作って楽しく、食べておいしい。あると心強くて安心するもの。単なる効率や時短ではなく、季節を感じながら健やかな自分を持続させるための保存食。
今月はしっとりと滋味深い味わいの焼き菓子。「バターと砂糖を鍋で煮溶かしてから粉に混ぜるレシピは、イギリス菓子でよく見かける作り方。しっとりと詰まった生地にするために、泡立てないように気をつけながらよく混ぜるのが最大のコツです。
ブランデーは、食べたときにしっかり感じるように多めに入れること。小さい瓶で買っておくとお菓子作りに便利ですよ」。ブランデーの代わりに、ウィスキーやバーボンでも。コアントローなどのリキュールなら、半量くらいにするとちょうどいい。
「栗のはちみつなど、少し個性的なはちみつを使って風味を楽しんでも。軽く泡立てた生クリームやいちごを添えるとクリスマス気分に」。時間がたつほどに、ブランデーやはちみつがゆっくりとなじんで味わい深さを増す。こんな焼き菓子があれば、幸せな冬のティータイムがかなう。
材料(10×15×5㎝のパウンド型・1台分)
- 卵
- 大2個
- 薄力粉
- 120g
- てん菜糖
- 40g
- ベーキングパウダー
- 小さじ1
- はちみつ
- 80g
- 無塩バター
- 70g
- ドライブルーベリー
- 30g
- 牛乳
- 大さじ2
- ブランデー
- 40㎖
作り方
❶薄力粉とベーキングパウダーは合わせてふるい、大きめのボウルに入れておく。パウンド型に合わせて切ったオーブンシートを敷く。テフロン加工の型の場合はごく薄く油を塗るか、なしでもOK。
❷鍋にバター、てん菜糖、はちみつを入れ、弱めの中火にかける。木べらで静かに混ぜながら煮溶かし、バターと砂糖が全部溶けたらブランデーを加えて弱火で2分ほど混ぜながら煮つめる。とろりとしたら火からおろして粗熱を取る。
❸卵をボウルに割り入れ、牛乳を加えて溶きほぐす。泡立て器を左右に動かしてさらに混ぜ、細かい泡が立ってきたら、粗熱が取れた②に加えてなじむまでよく混ぜ合わせる。
❹粉の入ったボウルに、③を2回に分けて加え、そのつど混ぜる。オーブンを170℃に温める。
❹④の生地の半量を型に流し、ドライブルーベリーを散らす。その上に残りの生地を流し入れ、型を10cmほど持ち上げて何回か台に落とし、気泡を抜く。大きな気泡があれば竹串でつぶす。オーブンに入れて25~30分焼き、ふくらんで焼き色がついたら取り出す。型から出してケーキクーラー(なければざるなどでも)にのせ、粗熱が取れたらラップをかぶせて冷めるまでおく。
「焼き菓子をおいしく保存するには乾燥させないこと。ラップにしっかりと包み、長く置きたい場合はさらにアルミホイルで包むといいですよ」。サイズの合う保存容器がない場合は、焼き型に入れて保存しても。「形も崩れにくく、おすすめです」。密封し涼しい場所で約3週間保存可能。
PROFILE
ながお ともこ●フードコーディネーター。雑誌等で活躍するかたわら、スープをテーマにしたオンラインストア(soup-s.shop)を展開。「ただ今、新作のディナー皿を試作中。11月末頃に登場の予定です。念願の北欧ヴィンテージのグラスもラインナップに加わりました」。まめにチェックして、お気に入りを見つけて。vegemania.com
SOURCE: SPUR 2021年12月号「長尾智子の保存食レシピ」
photography: Masahiro Sambe text: Kaori Okuda