今回のテーマで悩んだポイントのひとつが、外国人モデルでいわさきちひろの世界をどう表現するか、ということ。黒目がちな瞳が印象的な、いわさきちひろが描いた子どもたちを想起させつつ、SPURらしいファッションも表現できるモデルを選ぶのはなかなかに難しく、だからこそモデルのオラに会ってそのイノセントな魅力に触れたときに「この子!」とスタッフと気持ちがひとつになりました。気負いのない天真爛漫なオラちゃんは、光の中に笑顔でたたずむと絵の中のモデルのような無垢な存在感がありました。
といいつつ実は、この写真のルックのカットでは、オラちゃんは顔が写っていません。かわりに、いわさきちひろにとって大切なある本を持って登場します。そこには、ちひろが幸せな世界を夢見てかわいい世界を描くときにいつも胸にあった願いがあります。世界中の子どもたちが戦争のない世界で暮らせますように、という願い。ファッションを媒介にして、彼女の夢見た世界が今ひとりでも多くの方に届いたらうれしいです。ぜひテーマ全体でちひろの世界を感じてみてください!