【北海道】内田 悠の盆
吉田佳世さん(スタイリスト)
北海道三笠市に工房を構える木工作家の内田悠さん。素材自体を生かしたデザインが特徴で、木材に合わせた
"かたち"、加工方法を採る。「木製食器は、どうしてもほっこりした印象になりますが、内田さんの作品には、繊細さがある。同時に木そのものが持つ雑味も残した独特のムードが好きです」。一つひとつに木目の出方、色などに個性があるのも魅力。
内田 悠の盆 φ330㎜ イタヤカエデ 鉄媒染¥29,700/Mitsuki https://gallery-mitsuki.com
【青森県】南部裂織(さきおり)kofuのブックカバー
栗本千尋さん(フリーランス エディター/ライター)
「寒冷な気候ゆえ綿の栽培が困難で、貴重だった木綿や古手木綿を再利用する知恵から生まれた"南部裂織"。服を細く裂いた布を横糸に、木綿糸を縦糸にして織るから暖かいうえに丈夫。こちらは地元の企業『金入』のオリジナル柄です」。温かみあふれるタータンチェックのようなテキスタイルは、クラフト感たっぷり。使い込むほどに柔らかさが増す。トートバッグやポーチなども。
南部裂織(さきおり)kofuのブックカバー¥4,400/東北スタンダードマーケット https://tohokuru.jp
【秋田県】イタヤ細工の盛皿 鉄線編み
佐藤里沙さん (スタイリスト)
地域で採れる素材を用い、編み方によって独創的な柄を表現する編み組み細工。秋田県仙北市では、白木の繊細さが際立つイタヤカエデの若木を使用。「軽くて丈夫で、濡れてもすぐに乾く。経年によって飴色に変化、使いながら完成されていくところも魅力です。朱色(φ24×高さ3.5㎝)のほか無彩色や、黒とグレーの3色バージョンも」。果物やパンなどをのせるだけで食卓が鮮やかに。
イタヤ細工の盛皿 鉄線編み¥6,600/東北スタンダードマーケット https://tohokuru.jp
【宮城県】櫻井家の伝統こけし
佐々木桃子さん(スタイリスト)
「宮城県では町中で頻繁に目にしたり、子ども時代には手作り体験をしたりと県民の心に深く刻まれているこけし。櫻井家は、特別表情が可愛く、モダンな色彩が素敵。お雛様として飾れる"ひいな"にも注目しています」。伝統を受け継ぎながらも新しい型、色彩を取り入れ挑戦を続ける老舗。ブランドを代表する"帽子のこけし"はベレー帽、ニット帽などバリエーション豊か。
鉄兜のこけし¥7,150/桜井こけし https://sakuraikokeshi.jp/
【岩手県】鈴木盛久工房の蚊遣り
中村佳明さん(『LOCALERS』オーナー)
南部鉄器の老舗として、江戸時代より良質な鉄器製品を作り続ける鈴木盛久工房。帽子掛け、カードフォルダなど多様な製品を手がける中のひとつが蚊遣り。「蚊取り線香をセットして実用するもよし、夏の風物詩としてオブジェ的に楽しむのもおすすめです。フランスのショップ、OGATA Parisでも展開しており、現地で見かけたときは自分のことのようにうれしかったです」。
鈴木盛久工房の蚊遣り¥13,200/鈴木盛久工房 https://morihisa.stores.jp/
【山形県】工房ストローの蛍かご
庄司真吾さん(『BULLPEN』共同オーナー)
元来は、蛍や鈴虫を入れる虫かごとしての用途で考えられた本作。藁の硬い芯部分のみを使っているため、耐久性にも優れている。底が尖ったらせん形状のハンギングタイプは、モビール感覚でオブジェとして飾っても。「工房ストローは伝統的な藁細工を使った美しいプロダクトを作っているのが素敵。同じく藁で作られた"わらほうき"も愛用しています」。
工房ストローの蛍かご Mサイズ(全長約30㎝)¥7,920/工房ストロー https://kobo-straw.com
【福島県】白木屋漆器店の古代朱 5.0 椿皿
安齋喜美子さん(ワイン&フード ジャーナリスト)
山紫水明の地に加え、歴代藩主の保護により全国有数の産地に成長した会津塗り。白木屋漆器店は、約370年前に創業。伝統を守りつつ現代の暮らしに寄り添う漆器も展開。「チーズやチョコレートなど、おつまみやお菓子を盛るだけで洒落た感じに。プレゼントにも最適で、シャンパーニュメゾンの最高醸造責任者の方に贈ったら『グラスの横に置いても素敵ね』と喜んでいただけました」。
白木屋漆器店の古代朱 5.0 椿皿¥5,830/白木屋漆器店 https://www.shirokiyashikkiten.com
【栃木県】郡司製陶所の飴釉オーバル皿(大)
西﨑弥沙さん (スタイリスト)
益子町にある成形を担当する郡司庸久さんと、絵つけや彫り絵を行う慶子さん夫婦の製陶所。釉薬の調合や窯温度を微妙に調整し、色と形にこだわった器は「民藝でもなければ個性派の作家ものとも違う、日々の食卓の風景に寄り添いつつモダン。オーバル皿は使用頻度も高く、和洋エスニック、どんな料理にもなじみます」。写真の濃あめのほか、郡司さんの作品は白や黒、薄あめも。
郡司製陶所の飴釉オーバル皿(大)¥8,250/うつわ祥見 KAMAKURA concierge ☎0467−23−7051
【埼玉県】ワイ・エス・エムの and-on
小高真理さん(『オダカ』デザイナー)
重要無形文化財に指定され、約1300年の歴史を持つ小川和紙。小川町界隈は水がきれいで冷たいため、和紙をすくのに最適だが、時代とともに廃れていたところを、和紙をすく職人である「手き和紙 たにの」の谷野裕子さんが、素材となる作りもスタート。「その小川和紙を全面に貼った、縦でも横でも使える脚のない照明。手すきゆえの柔らかく、懐かしい光が空間を包みます」。
ワイ・エス・エムの and-on¥38,500/ワイ・エス・エム https://ysmproduct.official.ec
【千葉県】高久敏士のぬか床鉢
寺田典夫さん(『ヨーク』デザイナー)
少人数の家庭でもストレスなくぬか床を作れるようにと、清潔さを保ちやすいように角をなくした楕円形の鉢を制作。きゅうりが横に入るサイズや、出し入れしやすい底の形状など細部まで計算されている。「これまでのぬか床鉢のイメージを覆す、美しい白磁。伝統的な手法を用いながらも、現代のライフスタイルに合ったアイテムを多く手がけているのも魅力です」。
高久敏士のぬか床鉢¥44,000 ※現在は予約販売/SPACE A&CO https://www.arimotoyoko.com
【神奈川県】金指ウッドクラフトの寄木タンブラー
飯島朋子さん(スタイリスト)
木材の産地でもあった箱根・小田原発祥の工芸品。かつて宿場町として栄えたからこそ、土産ものとしても有名に。「木が本来持つ色や木目を生かして寄せ集め、オリジナルの紋様を作り出す箱根寄木細工。神奈川県の社会の教科書にも載っていて、学生時代は授業でも体験したほど身近なクラフトです」。同じ柄がふたつとない稀少性も魅力。果物の形をした入れ物やトレイなどもある。
金指ウッドクラフトの寄木タンブラー¥19,800/金指ウッドクラフト https://www.kanazashi-woodcraft.com
【群馬県】今井だるま店NAYAのデザイナーズだるま©
井野将之さん(『ダブレット』デザイナー)
「特に意識していなくても、生活の中に高崎だるまがありました。普通に家に飾ったり、だるま弁当という入れ物があったり。最近では若手が作る作品もあったりと多様です」。老舗の「今井だるま店NAYA」とデザイナー「2104」による共作は全3サイズ展開。10周年を記念して作られたレッドは、日の丸などに見られる日本を象徴する色「つや消し赤」を採用している。
今井だるま店NAYAのデザイナーズだるま© 2号(12㎝)¥3,300/今井だるま店NAYA https://imainaya.com
【東京都】松徳硝子のタンブラー
金子恵治さん(『ブティック』オーナー)
大正より続く硝子工場。電球製造で培った薄吹きの製法に磨きをかけたグラスは"一口ビールグラス"と呼ばれ、現在に至るまで、多くの料亭や割烹で愛用されている。「出合いは、近所にある大好きな蕎麦店。瓶ビールを飲む際に出されたのがこのグラスでした。小さいサイズ感と、口当たりのいいガラスの薄さに感動。自分でも購入し、以来愛用しています」。
うすはり タンブラーS ¥1,760/松徳硝子 ☎03−6806−8472
【山梨県】印傳屋の印鑑入れ
有泉志乃さん(メイクアップアーティスト)
甲州印伝とは鹿革に漆などで模様を施したクラフト。創業1582年の「印傳屋」の技法は、粋を競い合う人々の間で人気を博し、十返舎一九の『東海道中膝栗毛』にも登場する。技は代々家長だけに口伝されたそうで、「山梨県民であれば知らない人はいない品。学校の卒業記念で印鑑入れをいただき、今でも愛用しています」。青海波や葡萄のほか花唐草などパターンも豊富。朱肉つき。
印傳屋の印鑑入れ 各¥2,200/印傳屋 https://www.inden-ya.co.jp
【新潟県】剣持 勇のアームレスチェア
タナカサヨリさん (『TANAKA』デザイナー)
「世界中のゲストを迎え入れるべく内装設計にインテリアデザイナー剣持勇を起用した『ホテルニュージャパン』。ラウンジチェアとしてデザインされたのがこちら」。しなやかな籐を職人が手作業によって巧みに操り、美しいプロポーションに仕上げたアームレスチェアは、日本で初めて「MoMA」に永久収蔵。「日本を代表する椅子が地元長岡市で今も製造されていることは誇りです」。
剣持 勇のアームレスチェア¥319,000/ワイ・エム・ケー長岡 https://ymk-pro.co.jp
【岐阜県】Tajimi Custom TilesのLarge Bowl
中田優也さん(『ポステレガント』クリエイティブ ディレクター)
「岐阜県多治見市は焼き物の産地として有名で、陶器のタイルもそのうちのひとつ。Tajimi Custom Tilesを知ったのは表参道で行われていた展示。その存在感に心を撃ち抜かれたのを覚えています」。イギリスを拠点に活動するデザイナー、マックス・ラムとの共作"ワーキング タイル"。有機的なフォルムのボウルは、3種類のモジュールを組み合わせて製作されている。
Tajimi Custom TilesのLarge Bowl¥242,000 ※受注販売/LICHT https://item.licht-gallery.com/
【富山県】釋永 陽の花器
加藤公子さん(『ユニオン ランチ』クリエイティブディレクター)
富山県立山町で430年以上継承している越中瀬戸焼の作家釋永陽さん。土地で採れる良質な白土を使って作陶する。「しなやかなろくろ使いに、繊細な手作業は唯一無二。作家の人柄が作品に表れたこの花器に、一輪、一枝を挿して飾っていますが、夕暮れどきに西日が差して映し出される影が、とてもとても幻想的で癒やされます」。名のごとく丸い花器は人気作。
mari-mari ¥132,000(参考価格)/釋永陽陶芸工房 https://shakunagayo.com/
【福井県】越前打刃物の包丁
大辻隆広さん (フォトグラファー)
700年以上の歴史を持つ越前打刃物。繊細な積層模様のブレードの三徳包丁はプロ向けの"梵天雲龍"シリーズ。モリブデン鋼と稀少なコバルト・バナジュウムを融合したVG10鋼を使用。「一度使うとほかが使えなくなるほど、切れ味が最高。ミシュランの星を獲得した料理人はもちろん、私の母親も愛用しています。野菜の断面がよく、舌ざわりが変わる気がしておいしく感じるんです」。
越前打刃物の包丁¥28,737/越前打刃物協同組合 https://www.echizenuchihamono.com
【静岡県】松本克也のりんか皿
編集M
中伊豆を拠点とする器作家。による自然染色や、こまやかな凹凸を入れるモールディング加工を施した、古道具を思わせる作風が特徴。「木工独特の渋さと、洗練されたフォルムのバランスに惹かれます。地元の友人の間でも話題なんです」。縁がエレガントなりんか皿は、多様なサイズで展開。ガラスコーティングを5回塗り重ね、耐水性も備え、実用性も高い。
りんか皿 16.5㎝ ¥4,180/うつわ 松本克也 https://matsumotokss.stores.jp/
【 石川県】杉田明彦の漆椀
小笠原夏未さん(スタイリスト)
長く時を刻んだような佇まいの"朝顔椀"は、金沢市で制作活動を行う杉田明彦さんの作品。蒔地を重ねてから異なる種類の漆を塗り重ねて研磨し、拭き漆で仕上げ。縁と底の部分には布を着せ、日常使いに耐えられるよう強度を上げた。「マットな質感の奥にのぞく艶が上品。杉田さんの漆椀は、深い黒と造形美が素晴らしいと思います。迷いのない、ストイックなフォルムに惹かれる」。
杉田明彦の漆椀¥41,800/ギャラリーやまほん https://gallery-yamahon.com
【愛知県】伊藤雅風の急須
上野真依さん (SPURエディター)
「常滑市に拠点を置く伊藤雅風さんの急須は、ぽってりとしたフォルムが可愛い。特徴的な朱泥と呼ばれる赤茶色には、独特の深みが。東京・青山の『櫻井焙茶研究所』でも販売されています」。釉薬を使わず、土本来の表情を生かす、常滑急須の技法を採用。原土から粘土を作り出すところから手がける。朱泥には鉄分が多く含まれ、お茶の味をまろやかにするといわれている。
朱泥茶銚 ¥36,300/『伊藤雅風』@gafu_ito
【滋賀県】大谷製陶所の平鍋
竹内美彩さん(『フォトコピュー』デザイナー)
大谷哲也さんと桃子さんで信楽町で営む「大谷製陶所」。代表作の平鍋は、現代の生活に合う土鍋をとの思いから生まれた。「オーブン、直火、電子レンジにも使える汎用性の高さ。Instagramで発信する"日々平鍋@hibihiranabe"も参考になります」。
写真の「平鍋 浅(φ27㎝)」¥23,100に加え、φ18㎝、φ24㎝、深さがある「平鍋 並」などサイズ展開が豊富。スタッキングできるのも便利/季の雲 https://www.tokinokumo.com
【京都府】履物 関づかの草履
矢内麻友さん(スタイリスト)
フランスのシューズブランドでデザインを学んだのち、京都・祇園町の誂え草履の老舗で修業を重ねた職人、関塚真司さんが手がける「履物 関づか」。ひとりひとりの足を計測し、オーダーメイドで制作している。なめらかで肌ざわりに優れたスペイン産のシープレザーを使用。「京都・岩倉にあるショップもぜひ行ってみたい。その場で作業している姿を見られるというのも興味深い!」。
履物 関づかの草履¥104,500/履物 関づか https://hakimonosekizuka.com
【奈良県】錦光園の十二支 おはじき墨
松井里加さん(メイクアップアーティスト)
奈良時代は仏教の繁栄に伴って写経が盛んに行われるように。その流れで日本で初めて興福寺で墨を作ったのが奈良墨の始まり。「今も国内で作られている固形墨の90%は奈良墨産。美しい漆黒の墨色となめらかな書き心地に加え、清々しい香りも魅力です」。おはじきサイズで、墨に木型の模様を写し取った十二支の動物たちのユーモラスな表情も可愛い。
錦光園の十二支 おはじき墨 12種セット(裂袋入り)¥16,500/錦光園 https://kinkoen.jp
【和歌山県】山本勝之助商店の棕櫚箒(しゅろほうき)
Kie Kiyoharaさん(メイクアップアーティスト)
数百年の歴史がある天然素材の棕櫚で作る箒。繊維に油分が含まれているためチリやホコリが舞いにくく、使い続けるうちに床や畳に美しい艶が出る。特に一枚の棕櫚皮から数本しかとれない貴重な繊維で、高級とされる鬼毛を使った箒は、コシがある上にしなやか。「毎日、何年使ってもへたれない。主にベランダや玄関の掃き掃除に使っています」。
5玉棕櫚手箒(最高級鬼毛巻き)¥17,600/山本勝之助商店 https://yamamotokatsunosuke.com
【三重県】萬古焼の八角皿
古田千晶さん(スタイリスト)
四日市市にある美術館「BANKO archive design museum」を運営するなど、造形作家の内田鋼一さんは萬古焼を継承するための活動を続けている。彼がセレクトした八角のプレートは、優しい釉薬のぬくもりを感じる。「料理を引き立ててくれる器。同じものを4、5枚揃えたいので、最初に手に取るものは頻繁に使う、買いやすい価格のものがよいなと思っています」。
萬古焼の八角皿 ※価格は取り扱い店舗にて問い合わせ/ギャラリー オン ザ ヒル https://www.galleryonthehill.com
【大阪府】リゲッタのインソール
平 輝乃さん (ビューティエディター)
「足に優しい靴で有名な大阪ブランド。おすすめは、体圧を分散させ疲れを軽減するインソール。外反母趾の私にぴったり! 下駄を現代風に再設計したヒット作から、リゲッタ(Re:getA)という洒落をきかせたネーミングも大阪らしい」。かつて生野市の地場産業だった履物作りの継承、活性化を目指すブランド。市の町工場で丁寧に作られている。
リゲッタ ルーペ インソール プラス¥1,848/リゲッタ https://regeta.shop/
【兵庫県】たくみ工芸の籐製豆バスケット 大
アンナ・チョイさん(『ヘンネ』デザイナー)
子どもはもちろん、大人が持ってもおしゃれなラタン製バスケット。材料であるコリヤナギの栽培から加工、販売までを工房で一貫して行い、現在でも手作りで製作。「神戸では園児たちがこのバッグにお弁当を入れて通園するんです。大人になって、豊岡という、豊岡市の伝統工芸品であったことを知り、ラタンの丈夫さや風合いの豊かさに納得。今も大切に保管しています」。
たくみ工芸の籐製豆バスケット 大¥10,010/たくみ工芸 https://takumi-yanagi.com
【鳥取県】YANAGIYA REPRODUCTの張り子面
野崎未菜美さん(スタイリスト)
因幡地方の歴史や、伝説をもとに創作玩具を作り続けた工房「柳屋」。倉吉市のショップ「COCOROSTORE」が立ち上げた、復刻プロジェクトにより、現在は新たな作り手によってその技術が継承されている。「鳥取地方の歴史や伝説をモチーフにした張り子面は、肩の力が抜けるような愛らしさ。因州和紙を使うなど鳥取の魅力が詰まっています」。
YANAGIYA REPRODUCTの張り子面(右)「因幡の白兎」¥6,600・(左)「ぬけ」¥6,050/COCOROSTORE https://cocorostore.com
【岡山県】mtのマスキングテープ
神原むつえさん (モデル)
ハエ取り紙の製造で知られる、カモ井加工紙は文具・雑貨用マスキングテープのパイオニア。和紙製で、貼り剥がししやすい使い心地など、確かな粘着技術が。「本社がある倉敷の美観地区の取り扱い店舗はmt発祥の地に恥じない圧倒的な品揃え。岡山にいた頃は頻繁に通っていました」。多彩な色柄の中には和を感じる日本の伝統色も。
mt 1P(右から)桔梗、浅緋、黄土、深川鼠 各¥176/mt https://www.masking-tape.jp
【島根県】出西窯のキャットボウル
クリス-ウェブ佳子さん(モデル、コラムニスト)
1947年創業の出西窯は、陶芸家の河井寬次郎から指導を受けたことで実用陶器を目指す道へ。美しい自然に囲まれた地で素朴な魅力を持つ器を作っている。「吐き戻しやむせる原因を考慮。猫はもちろん犬の暮らしにも優しく思いやりのあるキャットボウル。1年前から犬と一緒に暮らすようになり、とっても気になっている作品です」。黒、、飴の3色は発売時期によって展開が異なる。
出西窯のキャットボウル¥6,900/出西窯 https://www.shussai.jp
【香川県】滝宮天満宮のうそ鳥
藤井亮介さん(建築家)
菅原道真公が可愛がり、"天神様のお仕え鳥"としても祀られるうそ鳥。「全国の天満宮のうそ替え神事で用いられる木うそは、形状や表情などが各地でローカライズされている。讃岐の学問の神様・滝宮天満宮の木うそは、とぼけた表情と荘厳な羽のアンバランスさが愛らしい。伝統工芸ほどの細かい技術を必要としないところが民芸的でもあり、今なお作られ、愛されているのでしょう」。
滝宮天満宮のうそ鳥¥1,000/滝宮天満宮 ☎087−876−0199
【徳島県】漆器蔵 いちかわの遊山箱
竹内幸子さん(『ヴィオラステラ』オーナー)
遊山箱は、行楽やひな祭りの際、弁当箱として子どもたちが使う重箱のこと。「県民にとって幼少期の記憶を呼び起こす品。今でも母や料理の仕事をする友人が愛用していて、いつか自分もと憧れています」。高度経済成長期に一度姿を消したが、「漆器蔵 いちかわ」によって復刻を遂げた。という木工技術を生かした土台に、美しい色柄を塗装して仕上げる。
雀の阿波踊り 黒¥26,400/漆器蔵 いちかわ https://www.ichikawa-yusanbako.com/
【広島県】SHINOTEXのデニムから出来た靴下
横山創大さん(フォトグラファー)
日本一のデニム生地の産地として知られる福山市。産業が活発だからこそ、デニム生地を生産する際に出る余り糸や廃棄生地などが多く出てしまうのも事実。「デニムの残り糸と、残布を再度解体して紡ぎ直したアップサイクル糸で編み上げた、環境に優しい靴下。専用の編み機で丁寧に編まれるから、風合いが柔らかくて通気性もいい。はき心地が素晴らしいです」。
SHINOTEXのデニムから出来た靴下(右)¥1,320・(左)¥1,540/篠原テキスタイル https://www.shinotex.jp
【山口県】やない金魚ちょうちん本舗の金魚ちょうちん
宮本佳和さん(ヘアメイクアップアーティスト)
伝統織物「柳井縞」の染料を用いて作られた金魚ちょうちん。毎年8月13日に開催されるお祭りでは、なんと約4000個のちょうちんが装飾され、夜になると半数以上に灯りがともされる。ふわりと広がる尾ひれが特徴的。「キョトンとした表情もさることながら、赤の発色がきれいで一度見たら忘れられない。サイズもさまざまなので、選ぶ楽しみもあると思います」。
やない金魚ちょうちん本舗の金魚ちょうちん Mサイズ ¥2,860/やない金魚ちょうちん本舗 https://kingyochochin.com
【愛媛県】山口工房の木のカトラリー
松波砂耶さん(フリーランスPR)
「愛媛は、焼や今治タオルなどおすすめはたくさん! なかでも里山の風景が残る内子町は木工が盛んな地域。バターナイフは、手にすっと収まるフォルムの美しさに感動。ヨーグルトスプーンや木べらなど、あれこれ買い足しています」。さくら木を3年かけて乾かすため耐久性が高く、無塗装だからこそ使うほどに味わい深く。
山口工房の木のカトラリー(右)バターナイフ・(左)ヨーグルトスプーン 各¥800/歩音−あるね− https://www.dogo-tsubaki.com
【高知県】Naruki Takahashiのスツール
中西聖子さん(フリーランスPR)
「高知といえば海を思い浮かべる方が多いと思いますが、山に囲まれた県でもあります」。山や森で木々を伐採する山師であり、ウッドアーティストとしても活躍する高橋成樹さんが昨今注目を集める。「木の風合いや刻まれた傷からその木が生きてきた証しを感じられるんです。器やケーキスタンド、花器など、多彩な作品を手がけていますが、いつか手にしたいのはスツール」。
Naruki Takahashiのスツール¥165,000〜/Naruki Takahashi @narukitakahashi
【大分県】小鹿田(おんた)焼のうるか壺
赤尾昌則さん(フォトグラファー)
大正時代の民藝運動で脚光を浴び「世界一の民陶」といわれた小鹿田焼。1705年の開窯以来、10軒にも満たない少数の窯元が"飛び"や""など独特の技術や技法を一子相伝で継承。「うるかという日田エリアの特産品である、鮎の内臓を含めたすり身の塩辛用の小壺。実家の冷蔵庫に入っていて、サイズ感が可愛いなと思っていました」。
小鹿田(おんた)焼のうるか壺(右)うるか壺 トビ鉋¥3,630・(左)うるか壺¥1,760/トゥデイズスペシャル二子玉川 ☎03−6805−7812
【佐賀県】1616 / arita japanの「A Brief Moment( )A Long Tradition」
高園あずささん(クリエイティブディレクター)
有田焼の伝統を踏襲しつつ、新しい時代を切り開くブランド「1616 / arita japan」。国内外のデザイナーを迎え、ヨーロッパを中心に20カ国以上で展開。「コンセプトブックはページを開いても、飾ってもテンションが上がります」。制作に携わる職人たちの写真や、国内外で活躍する16名のクリエイターのアートプレゼンテーションなど盛りだくさんの構成で、ブランドの世界観を味わえる。
1616 / arita japanの「A Brief Moment ( ) A Long Tradition」¥13,200/百田陶園 https://1616arita.jp
【熊本県】栗川商店のうちわ"白渋大丸松葉"
宮崎翔太さん(フリーランスPR)
1600年に起源する来民うちわ。"民が来る"という意味で商売が繁盛するとされ、縁起物として贈り物にも使われてきた。特に白渋大丸松葉は、歴史と技術が詰まった秘蔵の竹骨を使用した逸品。柿渋が塗られた和紙は丈夫で、長持ち。「友人へのギフトとして贈れば、とても粋。現代アーティストや地元で人気のセレクトショップとの共作にも積極的で老舗ながら親しみやすいところも素敵」。
栗川商店のうちわ"白渋大丸松葉"¥11,000/栗川商店 https://kurikawa-uchiwa.shop/
【福岡県】筒井時正玩具 花火製造所の花火
柴田フミコさん(フォトグラファー)
廃業寸前だった国内唯一の線香花火を3代目が引き継ぎ、蘇らせた「筒井時正玩具花火製造所」。今では稀少な八女市産の手すき和紙や宮崎県の松煙による火薬での完全国産の花火を作り続ける。「"どうぶつはなび"シリーズは、ユーモラスなデザインが笑顔を誘います。時折開催される線香花火のワークショップにも参加したいです」。
筒井時正玩具 花火製造所の花火(右)「吹き上げる 鯨花火」¥660・(左)「花富士 青」¥550/筒井時正玩具花火製造所 https://tsutsuitokimasa.jp
【長崎県】平戸松山窯の急須と湯呑み
栗山愛以さん(エディター、ライター)
江戸時代から平戸藩の御用窯として、幕府や朝廷への献上品を制作していた三川内焼。は代表的な図柄として知られており、急須や湯呑みなど現代で使われる器にも使われている。「母に教わった地元の名品。思えば、愛らしい唐子紋様は幼い頃から身近にありました。今改めておいしさを実感しているそのぎ茶(長崎県東彼杵町産)を淹れて楽しみたいです」。
急須¥11,000・湯呑み(大)¥7,700/平戸松山窯 https://hiradoshouzan.com
【鹿児島県】AkihiroWoodworksのjincup
郡山雅代さん (プロップスタイリスト)
地元の山の伐採木を生かしたプロダクトや家具を作る木工集団。代表作は特殊な加工を施す「jincup」。手作りかつ森のサイクルに合わせて製作。量産が難しいため、陶芸スタジオ「ONE KILN」の協力を得てセラミック版も登場。「作品を作ることへの真摯さが伝わるところも素敵」。
AkihiroWoodworksのjincup (右)「jincup ceramic WoodGlaze M」¥9,900・(左)「jincup M」¥16,500 ※次回販売はHPで要確認/AkihiroWoodworks https://akihirowoodworks.com
【沖縄県】角萬漆器の棗(なつめ)
渡嘉敷愛子さん(ヘアメイクアップアーティスト)
かつての琉球王国には、中国との貿易から伝わった独自の漆器文化があった。そこから成長した"琉球漆器"は、鮮やかな朱色と、沖縄独自の加飾技法のによる絵画的な紋様が特徴だ。「抹茶を保管する茶器"棗"にはお気に入りの抹茶はもちろん、アクセサリーを入れても。堂々とした印象が強い漆器ですが、どこか異国情緒漂う沖縄らしいデザインも好きです」。
角萬漆器の棗(なつめ)中棗 パパイヤ¥27,500/角萬漆器 https://kakuman.jp