まったばかりのApple ProRAW、そのうち、写真の背景ボケなんかも色を調整するように後からいじれるようになっちゃったりするのかな、なんて個人的にはワクワクしています。iPhone 12 Pro/Pro Maxをお持ちで、写真を撮ったり加工したりするのが好きという方、Apple ProRAWとLightroomの組み合わせをぜひ一度試してみては。iPhoneographyの可能性がさらに広がりますよー!

市川 渚プロフィール画像
市川 渚

ファッションデザインを学んだのち、海外ラグジュアリーブランドのPRなどを経て、2013年に独立。クリエイティブ・コンサルタントとして国内外の企業、ブランドのプロモーション企画/ディレクションに関わる。
また自身でのクリエイティブ制作にも注力しており、フォトグラファー、動画クリエイター、コラムニスト、モデルとしての一面も併せ持つ。強い服と少し先の未来を垣間見られるデジタルプロダクトが好き。

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