湯船の底からこんこんと湧き出る源泉。ここは、鹿児島県湯川内温泉かじか荘の「下の湯」。地中から空気に触れずにじかに届くミネラルたっぷりの温泉成分は、まさに大地からのギフト!

映えより泉質!

いい湯とは何か? 今回突き詰めたのは、ズバリ"心身を癒やす泉質のよさ"!はるばる訪れる価値のある、しかもソロで楽しめる、 正真正銘の名湯を全国から選りすぐり。混じり気のない自然からの贈り物を体全体で受け止め、リカバリーした実感を、源泉直送湧きたてレポート!

 

【温泉】泉質で選ぶ、全国の名湯16選! 一人旅にもおすすめ

湯船の底からこんこんと湧き出る源泉。ここは、鹿児島県湯川内温泉かじか荘の「下の湯」。地中から空気に触れずにじかに届くミネラルたっぷりの温泉成分は、まさに大地からのギフト!

映えより泉質!

いい湯とは何か? 今回突き詰めたのは、ズバリ"心身を癒やす泉質のよさ"!はるばる訪れる価値のある、しかもソロで楽しめる、 正真正銘の名湯を全国から選りすぐり。混じり気のない自然からの贈り物を体全体で受け止め、リカバリーした実感を、源泉直送湧きたてレポート!

 

九州

01 忘れの里 雅叙苑/鹿児島県霧島市

01 忘れの里 雅叙苑/鹿児島県霧島市

鹿児島県霧島市牧園町宿窪田4230
0995-77-2114
日帰り入浴:営業時間 12時~15時 不定休 入浴料:¥6,600(※ランチつき、前日までに予約)
宿泊料金:¥52,950~/1名(1泊2食つき。サービス料込み) 
https://gajoen.jp/

稀少な足元湧出泉を心ゆくまで味わう

羽田から約1時間40分のフライトを経て、やってきたのは鹿児島。鹿児島県は源泉の数が全国で2番目に多く、湧出量は3位を誇る温泉パラダイス。全部で10種類が定義されている療養泉のうち、8種の泉質が湧き出るなど、バラエティに富んだ温泉が各地に点在し、マニアが絶賛する名湯、秘湯も多い。

空港から車で15分ほど走った先、市中の喧噪から離れた天降川沿いに、最初の目的地01忘れの里 雅叙苑はある。敷地内には茅葺き屋根の古民家が建ち、囲炉裏小屋や水屋もあるほか、放し飼いのニワトリの姿も見える。昔ながらの集落のような風景を残す美しき宿は、自家源泉を2本有し、温泉もまた素晴らしいことで知られている。

まずは巨大な一枚岩をくりぬいた岩風呂が名物の大浴場「建湯」へ。湯口からとうとうと掛け流されるお湯は、加水なし・加温なしの源泉率100%。泉温は42℃ほどで、ナトリウム・カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩泉の泉質はミネラルをバランスよく含み、さらりとした浴感で実に気持ちがいい。さらに温泉好きにはたまらないのが、稀少な足元湧出泉が楽しめる、宿泊者専用の貸切風呂「ラムネ湯」(1)だ。

忘れの里 雅叙苑/鹿児島県霧島市

1 宿泊者専用の貸切風呂「ラムネ湯」

そもそも温泉というのは、空気に触れることで酸化し、劣化していく。つまり、いい温泉とは新鮮な温泉のことであり、新鮮な温泉は当然のように成分が濃く、質が高い。その究極が足元湧出泉といわれるもので、文字通り足もとからじかにお湯が湧き出るため、フレッシュそのもの。全国でも30カ所ぐらいしかないとされ、まさに出合えたことが奇跡な激レアの湯なのである。

ラムネ湯の泉質は天然の炭酸成分を多量に含んだ単純二酸化炭素泉。浸かってみて感じるのは、肌つきのよさとお湯のやわらかさ。気泡が絡みつき、体の中まで染み込む感触がある。温度は38℃前後とややぬるめ。そのため、ぼんやりと川音を聞きながらいつまででも入っていられる。炭酸成分によって血行がよくなったせいか、湯上がりもしばらくぽっかぽかだった。

02 霧島湯之谷山荘/鹿児島県霧島市

02 霧島湯之谷山荘/鹿児島県霧島市

鹿児島県霧島市牧園町高千穂4970
0995-78-2852
日帰り入浴:営業時間 10時~14時
定休日 水曜 入浴料:大人(中学生以上)¥500
宿泊料金:¥13,900~/1名(1泊2食つき。サービス料込み) 
https://www.yunotanisanso.com/

温冷交代浴ですっきり気分爽快に

国道にある看板を目印に曲がり、細い山道をしばらく走ると、うっそうとした原生林の中に一軒の宿が現われる。02霧島湯之谷山荘は、硫黄泉と二酸化炭素泉の2つの源泉があり、その泉質のよさと独自の湯の使い方が高く評価される湯治宿。ひなびた風情がたまらない総木造りの浴室には3つの湯船があり、奥の湯船は45℃の白濁した硫黄泉、手前の狭い湯船は30℃の二酸化炭素泉、中央の湯船はこの2つが流れ込む混合泉という珍しい造りになっている。これは加水・加温することなく、温泉を最高の状態で楽しんでほしいという湯守のこだわりで生まれたものだとか。

おすすめは硫黄泉と二酸化炭素泉の温冷交代浴。硫黄の匂いをたっぷりと吸い込みながら熱々のお湯に浸かり、しっかりと温まったら二酸化炭素泉でクールダウン。このループがもたらす気持ちよさといったらもう……。体がじんわりとほどけていく。温冷交代浴は疲労を回復させるだけでなく、深いリラクゼーション効果もあるそうで、実際、翌朝の目覚めは爽快だった。

霧島湯之谷山荘/鹿児島県霧島市

2 霧島マッサージセンター

鹿児島県霧島市牧園町高千穂3878の215
090-4348-5413
https://beauty.hotpepper.jp/kr/slnH000411263/

続いては天然温泉が自慢の「霧島マッサージセンター」(2)であか擦り体験。硫黄泉の効能と相まって、肌がかつてなくうる艶になったのを実感する。その後は「加治木まんじゅう ざおう堂」に立ち寄り、まんじゅう(3)で糖分チャージ。立て続けの湯あみでほわほわした体にあんこの甘さが染み渡る。さらに、宿へのお持ち帰り用に、「ワタセ直売店」で鹿児島名物の鳥刺し(4)も購入。香ばしい皮、コリコリの触感、噛むとにじみ出る旨みに芋焼酎が進む逸品だ。

加治木まんじゅう ざおう堂

3 加治木まんじゅう ざおう堂
Instagram:@zaoudou_kajikimanjyu
4 ワタセ直売店
https://toriya-watase.jp/
5 「鹿屋旨か! ピクルス」KITADA SARUGGA
https://kitadasarugga.shopinfo.jp/

03 湯川内温泉 かじか荘/鹿児島県出水市

03 湯川内温泉 かじか荘/鹿児島県出水市

鹿児島県出水市武本2060
0996-68-0085
日帰り入浴:営業時間 9時〜12時 15時~19時、9時〜12時 13時~19時(日・祝)
定休日 水・木曜、11月27日~2月28日冬季休業(年末年始などの一部期間は臨時営業予定。詳しくはHPにて)
入浴料:大人(中学生以上)¥450
https://realonsen.com/kajikasou/

体に優しい神秘の湯でリカバリー

ドライブ途中で見かけたセレクトショップ「KITADA SARUGGA」でお土産用にピクルス(5)をゲットしたあとは、鶴の越冬地として有名な出水市へ向かう。山間に建つ03湯川内温泉 かじか荘は、かつては島津家御用達の湯として利用され、明治になって一般市民へ開放された歴史を持つ日帰り温泉施設。浴場は「上の湯」と「下の湯」の2カ所あり、どちらも足元湧出泉というから驚く。エメラルド色の透き通ったお湯は見るからに神秘的で、湯船の底の岩の隙間から源泉がゆっくりと湧き出ているのが確認できる。

温度は約39℃とぬるめなので、じっくりと長湯するのがここでの入り方。泉質は㏗9・6のアルカリ性単純温泉。その透明感と肌へのなじみやすさは別格にして格別で、長湯しても体への負担が少ないため、リカバリー効果は絶大だ。帰京後もしばらく絶好調だったのは決して気のせいではないと思う。

東北

04 谷地温泉/青森県十和田市

04 谷地温泉/青森県十和田市

青森県十和田市法量谷地1
0176-74-1181
日帰り入浴:営業時間 10時〜15時(最終受付14時30分)
定休日 毎月第3火曜(夏季4月中旬〜11月下旬)、火・水・木曜(冬季11月下旬〜4月中旬)
入浴料:大人(中学生以上)¥800ほか
宿泊料金:¥16,120~/1名(和室6帖1室1名利用時、1泊2食つき。サービス料込み)
https://www.yachionsen.com

雪灯のもと、ぬる湯源泉に浸かれば体がほどけてとろける感覚に……

雪深い冬季も営業し、古くからの湯治宿として愛されてきた北東北の名湯。まずは、青森県八甲田山のふもと、04谷地温泉へ。趣ある木造の内湯は、38℃の硫化水素型弱酸性泉の「下の湯」と、42℃の単純泉濁り湯の「上の湯」の2つの掛け流し。ぬる湯とあつ湯を交互に繰り返す魅惑のループにハマる! 

特に男湯にある「下の湯」は足下自噴泉の源泉浴槽(1)。17時から20時半までは女性専用になるのでぜひ体験しておきたい。地中から一度も空気に触れずポコポコと湧き出すピュアな源泉が、ダイレクトに体に染み渡る。体温に近い湯温のため、体が湯と一体化して、日常のコリもとろけて消えてゆくよう。「1年前、沖縄からここに赴任したのですが、文字通りひと皮むけました」というマネージャーの小林聖司さんの顔は日焼けの痕跡もなくツルツル、とてつもない説得力だ!

のっけ丼案内所

2 のっけ丼案内所 017-763-0085
3 湯酒屋 八九郎 090-2793-6374

 

たっぷりの湯量に身をゆだね、湯船の会話に心もあったまる
谷地温泉から青森市街へは、車で約40分。リフレッシュした舌と胃袋には「元祖 青森のっけ丼」(2)を。12枚組2,200円の食事券を手に市場内を巡り、好みの魚介や惣菜などをのせて自分だけの丼ができるヘブンリーなシステムに大満足。夜は温泉好きが集う店「湯酒屋 八九郎」(3)へ。マスターの手塚勝二さんは東北の名湯、日本酒にも精通する。おすすめの七戸町、盛田庄兵衛の純米吟醸「朔田」を飲みつつ、温泉談義をぜひ。

05 みちのく深沢温泉/青森県青森市

05 みちのく深沢温泉/青森県青森市

青森県青森市大字駒込字深沢650
017-738-1464
日帰り入浴:営業時間 7時〜20時 無休 入浴料:大人(中学生以上)¥500
宿泊料金:¥8,000~/1名(1室1名利用時、1泊2食つき)
https://hakkoda9spa.com/distinations/michinokuhukazawaspa/

翌朝は再び八甲田山中へ。05みちのく深沢温泉では「よぐ来たねしぃ〜」と書かれた看板とともにお母さんとお父さんが出迎えてくれる。素朴なガラス張りの内湯と露天岩風呂があり、蛇口を揺るがす勢いで源泉が絶え間なく流れ出る。泉質はポカポカに温まるナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉、内湯は42℃と熱め。地元の常連客のお二人が、お湯があふれる床に寝転び「失礼、これがあったかいのよぉ〜」と教えてくれた。確かにのぼせず、心までほっこり。このようにドバドバあふれる源泉を、浴槽外に寝そべり楽しむスタイルを「トド寝」と呼ぶ。その聖地「古遠部温泉」(4)は毎分500ℓ湧出の源泉(5)が自慢。取材時には改装工事の真っ最中。まもなく入浴、宿泊再開とのことで期待が高まる!

古遠部温泉

4 

古遠部温泉の源泉

古遠部温泉
青森県平川市碇ヶ関西碇ヶ関山1の467
0172-46-2533
http://furutoobe-onsen2023.jp/
※2025年12月より日帰り入浴・宿泊を再開予定

ホルモン幸楽

6 ホルモン幸楽 花輪本店 0186-23-3736

日本一の強酸性泉の刺激と即効性にシビれる!
車は秋田県鹿角市街地へ、名物の鹿角ホルモン(6)で腹ごしらえ。ジンギスカン鍋で、ニンニクたっぷりのプルコギ風の味つけで食べるキャベツとホルモンに体が熱くなる。

玉川温泉の湯畑

7 

山中へ向かうと、プンと漂う硫黄の香り。玉川温泉の湯畑(7)だ! ここは毎分9000ℓという日本一の湧出量を誇る源泉大噴(8)を有し、㏗1・2(塩酸とほぼ同じ濃度!)という刺激的な強酸性泉で知られる湯治場。源泉から約2㎞離れた06新玉川温泉は、冬季も営業する温泉リゾート。青森ヒバの大浴場には、源泉100%から3%弱まで、濃度と温度を変えた15種類の浴槽のほか、源泉の蒸気を体内に取り込める箱蒸湯などが並ぶ。薄めの濃度から入っても、肌がピリピリ! 長湯は厳しい?と恐れをなしたのもつかの間、刺激が落ち着くとクセになり、いろんな浴槽を巡ってしまう。そして翌朝、腰と肩が、か、か、軽い! 小さな切り傷も消えた気がする(まさか酸で溶けたのか?)。

嘘みたいな体と心の超回復。自然の驚異と人の温かさに触れた「とうほぐ温泉旅」は、やっぱり奇跡のようでした!

06 新玉川温泉/秋田県仙北市

06 新玉川温泉/秋田県仙北市

8 

秋田県仙北市田沢湖玉川渋黒沢
0187-58-3000
日帰り入浴:営業時間 夏季(4月中旬~11月30日)10時~15時(最終受付14時30分) 冬季(12月1日~4月中旬)10時~13時30分
不定休
入浴料:大人(中学生以上)¥800ほか
宿泊料金:¥15,400~/1名(シングルルーム1室1名利用時、1泊2食つき。サービス料込み)
https://www.shintamagawa.jp

山梨

07 増富温泉 不老閣/山梨県北杜市

07 増富温泉 不老閣/山梨県北杜市

山梨県北杜市須玉町小尾6672
0551-45-0311
日帰り入浴:営業時間  12時30分〜14時(1回1時間まで。岩風呂の利用は宿泊客のみ)
定休日 火曜・不定休 入浴料:¥1,000
宿泊料金:¥14,450~/1名(1泊2食つき。サービス料込み)
http://www.furoukaku.jp/

都心の日帰り圏内に、効能絶大の秘湯や美肌の名湯が充実!

仙人のすみかのような洞窟内に祠!? 大岩に囲まれた湯船に恐る恐る足を入れるとひんやり。岩盤から時折コポコポ……と気泡が湧く。湯温は源泉そのままの20℃と低いのに、寒さを感じないのが神秘的。ここは07増富温泉 不老閣、本館から山道を約5分ほど上った場所(1)にある天然ラジウム岩風呂だ。マニアたちから「ぬる湯の名泉が豊富でヤバい」との評判が高い山梨県だが、「ヤバさ」=効能の強さでいえば、放射能泉・炭酸泉・塩化物泉がブレンドされた泉質は、レア度も含めチャンピオン級。5つの源泉の中でも岩風呂は濃度が高く、湯疲れを防ぐため入浴は最大10分と制限があるほど。本館の「不老の湯」(2)では、31℃の源泉と41℃の加温浴槽、蒸気吸入室の交互浴で、じんわりとぬくもりパワーチャージされるのを感じる。湯船での会話に耳をそばだてると「海外ワイナリー巡りをした」「70歳になって新しい趣味を始めた」などエネルギッシュな先輩方。皆さんリピーターで、2度目以降は連泊で湯治をされているそう。癒やし以上に気力もみなぎるアッパー系の力を感じる。

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下山したら、北杜市の「MANGOSTEEN HOKUTO」(6)で現世に戻るリハビリ(笑)。醸造所、タップルーム&ショップ、食堂が併設された施設で、湯上がりのクラフトビールを購入。また日帰りで外せないのは「韮崎旭温泉」。細かな泡がビロードのように体を包む40℃の炭酸泉(3)が有名で、長湯は必定! 湯船からは富士山も望める(4)。

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3・4 韮崎旭温泉 韮崎旭の湯
山梨県韮崎市旭町上條中割391
0551-23-6311
日帰り入浴:営業時間 10時〜20時
定休日 火曜(祝日の場合は翌日休み)・金曜(祝日の場合は営業) 
入浴料:大人¥700ほか

【温泉】泉質で選ぶ、全国の名湯16選! の画像_20

5 小林牧場直売センター 美郷
https://www.winebeef.co.jp/mikyo
6 MANGOSTEEN HOKUTO
Instagram:@mangosteen_hokuto

08湯村温泉 旅館明治 鷲の湯は、肌当たりのやわらかな弱アルカリ性温泉。開湯1200年の伝説の名湯が温泉旅館と広々とした外湯としてリニューアル。設備は最新でも源泉のよさをしっかり保っている。武田信玄を癒やしたというナトリウム-塩化物泉は40℃前後、露天の外気とやさしい湯に触れていると、ほわほわとした浮遊感でリラックス〜。

帰り道のお土産は「甲州ワインビーフ」(5)のサーロイン! ワインを搾ったあとのブドウ粕を飼料にして育った山梨ならではの牛肉は、旨みが強い赤身とさっぱりとした脂のバランスがよく、帰宅後も大満足。都心から日帰りもできる山梨、個性豊かな温泉が凝縮されていて、通いたくなる奥深さだ!

08 湯村温泉 旅館明治 鷲の湯/山梨県甲府市

08 湯村温泉 旅館明治 鷲の湯/山梨県甲府市

山梨県甲府市湯村3の10の14
055-225-6828
日帰り入浴:営業時間 7時〜10時30分(朝の部最終受付10時) 15時〜22時(夕の部最終受付21時30分)
不定休
入浴料:大人(中学生以上)¥1,000ほか
宿泊料金:¥14,850〜/1名(2名1室1泊朝食つき。サービス料込み)
https://ryokan-meiji.co.jp/

奈良

09 入之波温泉 山鳩湯/奈良県吉野郡

09 入之波温泉 山鳩湯/奈良県吉野郡

奈良県吉野郡川上村入之波391
0746-54-0262
日帰り入浴:営業時間 10時〜17時(最終受付16時)
定休日:火・水曜(4月~10月は水曜休み)
入浴料:大人(中学生以上)¥900ほか 宿泊料金:¥13,000~/1名(1泊2食つき。サービス料込み)
https://yamabatoyu.co.jp/

私たちは奈良のほんの一部しか知らない

世界遺産に囲まれ、国宝級の建築や仏像が数多く残るなど、名所旧跡の宝庫ともいえる奈良だが、温泉に関していえばほとんど話題に上ってこない。しかし、あるところにはちゃんとある。目指すは奈良の奥のそのまた奥、泉質抜群の温泉を求め、延々と続く九十九折の山道を走って向かったのは、吉野川の源流近くの湖畔に湧く09入之波温泉 山鳩湯

浴場に入ってまず圧倒されるのが、湯船のビジュアルだ。茶褐色のお湯がドバドバと注ぎ込む湯船は、本来は総杉丸太造りだというが、あふれ出た温泉の析出物が固まって、まるで鍾乳石のよう。これだけでもいかに温泉成分が濃いかがわかる。

【温泉】泉質で選ぶ、全国の名湯16選! の画像_23

7

泉質はナトリウム-炭酸水素塩で、温度は約39℃。見た目の赤みから想像するようなクセはなく、あっさりとして入りやすい。露天風呂(7)からはダム湖の風景を一望することができ、渓谷のパノラマを満喫しながらぬるめの湯に浸かっていると、日々の疲れがゆるゆると溶け出していくのを感じる。はぁ~、こりゃ最高だ!

【温泉】泉質で選ぶ、全国の名湯16選! の画像_24

8 道の駅 十津川郷
https://www.michinoeki-totsukawago.com/

山鳩湯を出発して、ひたすら南下すること2時間半。途中、道の駅で「温泉黒糖蒸しパン」(ふわふわ!)と「温泉プリン」(なめらか!)(8)を買い込んだのち、ようやく10十津川温泉 ホテル昴 温泉保養館 星の湯にたどり着いた。十津川温泉のある十津川村は、奈良県の最南端に位置し、日本で一番広い村として知られている。一方で、温泉好きの間では日本で初めて「源泉かけ流し宣言」を行なった村としても有名で、村内すべての温泉施設がお湯の循環・ろ過を一切せず、沸かさず、薄めず、塩素消毒もせず、ほんまもんの温泉をこんこんと掛け流している。

【温泉】泉質で選ぶ、全国の名湯16選! の画像_25

9

その中でも星の湯は湯船の種類の多さで人気を集める一軒。窓も大きく開放的な内湯、眺望が素晴らしい露天風呂(9)、ほかにも五右衛門風呂や檜風呂、打たせ湯に寝湯など、全部で9種類ある。個人的に気に入ったのは、五右衛門風呂。湯船に深々と体を沈め、遠く山の端にかかる雲を眺めていたら、しばし時がたつのを忘れてしまった。

気になる泉質はナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉。無色透明で、鼻を近づけるとほのかに硫黄の匂いがする。弱アルカリ性のお湯は肌の古い角質を除去してくれるクレンジングのような効果があり、美肌の湯としても評判だという。さっき食べたプリンには及ばないが、確かになめらかになったかも。そうそう、十津川村には十津川温泉だけでなく、湯泉地温泉と上湯温泉もある。泉質はそれぞれ微妙に異なり、浴感も違うので、せっかくなら訪れてみてほしい。ほんまもんは全然ちゃうから!

10 十津川温泉 ホテル昴 温泉保養館 星の湯/奈良県吉野郡

10 十津川温泉 ホテル昴 温泉保養館 星の湯/奈良県吉野郡

奈良県吉野郡十津川村平谷909の4
0746-64-1111
日帰り入浴:営業時間 12時〜17時
不定休
入浴料:大人(中学生以上)¥1,000ほか
宿泊料金:¥18,700~/1名(1泊2食つき。サービス料込み)
https://www.hotel-subaru.jp/

達人たちのレコメンド・リカバリー温泉

泉質にとことんこだわる6人が「疲労回復・心身向上」をテーマにおすすめ!

湯河原温泉 Albergo湯楽/神奈川県足柄下郡

湯河原温泉 Albergo湯楽/神奈川県足柄下郡

永井千晴さん 会社員/温泉ライター

仕事帰り、自分を甘やかしに直行!

「奥湯河原にある、お料理のおいしい名宿です。すべての湯船が源泉掛け流しで、20帖ほどの巨大貸切露天は開放感抜群。自分をたっぷりと甘やかしたいときにぜひ」と永井さん。『温泉オタク会社員が教える 仕事を頑張る人の温泉術』(朝日新聞出版)の著者らしい観点から楽しみ方を教えてくれた。「東京からアクセスしやすいので、金曜の午後を半休にして1泊2日のトリップができるのも魅力。創作イタリアンの夕食も必食です」

神奈川県足柄下郡湯河原町宮上528
0465-62-4126
不定休
宿泊料金:¥15,800~/1名(1泊2食つき。サービス料込み) 
https://www.yurac.jp

鉄輪温泉 湯治柳屋/大分県別府市

鉄輪温泉 湯治柳屋/大分県別府市

垂井清子さん エディター

湯治で肌も内臓も新陳代謝が高まる

数年前から「ひとりっぷ湯治」にハマるエディター垂井さん。「暮らすように過ごせる柳屋さんでの体験は特別。皮膚の乾燥に悩んでいたのですが、ナトリウム源泉掛け流しのお湯に浸かれば保湿持続力が高まり、翌日もつるすべ肌に。睡眠も深くなり、さらに内臓が温められる効果か便秘知らずです。100℃に達する温泉の噴気で調理する地獄蒸しをいただいて、デジタルデトックス。心と体がほぐれ、新陳代謝が高まるのが実感できます」

大分県別府市鉄輪井田2組
0977-66-4414
不定休
宿泊料金:本館(湯治部)¥6,750〜、新館(旅館部)¥13,200〜/1名(1泊素泊まり。サービス料込み)
https://beppu-yanagiya.jp

寒の地獄旅館/大分県玖珠郡

寒の地獄旅館/大分県玖珠郡

尾花大輔さん N.HOOLYWOODデザイナー

寒と暖の地獄巡りで天国へ

かつて男性誌『UOMO』で温泉連載を持ち、全国各地の名湯や秘湯を巡った尾花さん。「全国でも珍しい自然湧水の冷泉がウリの宿。硫黄泉の源泉は年間を通じて13~14℃をキープし、水質・水温ともに理想的な水風呂です。連載で訪れたときはストーブが置かれた暖房室しかなく、冷泉浴で冷えた体をそこで温めていました。サウナがあればいいのに……と思っていたら、2年前に暖の地獄サウナができたと聞き、これでもう完璧です!」

大分県玖珠郡九重町田野257
0973-79-2124
日帰り入浴:営業時間 9時〜18時(最終受付は16時)
定休日 水曜・不定休
入浴料:大人¥2,500
宿泊料金:¥17,050~/1名(1泊2食つき。サービス料込み)
http://kannojigoku.jp/

草津温泉 ホテルクアビオ/群馬県吾妻郡

草津温泉 ホテルクアビオ/群馬県吾妻郡

桂 まりさん ライター(温泉保養士)

四季の恵みを体感するなら連泊を!

温泉保養士の資格を持つ食いしん坊ライター、桂さんが「3泊するのがおすすめ!」と絶賛。「日本一の湯量を誇る草津温泉のひとつ、万代鉱源泉から引湯。ほんのりピリッとする泉質の酸性低張性高温泉がまず素晴らしい! 標高1200mに位置する半露天風呂からは夏の森林浴、冬の雪景色も楽しめます。さらに、美しくおいしいマクロビオティック料理も最強。にんじんジュース断食もできるので、必ずリピートしたくなるはずです」

群馬県吾妻郡草津町草津226の63
0120-89-0932
不定休
宿泊料金:¥21,500~/1名(1泊2食つき。サービス料込み) 
https://www.kurbio.com

塩原温泉 旅館 まじま荘/栃木県那須塩原市

塩原温泉 旅館 まじま荘/栃木県那須塩原市

植竹深雪さん 温泉ジャーナリスト/フリーアナウンサー

自噴源泉とプロのマッサージで昇天

20年ほど前からほぼ毎週温泉に通い、その数約3800以上。旅館再生コンサルタントも手がける植竹さん。「肌がしっとりとするナトリウム−塩化物温泉は自家源泉掛け流し。じんわりと持続する温浴効果で、来る前は疲労困憊していた体が確実に楽になったと実感できます。特筆すべきは、館主が国家資格を所有し、施術歴約50年のマッサージ師であること。根本から体を整えたいときは、宿泊して施術を受けるのがおすすめです」

栃木県那須塩原市上塩原580
0287-32-4162
日帰り入浴:営業時間 10時〜19時
不定休
入浴料:¥800 宿泊料金:¥11,000~/1名(1泊素泊まり。サービス料込み) 
https://majimasou.com/

銀婚湯/北海道二海郡

銀婚湯/北海道二海郡

田邊 剛さん フォトグラファー

5つある隠し湯を楽しむ

温泉と木彫り熊をこよなく愛する田邊さん。「木彫り熊は北海道の八雲町が発祥で、木彫り熊資料館とセットで訪れています。広大な敷地内に5本の源泉を持っていて、湯船は全部で11カ所。大浴場と露天もいいけれど、おすすめなのが散策路の途中にある宿泊者専用の隠し湯です。5つあって、どれも貸切で利用でき、それぞれ泉質も趣も微妙に違うので、ぜひコンプリートしてみてください。温泉と散歩の効果で健康になれます!」

北海道二海郡八雲町上ノ湯199
0137-67-3111
日帰り入浴:営業時間 12時〜16時
定休日:月曜(祝日の場合は翌日休み)
入浴料:¥800ほか 宿泊料金(12月1日〜):¥17,090~/1名(1泊2食つき。サービス料込み)
http://www.ginkonyu.com/

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