ソムリエがおすすめ! 【コストコ】で見つける2,000円以下のハイクオリティなワイン7選

コストコで見つけるコスパ抜群の絶品ワイン

SPURデジタルで連載中の「うち飲み向上委員会」から、コストコのワインをご紹介。人気ソムリエの田邉公一さんが豊富なラインナップの中から、コスパ最強の絶品ワインをセレクト。値段以上のハイクオリティな1本をチェックして!

超名門が造る! 値段以上のデイリーワイン「ラ・ヴィエイユ・フェルム ブラン」

ラ・ヴィエイユ・フェルム ブラン
ラ・ヴィエイユ・フェルム ブラン〈750㎖〉¥1,198/コストコ

T 南仏の造り手、ファミーユ・ペランのシリーズからグルナッシュブランをベースに、色々な品種をブレンドした白です。家族経営のワイナリーなんですよ。

A 南仏で家族経営って素敵〜。エチケットに描かれたニワトリのイラストも可愛くて、飼育しているのかなと想像してみたり。ほっこり系一家なのかしらと応援したくなります!

T 実は、ペラン・ファミリーは超名門で、超有名。南ローヌの最高峰ワインと称されるシャトー・ド・ボーカステルを所有していて、こちらがメイン! さらにカリフォルニアにもワイナリーを所有していて、ローヌ系の品種を使ったワインでこっちも大成功しているんですよ。 

A ちょ! ワールドワイドなやり手じゃないですか! 

T ラ・ヴィエイユ・フェルムは最高峰の造り手がカジュアル路線で造ったデイリーワインで、おいしいと評判のシリーズなんです。随分前から有名なコスパワインではあるけれど、コストコで取り扱いがあるとは知らなかった! 安定感抜群の白なので、見つけたら選ばざるを得ないくらい。

Z 応援どころか、むしろ南仏の勝者じゃないですか(笑)。味わいは辛口というよりも、南仏らしくジューシーで果実味たっぷり♪ このボリューム感を楽しめて、アンダー¥900は驚きです

T 産地の南仏は日照時間が長いので、葡萄もトロピカル系になり、酸味が控えめ。爽やかなキリッとした感じではなく、まろやか系になります。

A ペアリングはいかがでしょうか?

T 地中海性気候のテロワールなので、トマト味と合いますよ。マルゲリータやシーフードをトッピングしたピザがおすすめです

A それ最高です、ピザとラ・ヴィエイユ・フェルムでランチ飲みしたい!

大人気のプルコギと好相性なチリワイン「ポルタ カルメネール」

「ポルタ カルメネール
ポルタ カルメネール〈750㎖〉¥998/コストコ

A この赤は、他の通販サイトとかでは¥2,000くらいで売られていることもあるので、かなりお値打ちです!!

T 品種はカルメネーレ。低価格帯でも品質の高いワインを造れる品種のひとつなのでチョイスしました。カルメネーレはチリの土壌や気候に適していて代表的な品種なんですけど、元々はボルドーの品種なんです。そしてマイポ・ヴァレーはチリで有名なワイン産地の一つで、味わいに安定感があります。つまりこの組み合わせなら、間違いない! それでも¥700台は驚きの価格ですね、通常もう少し高いですから。

Z 滑らかな口当たりと、熟したベリーのような甘やかな果実味。チリのワインっぽい官能的な飲み心地がたまりません♪

T マイポ・ヴァレーはカベルネ・ソーヴィニヨンを主力にしている産地ですが、この辺りで造られるカルメネーレは青臭くなく、適度なグリーンフレーバーに仕上げています。日照時間が長いので、葡萄が少し甘くなり、ワインもコンポートのような味わいが。コストコで大人気のプルコギとめちゃくちゃ合いますよ

A プルコギの甘みと葡萄の甘みがナイスマッチすぎる。正月太りのことなんて吹き飛ぶくらいのおいしさ! 絶対このペアリングで買ってください!

T ペアリングのプルコギは、ネギが入っているのがポイント。カルメネーレはピーマン香と呼ばれる青い香りがあるので、そこも合わせました。お肉の脂に対してタンニンが適度に渋みを利かせて、後味もしつこくなりませんよ。

お得すぎる! 銘醸地ボルドーの赤「シャトー ムーランド プライエール」

シャトー ムーランド プライエール
シャトー ムーランド プライエール〈750㎖〉¥998/コストコ

T ボルドーワインとして安すぎます! エチケットにしっかりと描かれているボルドーは、通常もっとワインの価格が高いはずの産地ですから。ボルドー産で¥1,000を切るワインを見つけるのは至難の技ですよ。しかも、このワインはちゃんとボルドーワインの個性が出ていてクオリティが高い

Z それは事件レベルじゃないですか! どんなトリック使ったの、コストコさん!? 

A 純粋なる企業努力です(笑)。ボルドーワインの個性とは?

T カベルネ・ソーヴィニヨン主体で、メルロー、カベルネ・フランなどをブレンドしているのが典型的なボルドーブレンドです。もしこれをチューリップ型が特徴的なボルドーグラスに注いで、ブラインドで飲んだらこの価格だとはまず思わないでしょうね。ボトル¥5,000くらいだと思う人もいるんじゃないかな。

A 5倍のプライスが付いた。飲み比べ無双のガクトさんにもぜひお試しいただきたい!

Z タンニンと重厚な存在感があり、カベルネ・ソーヴィニヨンらしいですね。リッチな味がします、おいし〜♪

T このタンニンも決して粗くなく、緻密ですね。2020年の醸造から3年経ち、いい意味でこなれた味に。よくできているボルドーブレンドだなと思います。ペアリングはボルドーでは定番の組み合わせである、ラムチョップのグリルがおすすめ。ラムは、ローズマリーやタイムなどハーブの香りと合うので、ワインが持つシダやミントのようなニュアンスとも相性の良さを発揮します。さらにお肉の旨みと脂を、タンニンが引き立ててくれますよ。

常備しておくと便利! 万能な食中酒「カークランドシグネチャー ピノグリージョ」

カークランドシグネチャー ピノグリージョ
カークランドシグネチャー ピノグリージョ〈750㎖〉¥848/コストコ

T コストコのプライベートブランドのピノ・グリージョをセレクトしました! マスカットや青リンゴのようなテイストが特徴的

Z 清々しい軽やかな飲み口なのに、味わい深い! 余韻に深みのあるコクや旨味を感じるので、安いワインにありがちなもの足りなさがありません。

T ピノ・グリージョはピノ・ノワールの派生品種なんですけど、カークランドシグネチャーのようにイタリアで造られたワインは、爽やかな辛口に仕上げています。酸味は強くなく、フレッシュ感を出して仕上げるのがピノ・グリージョのスタイル。爽やかに飲めるけど、フルーティな甘みも感じられて、ワインビギナーにも飲みやすいですよ! よく冷やして、コップなんかでラフに飲んでもおいしい。

A この白ワインを選んだ理由は?

T ピノ・グリージョの安定感ですね。世界的にも今、人気の品種ですが、リーズナブルなワインを造るのに長けていて、逆に高級ワインに使われているのは見かけません。ピノ・グリージョなら安いワインでもハズさない! 

A なんと! ピノ・グリージョ自体がコスパ抜群な品種だったのですね。ちなみに低いコストで探している時、どこを見て選ぶとおいしいワインにたどりつけますか?

T 基本的には安くてもおいしいといわれる品種を選ぶことをおすすめします。ピノ・グリージョ、グルナッシュ、カルメネーレです。今回ご紹介したラインナップは、まさにこの品種。ジャケ買いも悪くないと思いますよ! やはり良い生産者はエチケットにもこだわりがあるので、見た目が良いというのも、付加価値の一つだと思います。あとは、紙質の良し悪しもポイントに。

Z まさか紙質もポイントの一つだったとは! 現場ですぐ解決できるように、もっと推理力を鍛えねばっ。

A 商品棚は現場じゃないし、事件は起きてないから(笑)。でも、紙質は盲点でした!

T エチケットがすぐ剥がれやすいボトルもありますし、それも細部まで考えられているという証ですよね。

A ペアリングはいかがでしょうか?

T このワインが造られているエリアの近くは、グラナパダーノというチーズが有名。パルミジャーノチーズに近い味わいなので、ペアリングにグッドだと思います。モッツァレラチーズでカプレーゼもおすすめ。野菜にも魚にも合うし、チキンやポークもOKで、ペアリングしやすい品種です!

南アフリカの新旗手「スタークコンデ ヴィンヤード・セレクション カベルネ」

スタークコンデ ヴィンヤード・セレクション カベルネ
スタークコンデ ヴィンヤード・セレクション カベルネ〈750㎖〉¥1,998/コストコ

T 南アフリカのスターク・コンデ・ヴィンヤードは好きなブランドのひとつで、業界の中では有名になってきています。カジュアルラインなら、プライスもお手頃だし、エントリーとしておすすめするにはちょうどいい感じなんです。

A 南アフリカのワインは最近話題ですよね、どういう特徴があるんですか?

T 元々フランスからの移民が多いので、葡萄は今回のカベルネ・ソーヴィニヨンなどフランス品種が多めです。アメリカ、チリなどニューワールドと呼ばれる比較的新しいワイン生産国に属するのですが、スタイルはフランス的。ニューワールドのワインはしっかり系のイメージが強い方も多いと思いますが、南アフリカはまた少しスタイルが違うんです。カベルネならボルドーより果実味豊かだけど、ニューワールドにしてはエレガントで穏やか。いい感じの中間なんですよね! 

Z この赤ワインもフルーティで重たすぎず、飲みやすいです。お手頃でバランスの良い味、南アフリカのポテンシャルが高すぎる!

T シビアなタンニンの強さとかもなくて、わかりやすい味だから、ワインビギナーの方にはうってつけですよ! あとプライスも魅力。同じ品種でもフランス産だともうちょっと高いかな。

A ペアリングに選ばれたのは、リンゴの果汁に漬け込んでから燻製されたコストコの「アップルベーコン」。ほんのり甘みがあり、脂っこくなくてうま〜い!

T 南アフリカはソーセージとか焼肉を食べる文化があって、リンゴも有名なんですよ。このベーコンはふたつの要素のニュアンスがあって、テロワールとして相性が良いと思いました。互いの風味もバッチリです。

プロセッコのロゼ革命! 「KIRKLAND SIGNATUREプロセッコ ロゼ」

KIRKLAND SIGNATUREプロセッコ ロゼ
KIRKLAND SIGNATUREプロセッコ ロゼ〈750㎖〉¥1,298/コストコ

A ロゼのプロセッコはコストコのプライベートブランドからです。コスパが高くて、ありがた〜い!

T プロセッコは、万人受けするワインのひとつ。フルーティな味わいで、気軽なイタリアンが合うので、「ベレッタ アンティパスト バラエティパック」をペアリングにしました

Z 華やかな味わいはちょっと甘みがあって春にぴったりですね。このペアリングでお花見したい!

T プロセッコは世界的に今流行っていて、その勢いにのって2020年にロゼが誕生しました。これまでプロセッコを名乗るには白しかダメだったんですけど、ピノノワールを使ってロゼを作ってOKとなったのが、たったの2年前。だからコストコのプロセッコ ロゼは、かなりタイムリーですよ!

Z それを聞くとますますテンションが上がります! ロゼのプロセッコの特徴は?

T 基本スタイルとしてはアロマティックですね。ピンクグレープフルーツやラズベリーの香り。白よりはちょっとタンニンがあって、オレンジやレッド系のフルーツを感じさせ、今回のように少し甘めのテイストです。ロゼスパークリングをこの価格でカジュアルに飲めるのはいいですよね。シャンパンだと価格がぐんと上がっちゃうから。
A アルコール度数も11%とワインにしては低く、疲れないで飲めるのが嬉しい。ロゼを許してくれた偉い人たち、グラッツェ♡

手頃なデザートワイン「ユステンバーグ シュナンブラン」

ユステンバーグ シュナンブラン
ユステンバーグ シュナンブラン〈375㎖〉¥1,788/コストコ

T 南アフリカから2本目、今度は貴腐ワインです。おすすめの飲み方は、氷水にどぼっとボトルごと入れて冷やす。そうすることで甘さがぐっと引き締まって、フレッシュな酸が立ち上がります。バランスがめちゃくちゃ良くなりますよ!

A 貴腐ワインって高いイメージがありますが、これはお手頃ですね。

T そうなんですよ。フランスだと結構いい値段しますから、これはクオリティも高く、コスパがかなりいい! 

Z 貴腐ワインを造る品種、造っているエリアというのは限定されているものなんですか?

T 貴腐ワインを造ることができるエリアってかなり狭いんです。まず朝に霧が立ち込めて、葡萄にカビをつけ、午後に晴れわたり乾いた時に貴腐化ができる。この気象条件が整っている必要があります。さらに果皮が貴腐に耐えられ、甘くなってもまだ酸が残る品種じゃないといけない。だからこそ、南アフリカでこのワインが造れるのはすごいなと思いました。

A ペアリングはコストコの「トリプルチーズタルト」。これずっと食べるのが夢だったんです! アメリカンサイズで大容量なので買うチャンスがなくって。

T 貴腐ワインが良いのはワイン単体で最高のデザートになってくれるところですが、スイーツとの相性も抜群です

Z これぞアメリカって感じの味〜! ガツンと甘い! でもお互いに強い味だから、合っています。

A コストコは、子供の頃に夢見たバケツプリンみたいな、そういうのを叶えてくれて尊いのよ! 夢だけど、夢じゃなかった!

Z まさかのコストコで『となりのトトロ』の名シーンが再現されちゃいました(笑)。