「旅の楽しみのひとつは、知らなかった味に出合うこと」。現地の味を思い出したり、まだ見ぬ土地を想像しながら生まれたレシピが、旅情を刺激する。いつもの食卓で、非日常を味わおう。

寒い季節によく似合う「京都の亀山」のレシピ【長尾智子の旅する食卓】
「旅の楽しみのひとつは、知らなかった味に出合うこと」。現地の味を思い出したり、まだ見ぬ土地を想像しながら生まれたレシピが、旅情を刺激する。いつもの食卓で、非日常を味わおう。
亀山とは
京都など関西の一部で、汁気のないぜんざいを指す昔ながらの呼び名。小豆の産地、丹波の亀山から来ているなど、名前の由来には諸説ある。老舗甘味処の品書きによく登場し、餅にゆで小豆を添えて提供されることが多いが、白玉を使ったり、店ごとに少しずつ特徴が異なる。
和の甘味といえば、お汁粉やぜんざい。東西で定義が違ったり、餅や白玉、餡のちょっとした違いで名前が変わるのも面白い。京都では、汁気のないぜんざいを"亀山"と呼ぶ慣習がある。「亀山は、お餅にゆで小豆を添えたおやつ。本来は餅ですが、以前よく通っていて、今は残念ながら閉店してしまった京都の店のものは、小さな白玉にゆで小豆がたっぷり添えられていました。それがとてもおいしかったのを忘れられず、亀山といえば白玉で作っています」。
上手に小豆を煮るコツは水にしっかり浸けて戻すこと。「煮えてくるとつぶれやすいので、そっと混ぜて。煮汁は多めに残し、お汁粉のようにしてもおいしい」。白玉は弾力を出すためによく練るのが大事。「ボウルから取り出して、平らな場所でパンをこねるようなイメージで作業すると楽です」。
せっかく手作りした和の甘味なら飲み物にもひと工夫を。「ふわっとたてた抹茶を甘酒に加えると、ほどよく苦みのあるおいしい飲み物に」。
寒い季節によく似合う甘味と、小さなお茶会を楽しんでみては。
材料&レシピ
京都の亀山
小豆
250g
てん菜糖
180g
黒糖(粉末)
30g
塩
ひとつまみ
白玉粉
120g
てん菜糖(白玉用)
小さじ1/2
甘酒
約300㎖
抹茶
小さじ1
小豆は瓶に入れ、水をたっぷり注いで半日おく。小豆が十分にふくらんだら水を切って鍋に移し、かぶるくらいの水を注いで中火にかける。煮立ってきたらざるに上げて湯を切る。小豆を鍋に戻し、再びたっぷりの水を注いで中火にかける。それを2回繰り返し、3回目に水を注いだら、軽く煮立つ程度の火加減で約30分煮る。
①の小豆が柔らかく煮えて、指ですぐ潰れるくらいになったらいったん火を止める。このとき、水分がある程度残る状態がよいので減っていたら水を少し足し、てん菜糖と黒糖、塩を加えて木べらでそっと混ぜる。弱めの中火にかけて、焦げつかないように注意しながら時々混ぜる。約15分ほど煮て火を止め、そのまま冷ましておく。
鍋にたっぷりの湯を沸かす。冷水を入れた大きめのボウルを用意しておく。別のボウルに白玉粉とてん菜糖を入れて混ぜ、水120㎖を回しかけてゴムべらでざっとまとめる。指で小さく丸めてみて、粉っぽさが残って固いようなら水を小さじ1ずつ足して混ぜ、扱いやすい固さに調整する。乾いたまな板にのせる。
③の白玉生地をしっかりと手でこねる。つやが出てひとまとまりになったら端から小さくちぎって丸め、中心を軽く押してくぼみを作り、順に沸騰した湯に落とす。先にゆでた白玉から浮き上がってきたら、20秒くらいそのままゆでてから冷水のボウルに移し、粗熱を取る。
②のゆで小豆と4の白玉を器に盛り合わせる。抹茶はボウルに入れて70~80㎖の湯を注ぎ、茶筅か小さめの泡立て器でしっかりとたてる。温めた甘酒をグラスに入れ、上から泡立てた抹茶を静かに注ぐ。
ながお ともこ●フードコーディネーター。フードコーディネーター。オンラインストア、SOUPsを展開。「念願のグラタン皿がやっと完成。小ぶりなので、グラタンに限らず香ばしく仕上げたい料理に気楽に使えて重宝するはず」




