クラフトビールの中でも酸っぱいサワーエールに注目!今飲みたい個性派ビールを紹介【うち飲み向上委員会vol.19】

先月の「飲みやすくてヘルシー、シードルはうち飲み派の強~い味方!」に続き、ライター門前の最近のお気に入り、近年クラフトビールの世界で注目を浴びている“サワーエール”を紹介します。

サワーエールとは、酸味のある(=酸っぱい)ビールの総称。野生の酵母を使った伝統的な製法に加えて、比較的容易にサワーエールを造ることができるケトルサワリング(麦汁を煮沸させる前に乳酸菌を添加する方法)という醸造方法がうまれたことにより、生産量が増えて知名度が上がったと言われています。

……というプチ薀蓄はさておき、サワーエールの魅力を大きく3つ挙げますと、ワインのように酸味があって料理と相性がよい/フルーツやハーブなど副材料を使ったものも多く、香りと味わいの幅が広い/アルコール度数が低めで飲み疲れない。なかでも、味わいの幅が広いという点は特筆。1本でじっくり飲みたいものもあれば食事と合わせるのにぴったりなものもあって、楽しむシーンの幅も広いんですよね。サワーエールと一言で括るのがはばかられるほど、味わいも酸味の度合いもさまざま。今回紹介する3本も、それぞれの個性が光るサワーエールたちです。

和食との相性も抜群! 塩と梅を使った、その名も「塩梅エール」

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塩梅エール(330ml/アルコール度数7.5%) ¥440/常陸野ネストビール

今回紹介する3本のなかでいちばん酸味が穏やかで、“サワーエール入門編”にぴったりなのが「塩梅エール」。ユニークな名前の通り、塩と梅を使った日本ならではのビールです。ブルワリーが拠点とする茨城県が梅の産地ということと、「塩梅(あんばい)」という言葉からうまれたそうで、フレッシュな国産の青梅と藻塩を使っているのが特徴。

見た目が黄金色なので一般的なビールの味を連想してしまいますが、飲むとびっくり!  梅の爽やかな香りと心地よい酸味、ほんのりした甘みの後に塩からくる旨味が感じられます。さっぱり爽やかだけど旨味があるという、この“おいしい”矛盾よ……。

和食に欠かせない梅や旨味のある塩を使っているので、和食との相性も抜群。ブルワリーいわく、「これからの季節ならワカサギの天ぷらや脂ののったカツオの刺身がおすすめ」とのこと。よだれがでちゃいますね(笑)。旨味のあるもの繋がりでお味噌汁とも合いそうな気がします。これはビール×和食の新たな世界を切り拓く1本といっても過言ではないかも?  酸味がきつすぎず、いい“塩梅”なビール。サワーエール初心者もぜひお試しを!

きりっとした酸味&キュートなロゼカラーが特徴の「ブレケリエット ピンク パッション」

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ブレケリエット ピンク パッション(330ml/アルコール度数4.7%) ¥820/DIG THE LINE

こちらはサワーエール&ワイルドエール専門のブルワリー、スウェーデンのブレケリエットが誇る定番人気の商品。世界には酸っぱいビール専門のブルワリーがあるんですね……!  「ピンク パッション」は、サワーエールという大きな括りのなかでも、野生酵母を使ったワイルドエールと呼ばれるビールです。

パッションフルーツとハイビスカスを使っていて、見た目は鮮やかなロゼカラー。ハイビスカスの華やかな香りを楽しみながら口に含んでみると、キュートな色とは裏腹(!?)に、きりっと清冽な酸味!  ピンクグレープフルーツを思わせるしっかりした酸味があって、目が覚めるような味わいです。

爽やかでさっぱりしていますが、野生酵母からくる繊細で複雑な味わいを併せ持っているので、ペアリングの幅も広いはず。インポーターのおすすめは「肉料理などソースとともに楽しむメニューや、ケーキなどクリームを使うデザート」。そのほか、柑橘を使ったサラダなどさっぱりした料理にも合うと思います。サラダから肉料理、スイーツまで合うなんて、食中酒として万能ということですね~。

インポーターのDIG THE LINEはオンラインショップを運営しているほか、今月末、原宿にビールショップ「DIG THE LINE DOORS」をオープン。「ブレケリエット」のビールをはじめ、世界最先端のサワーエール&ワイルドエールが並ぶというので、ぜひ実店舗にも注目を。

アプリコットをたっぷり使って樽熟成させた、個性的な「オフトレイル コット イン ファンク」

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オフトレイル コット イン ファンク(330ml/アルコール度数7.0%) ¥748(※参考小売価格)/ファーイーストブルーイング

最後に紹介するのは、色も口当たりも香りも味わいも個性的な1本。「コロナ禍によるモヤモヤした気分をぐっと上げる、ファンキーでフルーティなサワーエールを造ろう!」とうまれたサワーエールで、アプリコットピューレをたっぷり使い、さらに木樽を使って熟成をさせているのが特徴。

見た目からして個性的で、ジュースかと思うほどのアプリコットカラー。また、ピューレを大量に使用していることから、スムージーのようにとろりとした口当たり。アプリコットの香りに加え、木樽からくるローストしたようなニュアンスも感じられます。味わいは、甘めかと思いきや木樽でじっくり発酵させたことによってドライな仕上がり。酸味の度合いは先にご紹介した「塩梅エール」と「ピンク パッション」の中間くらい。ほどよい酸味とフルーティな味わい、樽熟成による奥行きが感じられるビールです。

ブルワリーのおすすめペアリングは、燻製したチーズやジャーキー。個性と奥行きのある味わいをもつもの同士、確かに相性がよさそう!  しっかり甘さがあるわけではないですが、濃厚なアプリコットのフレーバーは食後のデザートやフルーツの代わりにもぴったりではないかと。いずれにしても、ゆっくりじっくり堪能したいビールです。


今回はクラフトビールの世界でも近年注目を浴びているサワーエールを紹介しました。麦芽だけで造るタイプから副材料を使うものまで、バリエーションや可能性が無限ともいえるサワーエール。今回紹介した3本だけでも、「こんなのもアリなんだ!」とビールの多様性をひしひしと感じました。

どれも個性豊かで選び難いですが、今回の「ベストうち飲み大賞」はじめじめした梅雨や暑い夏にも爽やかさを届けてくれる、きりっとした酸味をもつ「ピンク パッション」にしたいと思います。

ビールの苦味が合わない方や、ワインや日本酒といったフレーバーのしっかりしたお酒が好きという方にもぜひお試しいただきたいサワーエール。ビールの概念が変わること間違いなしです! 

【うち飲み向上委員会メンバー】
門前直子(もんぜん なおこ)
食べること&飲むことが大好きなフリーランスエディター/ライター。エンゲル係数がやたら高いものの、日々見て見ぬ振り。セレクトショップ「ガリャルダガランテ」から昨年スタートしたライフスタイルライン「カーサ ガリャルダガランテ」では、期間限定で販売するフード&ドリンク(ワインや日本酒、シードルなど)のセレクトを担当。https://www.instagram.com/gkgkmgmg/?hl=ja

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