長尾智子さんに教わるのは、友人を訪ねたり、みんなで集まるときのための"誰かのための料理"。「持ち寄りの楽しみは工夫すること。コンパクトにまとめて、行き先で盛りつけて食べて、始末よく終わるのが理想」。おいしい時間を共有するためのレシピをご紹介。
秋なすを主役にした手軽な2品で、アペロにも軽いランチにもなる持ち寄りを。
「なすは気楽に調理できる野菜で、火が通りやすく、料理の仕方で味の印象が変わります。作り置きのアグロドルチェと、その場で焼くシンプルなチーズ焼き。同じ素材で違う料理を楽しむのも新鮮」。アグロドルチェは、甘酸っぱい味つけのイタリア風惣菜。
「赤ワインビネガーと砂糖で煮込む作り方もありますが、バルサミコ酢を使うと失敗がなく、コクがあってほどよい甘酸っぱさに。温冷どちらでもおいしく、前菜やつけ合わせにぴったり」。チーズ焼きはやや多めの油で揚げ焼きに。
「加減はこんがりとした色で判断し、あとは余熱で。オリーブオイルや衣は多めに用意して」。1品は仕上げて持って行き、もう1品はその場で調理するというアイデアも応用できそう。
「自分もラクでみんなも楽しいので、ぜひお試しを」
材料
なすのアグロドルチェ&チーズ焼き
〈なすのアグロドルチェ〉
なす
中3本
パプリカ(赤・黄)
各小1個
万願寺唐辛子
4本
マッシュルーム
6〜7個
にんにく
1片
塩
適宜
オリーブオイル
適宜
バルサミコ酢
大さじ4
〈なすのチーズ焼き〉
なす
中4本
パルメザンチーズ
約100g
パン粉
約70g
タイムの葉
3〜4本
塩
少々
オリーブオイル
約200㎖
〈つけ合わせ〉
好みのパン
適宜
じゃがいも
小7〜8個
〈下準備〉なすのアグロドルチェを作る。なすは両端を切り落とし、縦2等分して厚さ2㎝に切る。パプリカはヘタと種を取り、ひと口大の角切りにする(細長いものなら厚めの輪切りにする)。万願寺唐辛子はヘタを切り、3㎝に切り分ける。マッシュルームは石づきを少し切り、縦に2等分にする。にんにくは皮をむいて2等分し、芯をはずす。つけ合わせ用のじゃがいもは洗い、皮をつけたまま水からゆで始める。
鍋にオリーブオイル大さじ2とにんにくを入れ、弱火にかける。温まってきたら、なす以外の野菜を入れて塩をふり、中火で炒め合わせる。蓋をして、弱火で2分ほど蒸し煮する。なすをのせ、オリーブオイル大さじ1を回しかけ、塩少々を軽くふって全体を混ぜる。バルサミコ酢を加え、混ぜながら水分を飛ばすように煮る。野菜がしんなりして、煮汁が少し残る程度で火を止める。
①のじゃがいもが柔らかくゆで上がったら水気を切り、粗熱をとって熱いうちに皮をむいて塩をふる。②のアグロドルチェ、ゆでたじゃがいも、なすのチーズ焼きの材料を適宜、容器に詰める。
〈仕上げ〉なすのチーズ焼きを作る。なすは両端を切り落とし、厚さ2.5㎝程度(5~6等分)に切り分ける。パン粉をバットかボウルに入れ、パルメザンチーズを30gほどすりおろして加え、塩少々も軽く加えて混ぜる。なすの切り口両面に水をつけ、チーズ入りパン粉に押しつけるようにして両側に満遍なくつける。全部つけ終わったらバットなどに並べておく。フライパンを弱火にかけ、オリーブオイルの1/4くらいを温める。温まってきたらなすを並べ入れる(フライパンの大きさによって2回に分けても)。下面がこんがりと焼けたら上下を返し、様子を見てオリーブオイルをなすの間に回しかけながら焼く。焼き上がったものからキッチンペーパーに取り、油を切ってから器に盛り合わせる。盛ったなすに、グレーターかおろし金でチーズをたっぷりおろしかけ、タイムの葉を散らす。アグロドルチェも盛り、ゆでたじゃがいもやパンを添える。
今月のお気に入り
素材を細かくおろすのに便利なグレーター
「ベーシックなタイプはマイクロプレインというメーカーのもの。塊のチーズなら、まな板にチーズを置いてグレーターを動かすとおろしやすいです」。右の小さなほうはナツメグなどのスパイス用で、ジャカードのもの。「食べる直前におろすおいしさは格別なので、ぜひ使ってみて」
フードコーディネーター。雑誌や書籍で活躍する一方、オリジナルの器やスパイスミックスを扱うオンラインストアSOUPsを展開。「秋頃からは、ずっとアイデアを温めていた真っ赤なコンポートなども販売予定。乞うご期待」