photography:Wakaba Noda<TRON>
きっかけは何気なく観ていたスポーツニュースでした。自分の2倍近くはありそうな男と対峙する小柄な力士。つきささる弾丸のように、頭からまっすぐ突進していきます。大きな力士はぐいぐい押し出そうとしますが、彼は全然負けないどころか、相手をぽいっと土俵の外に出してしまいました。
その瞬間、自分の頭の中にスコーンッと光が差しました! なんだかすごく勇気が出て、今日一日をものすごくポジティブに過ごせそう。ただ観ていただけの自分にもそんなパワーが沸くような取り組みでした。そこですぐに「取材してみたい!」となり、NHK大相撲中継の実況アナウンサーとして活躍され、長きにわたってこの世界を見つめてきた緒方喜治さんによるインタビューが実現しました。
身長168cm、体重98kg。いわば「無差別級」である相撲の世界では力士の大型化が進み、平均体重は160kgを超え、200kg近い巨漢もいるなか、炎鵬の”小柄さ”は際立っています。けれども彼は「もっと大きかったら、背が高かったら……」と思ったことは1ミリもない、とキッパリ。この体で勝つ意味がある、と。放たれた宝石のような言葉はSPUR11月号の『炎鵬がまぶしくて』で堪能していただきたいのですが、とにかく取材を通じて感じたのは、炎鵬の「自分を信じる力」。これって今のわたしたちに、いちばん必要なことではないでしょうか。
5時間も虫取りに熱中しているような、ひとつのことに黙々と取り組む少年だったそうです。ご両親はそれに口を出さず、自由にさせてくれたと彼は教えてくれました。そこに炎鵬の原点を見た気がします。
ラップバトルを楽しみ、スキンケアもきちんと行うイマドキな一面もありますが、やはり注目すべきはその「夢のある相撲」。9月8日から大相撲九月場所が始まります。相撲に興味があってもなくても、とにかく一度観てみてください! そしてSPUR11月号でその内面の素敵さにもぜひ触れてくださいね。