ニッポンのエンタメ界を牽引し、各方面で引っ張りだこの活躍を見せる佐久間宣行さん。中堅のポジションが抱えがちな後輩や部下への仕事の任せ方。佐久間流のメソッドを聞いた
今月のお悩み
後輩に仕事を任せられない!(35歳・会社員)
後輩や部下が増えてきました。上司としての成長のためにも、後輩や部下の育成のためにも業務を任せたほうがいいのはわかっています。が、目先の仕事の完成度にとらわれ、自分ですべてを背負いがち。仕事を任せることができません。佐久間さんは、後輩や外部スタッフにどうやって仕事を任せ、手放していますか?
佐久間Pからの回答
領域外の仕事は有識者に任せ、領域内は本気で教えてから手放す
人に仕事を任せるのって難しい。自分が請け負うのと、誰かに託すことのバランスで、僕もたくさん失敗してきました。
行き着いた方法は、まず自分が得意じゃない領域外と領域内の仕事に分けること。領域外なら意図とビジョンだけ共有したら、あれこれ言わずに任せます。僕の仕事で言えば、タイトルまわりなどのデザイン関連。あと、最近ではNetflix「LIGHTHOUSE」の星野源さんのMV部分がそう。そのほうが作品のクオリティが上がるし、想像外の場所にたどり着けるからです。
一方、領域内は「そこまでやる!?」と驚かれるほど最初はガッツリ関わる。新番組が始まるときは、タレント打ち合わせからコーナーの分会、収録まで、初回はフルコミット。従来にありがちな部下に「自由にやってみて」と伝え、いざ仕上がったら「なんか違うな。やり直し」を繰り返すやり方は、結果的にロスが多く、不満足な仕上がりになるとわかったので。
2回目以降は、僕が言語化した内容や進め方の目標点が共有できたスタッフには、どんどん任せていく。僕だけの基準じゃない視点が加わって「面白い」の幅が広がるし、人材も育つ。その土壌をどの現場にも作ったら、任せられるスタッフをチームごとに配置する。結果、お互いの工数を減らせるので、テレビからYouTube、配信番組まで多くの作品に携わることができます。
仕事って、つい抱えてしまいがち。でも、うまく手放さないと、勝負したい仕事が舞い込んでも全力でコミットできず、結果が残しにくい。チャンスはいつ飛び込むかわからない。だからこそ、リソースを割く準備をしておきましょう。現場で働ける期間って、案外短いですし。
今回は、取り寄せの中でも競合の激しいチーズケーキに挑んだ三ツ星レストランのシェフの味を。真正面から勝負に挑み、徹底的にこだわったそれは、カッコよく、そしてとてもおいしいです。
佐久間Pの今月のおすすめスイーツ:「カンテサンスのガトーオーコンテ」
ミシュラン三ツ星シェフの岸田氏が作るチーズケーキの集大成。36カ月熟成のコンテチーズを贅沢に使った濃厚なベイクドチーズ、ブレンドしたレアチーズ、ナッツ入りのタルト生地の3層構造。
https://omakase.in/r/pp480798
※取り寄せ可
さくま のぶゆき●TVプロデューサー&ディレクター。「オールナイトニッポン0(ZERO)」のパーソナリティ。「DMM TV」のこけら落としとなるシリーズ2作目、完全新作コント番組「インシデンツ2」を配信中。