フィギュアスケートといえば冬のスポーツの代名詞。しかし、実は暑い夏こそ注目して欲しい時期でもあります。なぜなら、現役選手もプロスケーターも、アイスショーに出演する機会が増えるから……! 競技さながらの緊張感と、競技では味わえないアーティスティックな面を存分に見られるのもショーの楽しみなのです。
アイスショーシーズンの始まりを告げる「Fantasy on Ice」(以下ファンタジー)は特に豪華なキャストが揃うので見逃せないショーのうちのひとつ。そして、7月22日に発売されるSPUR9月号で撮影させていただいたのは、ファンタジーの長年のメインキャストも務めているステファン・ランビエールさんです。コーチ、そしてエンターテイナー、パフォーマーとしても活躍されているステファンさんの姿をぜひ撮影したい!と思い、オファーしました。今回は特別にその撮影の裏話をお届けします。
取材を敢行したのは幕張で行われたファンタジーの公演を終えた翌日のこと。ロケバスで滞在先まで迎えにいくと、エレベーターをおりた瞬間からニコニコとご機嫌の様子。白いTシャツに、ヨウジヤマモトのサルエルパンツ、ナイキ×コム・デ・ギャルソンのスニーカーとシンプルながら、さらっとおしゃれな装いです。幕張公演をみた感想をお伝えすると、「実は腰が痛かったので、直前まで演技できるかわからなかったんだよ」とぽつり。今やコーチや振付師として世界中を飛び回っているランビエールさんですが、プロフィギュアスケーターとしても完璧に氷上で演じたいという強い思いは変わりません。その真摯な姿勢に、取材スタッフも身が引き締まる思いでした。
すらりと長身でモードが大好きというランビエールさん。SPURが今回用意したのはマチュアな男性にこそ着こなしてほしい、素材の良いシンプルなスタイルです。普段のインタビューからも「素材が一番」とおっしゃっていますが、まさに直球で着こなしていただくのがコンセプト。実は装飾がない、クリーンなスタイルの方が一番難しいのです。ステファンさんの鍛え抜かれた体と、服に負けないパーソナリティがあってこそ体現できる世界観なんですよね。ファンの皆さんはもちろんご存知、”コーチコート”の装いから着想を得た新しい提案もあるので、スタイリングにもぜひ注目していただきたいです。
SPURに幾度となく登場していただいているランビエールさん。彼の撮影中の姿を観察する度に思うのは、ただ立っているだけの姿勢も美しいということ。そして、素材の軽やかさやシルエットを瞬時に理解し、視線や指先の繊細な動きでその世界観を表現してくれるところに、真の表現者であるのだなと実感。個人的には、“あの”パフォーマンスをしている時の衣装が実は……ハイブランドだった!というところに驚きました(詳しくは本誌のインタビューをご覧くださいね!)。
ランビエールさんといえば、私たちも”センセイ”と呼ばせていただきたいほどに、学びのあるお話もたっぷり。今回は世界トップレベルのコーチとして見えている現状はもちろん、教え子たちの最新情報も。ファンタジーで披露した、ご自身のプログラムについて語った内容は、一人の人間としての愛がテーマ。とても奥行きを感じさせる内容です。彼は常に「愛」について語りますが、それも進化していくのだというエピソードには、スケートファンのみならず、感じいるところがあると思います。その進化の過程が、今後あるプロジェクトにつながっていくという構想もインタビューでたっぷりお話いただいたので、本誌でぜひ読んで欲しいところです。また、取材チームが驚いたのが、パフォーマンスで使用した音楽や、インスピレーションを与えた映画作品についての愛と知識の深さです。「TAR」('22)、「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」('22)など、最近話題となった映画のほか、コンテンポラリーダンスや、演劇に至るまで幅広いコンテンツについてお話ししてくださいました。
ファッションの話も楽しく弾みましたが、やはりスケートの話にも興味津々。特に日本では独自のアイスショーが次々と生まれていて、その現状には逆に質問される場面も。羽生結弦選手の東京ドームで行われた「GIFT」や浅田真央さんが座長を務める「BEYOND」のこともご存知で、「僕も見たかった!」と目を輝かせてらっしゃったのが印象的です。また、撮影が終わった後、スタッフに握手、そしてハグをしながら、お礼を伝えてくださったステファンさん。一人一人に向けて、話しかけてくださる姿に一同感銘を受けたのでした。また、8月25日から27日まで横浜のKOSÉ新横浜スケートセンターにて開催される「Friends on Ice」にもステファンさんは出演予定! SPUR9月号を持って、ぜひ足をお運びくださいね。
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