SDGsに関するアンケートレポート第2回は目標5「ジェンダー平等を実現しよう」について。ジェンダーとは、社会的・文化的な役割としての「性」を表す言葉。「男らしく」や「女はこうあるべき」のように社会通念としての男女のあり方も含んでいて、身体的な性差とは異なります。つまりSDGsに掲げられている「ジェンダー平等」とは、すべてのジェンダーの人が、性を理由に差別されることがない世界にしよう、という意味です。
昨年発表された世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」によると、日本は156カ国中120位(※1)で先進国の中では最下位。女性の国会議員の割合は9.9%、企業での女性管理職は14.7%、女性の平均所得は男性より43.7%低く、平等といえる状況までは程遠いというのが現状です。SDGsに関するアンケート調査(※2)の第2回はSPURも注目している「ジェンダー平等」について、みんなの意見をレポートします。
(※1)参考:世界経済フォーラム「Global Gender Gap Report 2021」https://www.weforum.org/reports/global-gender-gap-report-2021
(※2)今回のアンケート回答者1,831人のうち、95.9%が女性、2.7%が男性、0.4%がその他、0.9%が回答しないを選択
Q1. 現在、ジェンダーによる差別を感じていますか?
「ジェンダーによる差別を感じていますか?」という質問に対して、全体の63.8%が感じていると回答。差別を感じていないという人は36.2%にとどまりました。
Q2. どんなときにジェンダーによる差別があると感じますか?
一番多かった回答は「社会通念や慣習」。“家事や育児は女性がやるべき”とか、“女性ならこうあるべき”という、行動や考え方を押し付けられることで差別を感じている人が多いよう。次に多かったのは、職場での賃金格差、管理職の女性比率の低さ、育休取得率の男女差などの仕事にまつわるもの。この4月には女性活躍推進法での対象企業が拡大されて、より多くの企業で女性が働きやすい環境を整えることが義務づけられるように。
他にもあるジェンダーによる差別!
【社会通念】
「女の子なんだからできなくて当然」とか「彼女にするなら少しバカな子がいい」とか女の子をバカにした発言を聞いたとき/同じ意見を言っても男性が話すと認められる/子ども服や子どもの日用品など、女の子はピンク、男の子は水色と分けられているところ。ピンクや水色が好きじゃない子もいるのに……
【仕事】
オフィスではストッキングとパンプスを履くことが求められている/上司からすぐに結婚しないでね、と念を押された/女性がお茶やお菓子を出す、ゴミ捨てを男性がしない/子どもがいるから、と女性の社員を早く帰らせようとする。男性だって子育てすべきなのに/保育士、看護師など女性が多い職業は給料が低い
【家庭】
食事の支度、後片付けを“お母さんの仕事”だと思っている/子どもの行事、発熱時のお迎えは母親が行くのが当たり前になっている/義実家での扱い。食事の準備は女性がするもので男性はしない……
Q3. パートナー、もしくは家族との関係において、ジェンダー問題があると感じていますか?
半数近くの人が家族やパートナーとの間でジェンダーの問題は「ない」と回答。ただし、注目すべきは「わからない」という回答の多さ。まずはどういったことがジェンダーに基づく問題なのか知ることも、アクションにつながる第一歩になります。
Q4. パートナー、もしくは家族との関係において、どのような問題があると感じていますか?
Q5. ジェンダー差別の解消のために、ご自身で取り組んでいることがあれば教えてください
「ジェンダーに関わる固定観念を自身や子どもに植え付けないようにする」という回答がトップ。具体的には、子どもの前で男らしさや女らしさなどを誇張するような表現をしないという声がありました。次点は「言葉遣い(配偶者や職業の呼び方など)に気をつける」。毎日の生活の中で意識できるところからジェンダー平等への取り組みを始めている人が多いこともわかりました。
他にはこんなことに取り組んでいる人も……
差別になりそうな会話にはできるだけ乗らないようにしたり、さりげなくフォローしたりしている/ジェンダー平等は当たり前であるという内容の会話をする/ジェンダー問題についてSNSで発信してみんなの意見を聞く/ジェンダー差別についての本を読んだり映画を観て知識を深める/海外の取り組み、事例などを調べてシェアしている/家族、パートナー、友人と話し合う/社内でLGBTQ+の啓発活動をしている/子どもと接するときに性的役割分担を植え付けないようにしている
Q6. ジェンダーによる差別をなくすためには、どんなことが必要だと思いますか?
これまでのアンケート結果からもわかるように、日本では小さな頃からジェンダーバイアスが潜んでいることから、子どもへの教育の重要性を感じている人が多くいました。最近では、制服のパンツ・スカートを選択制にする学校が増えてくるなど、学校が少しずつジェンダーフリー化してきているという動きも。他には広告やメディアの性差表現を見直すべきだという声も多数ありました。
Q7. ジェンダーに関する問題で、興味があるのはどんなことですか?
これまでSPURでも特集してきた「選択的夫婦別姓」が1位に。以前の特集でも、姓を自由に選べるとしたら別姓を選択したいという回答が43%という興味深い結果になっていて、みんなの姓への平等意識の高さがわかります。そして2番目にあがったのは「性暴力」について。性被害を未然に防ぐ性的同意や被害後にどうしたら良いか、情報へのアクセスのしにくさ、偏見など問題が多いのも確か。SPURでの特集にも反響がありました。
【以前の特集はこちら】
■Q8. SPUR.JPで取り上げて欲しいSDGs関連の話題を教えてください
地球の緊急課題、環境問題を解決するために今から始められること、家庭ゴミの減らし方やフードロス、コンポスト、エシカル消費などに興味を持っている人が多数。次いで選択的夫婦別姓や同性婚、女性や子どもの貧困問題と、みんなの関心も多岐にわたっていました。
実際のアクションにつながる実践的な企画をお届け
環境保護、ジェンダー平等や人権保護など、国を超えて地球課題を解決していくSDGs。今回のアンケートでは、多くの人が自分ゴトとして考え、毎日の生活の中で良いと思えることを実行しているということがわかりました。さらにもっと具体的なことが知りたいという声も。「今よりもっと温暖化が進むとどうなるの?」「環境に配慮した企業の取り組みが知りたい!」「ゴミを捨てるときにリサイクルできるものって何?」「カップル間でどうやってジェンダー平等を実践しているの?」「コンポストって家でもできるの⁉︎」etc.。これからSPUR.JPでもSDGsの各目標につながる、もっと具体的で実践的な情報をお届けしていきます!
illustration:Emi Ozaki text:Mio Goto edit:Taori Akiyama