サロン書齊
髙橋優香さん ブックキュレーター。小宮山書店に5年間勤務し、2023年に独立。昨年アポイント制のブックストア「Hi Bridge Books」を代々木八幡にオープン。
アートピースを傍らにお酒を嗜む社交場
「大人が楽しめる場所を」との思いで、アートや写真集を専門とする小宮山出版の飲食部が同ビルの5階に31年前にオープン。文豪、経営者、政治家など、そうそうたる面々が訪れてきた名店だ。「細江英公氏が撮影した三島由紀夫のポートレートプリントや荒木経惟氏のドローイングなど、貴重な作品が店内に飾られています。年代ものの調度品に囲まれていると、まるでタイムスリップしたような気持ちに。わいわい盛り上がるのではなく、素敵な空間で静かにお酒と会話を楽しむ雰囲気が素晴らしいです」。開店当初から一貫してスタッフは全員女性。若い世代や一人客も温かく歓迎してもらえるため、気軽に足を運んでみて。
1・2 写真集『薔薇刑』(集英社)に収録された三島由紀夫の大判プリントがひと際存在感を放つ。ほかにも、夏目漱石の手紙、ウィリアム・クラインのプリント、井上ひさしの色紙など、普段なかなかお目にかかれない品々が飾られている。オーナーが定期的に変える花のアレンジにも注目を。下の階にはカラオケルームも用意されている
東京都千代田区神田神保町1の7 小宮山ビル 5F 03-3259-1234 営業時間:18時~23時 定休日:土・日曜 チャージ料¥3,000 Instagram: @salon_shosai
ブックハウスカフェ
柚木麻子さん 小説家。2008年『フォーゲットミー、ノットブルー』でオール讀物新人賞を受賞。最新短篇集『あいにくあんたのためじゃない』(新潮社)が現在発売中。
記憶に残る読書体験を提供するために
2017年オープンの絵本と児童書の専門書店。大人にもファンが多く幅広い年代の人が訪れる。本を選ぶだけでなく心に刻む時間を過ごしてほしい、とカフェを併設した。「まるで英国児童文学に迷い込んだような、二本の大理石でできた柱、煉瓦仕上げ、天井の高いドラマティックな路面店。らせん階段や壁一面の本棚で囲まれたカフェにわくわくします。書店員さんたちが心から推薦する児童書のみを並べているので、本を読むのがただただ楽しかったあの頃に戻り、時間を忘れてしまう」。原画展や読み聞かせなどのイベントを毎日開催。さまざまな施策には、子どもたちが大人になって、また子どもを連れてきてほしいという願いが込められている。
3 ビルの裏手にある扉を開けるとバーが出現! ランプが点灯しているのが開店中の印4 開放感あふれる店内の真ん中にカフェスペースを設置。
東京都千代田区神田神保町2の5の3 北沢ビル 1F 03-6261-6177 営業時間:11時〜18時 無休(年末年始を除く)https://bookhousecafe.jp
キッチンカロリー
ぼる塾 田辺さん 芸人。お笑いカルテット「ぼる塾」のメンバーとして活躍中。YouTube「ぼる塾田辺の食べるわよチャンネル」が好評。「神保町よしもと漫才劇場」に所属し、定期的にステージに立つ。
愛があふれる"高カロリー飯"がここに
「お気に入りのメニューはカニクリームコロッケ鉄板焼! 鉄板のおかげで熱々の状態で食べられます。おなかが空いてるときのごはんに最高。口いっぱいに頰張れる幸せを満喫できます」。昭和28年に洋食店として創業してすぐ、パスタの上にニンニクじょうゆで味つけした牛バラ肉を盛った名物のカロリー焼きが誕生。当時神保町は戦後間もない学生街だったため「おなかいっぱいになれるカロリーたっぷりなものを作ろう!」という思いが始まりだった。有機の玉ねぎやイタリア産パスタなど、厳選した素材を使用。令和になった今も「安い、ボリューム満点、おいしい」の三拍子揃った料理で愛され続けている。
5 カニクリームコロッケ鉄板焼(¥890)。味噌汁がつくのは平日のみ。カロリー焼きの上にベシャメルソースから手作りするコロッケをトッピング
東京都千代田区神田小川町3の10 江本ビル 1F 03-3291-3266 営業時間:11時〜16時 定休日:木曜
神保町やきそば威風みかさ
佐藤栞里さん 2001年にモデルデビュー。多くのファッション誌で活躍する一方、タレントとしても人気に。仕事などで神保町に通うこと15年以上。
もちもち麺と濃厚ソースに悶絶!
メニューはやきそばのみの、行列ができる人気店。その秘密は毎日お店で製麺している生麺にある。調理前にゆでてから焼くことで、ハリツヤのあるもちもちとした食感に。具材を炒める香ばしい醤油ベース、卵の上にかける甘辛い追いがけ用、など風味の異なるソースを駆使して奥行きのある味わいを作り上げている。「父に教えてもらったのが来店のきっかけ。いい意味で"べったべた"の濃厚なソースが、具材と麺にこれでもかと絡まります。たくさん頰張ると口の中が幸せでいっぱいに! さすが親子、私の好みをよく知ってるな〜と父とハイタッチした思い出も」
6 もやし、キャベツ、ねぎ、豚バラ、卵が入ったやきそば(¥900)。ソースのほかに塩も用意。プラス¥100でイカとエビのトッピングも可能
東京都千代田区神田神保町 2の24の3 03-3239-5110 営業時間:11時〜21時(売り切れ次第終了) 定休日:日曜 http://mikasain.com
PASSAGE by ALL REVIEWS
佐々木静代さん 神保町にある韓国書籍専門のブックカフェ「チェッコリ」の宣伝広報担当。イベント開催、書籍の取り寄せ代行、スペース貸し出しなども行なっている。
本を介したコミュニケーションスペース
フランス文学者の鹿島茂さんがプロデュースする一棚貸しの共同書店。書評サイト「ALL REVIEWS」の利用者が推す本が並ぶ実店舗があったら面白い!という発想から生まれた。「作家や出版社、研究者、翻訳者などさまざまな人々がセレクトした書棚は、個性があふれていて、新しい本との出合いの宝庫。同じ本屋として、そのワクワク感をどうすれば自分たちにも生かせるのか、と刺激をもらっています」。オリジナルシステムで商品を管理し棚主の負担を軽減。WEB上で売れた本の発送も行う。徒歩1分の場所には、約600棚を備える3店舗目の「PASSAGE SOLIDA」が先日オープン。
7・8 パリの古書店をイメージした美しい店内。一棚¥5,500〜誰でも棚主になることができる。新刊、古書のほかポストカードなどの雑貨も販売可能。作家の棚にはサイン本も多く並ぶ
東京都千代田区神田神保町1の15の3 サンサイド神保町ビル 1F 営業時間:12時〜19時 不定休https://passage.allreviews.jp
girotondo
窪田裕介さん 山梨県北杜市長坂にあるヨーロッパのナチュラルワイン専門店「Soif」のオーナー。今年1月、神保町に「Soif Tokyo」がオープン。山梨と東京で二拠点生活を送る。
仕入れから提供まですべてが丁寧な本格イタリアン
「季節の素材を生かした滋味あふれるイタリアの郷土料理と、厳選されたナチュラルワインが抜群においしい。体と心に染み渡ります。大切な人と伺いたいお店です」。イタリアで修行をしたオーナーソムリエの村上さんとシェフの阿部さんが営む。おいしいことは最低条件で、生産者の想いやサステイナビリティも考慮して仕入れを行なっている。料理とワインはお客さんの好みを考慮しながら的確におすすめし、満足してもらうために常にベストを尽くしている。
9・10 イタリア産グリンピースを使った手打ちパスタ、タリオリーニ(二人分¥2,600・写真は一人前)。ワインはヴィンテージも用意。グラス(¥1,000〜)、ペアリング(2杯分¥2,800〜)
東京都千代田区神田神保町1の36の1 新神保町ビル 1F 03-5244-5245 営業時間:17時〜24時、15時〜22時(土) 定休日:日曜 Instagram: @girotondo_jinbouchou
Tea House TAKANO
林士平さん マンガ編集者。『チェンソーマン』や『SPY×FAMILY』など話題作を担当。仕事で神保町に通うこと18年。
こだわりの一杯に癒やされて
日本で2番目に誕生した紅茶専門店で、今年10月1日に創業50周年を迎える。「茶葉の種類が豊富で、どこか懐かしい空気が流れているのが魅力。連載作家さんとの打ち合わせでよく利用しています。品種の説明がしっかり書いてあるメニューを読むのも好きで、毎回違うものを頼み味の違いを楽しんでいます」。オーナーの高野さんが毎年さまざまな産地の出来をチェックし「おいしい!」と思ったものだけを提供。抽出に適した100度をキープしながら淹れた極上の1杯を求めて客足が絶えない。
11・12 ミルクでいただくセイロンティー(¥600)。ポットやカップはすべてオリジナル。手作りのスコーンはブレッドウォーマーにのせて提供(2個¥500)
東京都千代田区神田神保町1の3 寿ビル B1 03-3295-9048 営業時間:11時30分〜19時、〜18時30分(土・祝日) 定休日:日曜https://www.teahouse-takano.com