注目を集める【麻布台ヒルズマーケット】のスペシャルな3軒

2024年3月「麻布台ヒルズ マーケット」がオープンした。約4,000㎡のフードマーケットに、「日本の食文化の豊かさを伝えたい」という想いのもと、日本を代表する専門店34店が集結。東京初出店、新業態も目白押しの食の楽園だ。数々の注目店の中から、“食”専門ライターが推す3軒を紹介する。

【クスダ シャルキュトリ メートル アルティザン】兵庫発、シャルキュトリーの専門店

麻布台ヒルズ クスダ シャルキュトリー メートル アルティザン
上質な大理石のカウンターが、広いマーケット内でひと際目を引く。

まず注目したいのが兵庫県芦屋の『メツゲライクスダ』の東京初出店だろう。「メツゲライ」とは、ドイツ語でハムやソーセージなどの食肉加工品を扱う店のこと。2004年、神戸に開業した同店は、日本におけるその先駆けで、販売中心の小さな店を目指し全国からおいしいもの好きがわざわざ足を運ぶことで知られる。筆者もその一人で、シャンボンブランやソーセージの比類なきおいしさに打たれ、関西出張などの機会に乗じ、何度か買い物に行ったことがある。創業から20年目にして、兵庫以外で初めての店舗のオープンはビッグニュースだ。

 

麻布台ヒルズ クスダ シャルキュトリー メートル アルティザン
芦屋店同様、ディスプレーのセンスもアーティスティック。

『クスダ シャルキュトリ メートル アルティザン』は、芦屋店に併設された工房で製造されたアイテムの中から厳選されたものが小さな店舗にずらりと並んでいる。オーナーの楠田裕彦さんは、ドイツやフランスで技術を学んだシャルキュティエ(食肉加工職人)で、国産の素材を生かしながら欧州の伝統が薫る味作りはトップシェフたちも口を揃えて絶賛するほどだ。訪れるだけで贅沢な気分に浸れる店作りも芦屋店に同じで、特別な大理石を用いたカウンターや、フランス製最高級ブランド「ヴィスメール」のスライサーのプロダクトとしての美しさも、ショッピングの楽しみを後押ししてくれる。ホームパーティなどの手土産に困ったらここへ、という日々がしばらく続きそうだ。

麻布台ヒルズ クスダ シャルキュトリー メートル アルティザン
フランス製最高級ブランド「ヴィスメール」社のスライサー。切りたての味は格別。

クスダ シャルキュトリ メートル アルティザン

ガーデンプラザC B 1F 麻布台ヒルズマーケット
https://www.azabudai-hills.com/shop_list/1024.html
https://metzgerei-kusuda.com/

【インタートワイン・ケーエム 山仁】マスター・オブ・ワインが率いるワインショップ

麻布台ヒルズ インタートワイン ケーエム
産地ごとに並ぶワインが壮観。プロのスタッフが丁寧に接客してくれる。

ワインラヴァ―を沸かせているのが『インタートワイン・ケーエム  山仁』。マスター・オブ・ワイン(MW)の大橋健一さんが世界80以上の生産国からセレクトした約1,000アイテムのワインに加え、日本酒、本格焼酎がゆったりとした店内にずらりと並ぶ。マスター・オブ・ワインは、世界にわずか400数名しかいない最難関の称号で、日本で唯一の保持者である大橋さんは、世界最大級の日本酒審査会「インターナショナル・ワインチャレンジ」で共同議長を務める、日本が世界に誇る酒類のスペシャリストだ。大橋さんが代表を務める栃木県宇都宮市の『山仁』は、コアなワイン好きには有名な酒販店で、筆者も15年ほど前、まだ扱う店の少なかったナチュラルワインを通販で買い求めたことを覚えている。

麻布台ヒルズ インタートワイン ケーエム
コンポーネントペアリングのスタンディングカウンターは6席。

各産地の伝統や重要な造り手を抑えつつ、新たな産地や新進の造り手のワインも揃うセレクトから、世界のワイン市場の「今」が見える。デイリーレンジからスペシャルキュヴェまで価格帯も幅広く、いつ訪れても必要なものが見つかるはずだ。もう一つ、特筆すべきがペアリングの第一人者でワインテイスターとして活躍する大越基裕さんが監修する「コンポーネントペアリング」が体験できるカウンターがあること。コンポーネントペアリングとは食材や調味料と飲料の相性をピンポイントで見つけ出す考え方で、自宅でも簡単に応用できる。考え方を覚えれば、世界が羨望する同店のワインセレクションが、家飲みの時間をより豊かに彩ってくれるはずだ。

麻布台ヒルズ インタートワイン ケーエム
シャブリ・クロ・ベル モノポール2018には、モナカの皮にのせたクリームチーズ、ちりめんじゃこを合わせて。

インタートワイン ケーエム 
ガーデンプラザC 1F 麻布台ヒルズマーケット
https://www.azabudai-hills.com/shop_list/1002.html
https://intertwine-km.jp/

【根津松本 麻布台】クオリティを極めた高級鮮魚店

麻布台ヒルズ 根津松本 麻布台
『根津松本 麻布台』の店内。ゆったりと買い物ができるレイアウト。

魚の目利きと扱いで絶大な信頼を得る根津の鮮魚店『根津松本』の出店にも注目したい。代表の松本秀樹さんが全国の漁場から集めた、いわく「最高の、そのまた上」を意味する「一の線」の鮮魚を買える場所が、東京にもうひとつできたのは嬉しい限りだ。自家製の干物も逸品揃い。冷蔵のショーケースを覗けば、見たこともないようなサイズの真ほっけや深紅の紅鮭、鏡のような太刀魚などが、見た目からしてただならぬオーラを放っている。

根津松本 麻布台
魚の上質さがビジュアルからも伝わる。鍋のセットやフライ用に衣を付いた魚も。

『根津松本』といえば、豪華なちらし寿司や海苔弁当も有名だが、根津の本店では予約がマストなこれらを、麻布台ヒルズ店では予約なしでも購入できる点は覚えておきたい。宝箱のようなちらし寿司はもちろん、厚切り紅鮭や銀鱈の西京漬けなどが美しく盛り付けたられた海苔弁当も、その概念を覆す贅沢さだ。豊富な商品知識を持ち、ホスピタリティに長けたスタッフの接客もまた“一流”で、気持ちが良い。日本料理店や高級寿司店でしか目にすることができなかった極上の魚を、自宅で味わう贅沢。その機会は、これまで以上に増えそうだ。

根津松本 麻布台
人気の品の一つ、めざし。本店では背黒いわしで作るが、ここでは真いわしで。
注目を集める【麻布台ヒルズマーケット】のの画像_10
上質なすしだねがたっぷり、彩りも美しい。特製ちらし寿司3,780円~(内容は時期代わり)。

根津 松本 麻布台
https://www.azabudai-hills.com/shop_list/1007.html
ガーデンプラザC B 1F 麻布台ヒルズマーケット
https://nezu-matsumoto.jp/


麻布台ヒルズマーケット公式

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