貧困の悪循環を断ち切るためにはどうすればいいのか。「遠く離れた国のこと」ではなく、今や先進国に住む私たちも無関係ではない問題。映画を通して知見を広げることで、自分が何気なく取っている行動や考え方を見つめ直す機会に。
ファストファッションの背景に潜む、厳しい労働環境
ファストファッションを支えるバングラデシュの縫製工場で働くひとりの女性が、劣悪な労働環境を改善すべく労働法を学習し、仲間と共に立ち上がる、実話に基づいたヒューマンストーリー。「私が享受している安価な服は、誰かの涙の上で成り立っているということを、改めて突き付けられました。性差別や過酷な環境に立ち向かう主人公に勇気をもらえるはず。でもそれで『よかった』で終わらせることはできない映画です」(編集HA)「ファッション業界に関わる身として、女性として、消費者として、環境が違えど想像力を持って彼女たちを支持していく選択をすることが大切だと思いました」(長尾さん)
『メイド・イン・バングラデシュ』(2019)
監督・脚本/ルバイヤット・ホセイン
出演/リキタ・ナンディニ・シム、ノベラ・ラフマンほか
その寄付は、誰のために? 何のために?
純粋な善意の気持ちで行われる発展途上国への寄付。でも実際にそれが本当に誰かの助けになっているのだろうか? 現代社会の寄付の仕組みを解説する『ポバティー・インク 〜あなたの寄付の不都合な真実〜』は、寄付が途上国の自助努力を奪ってしまう皮肉な状況を作り出していることを指摘する。「飢餓貧困に苦しむ人々への支援の仕方によっては、逆に問題を悪化させ、貧困を拡大させてしまう可能性があるとを知ることができます。例えばアメリカがハイチに大量の援助米を送ったことで、地元の農家が米を売れなくなり、壊滅的なダメージを追った事例などが紹介されています」(関根さん)
『ポバティー・インク 〜あなたの寄付の不都合な真実〜』(2014)
監督/マイケル・マシスン・ミラー
出演/ムハマド・ユヌス、ジョージ・アイッティ、ハーマン・チナリー=ヘッセほか
どうしたら貧困から抜け出せるのか、やってみた
アメリカからグアテマラの貧困地域に赴いた4人の若者が、1日1ドルで2ヶ月間生活する。そこでどう生き抜くのか、貧困状態から抜け出せるのか、その方法を探っていく様子を追いかけたドキュメンタリー。彼らはビジネスアイデアでなんとか現金を生み出そうと試みながらも、厳しい現実に直面する。それでも現地の人々に助けられながら、明るく確かな未来を手繰り寄せようとする姿を描く。「裕福な国に暮らす若者たちが極貧国で暮らす姿から、現地の貧困状態がリアルに伝わってきます。生き抜くための効果的な方法を模索する彼らの視点を通じて、貧困を体感できる作品です」(関根さん)
『1日1ドルで生活』(2013)
監督/クリス・テンプル、ザック・イングラシー、シーン・レオナルド
出演/アンソニー・ソラリス、ローサ・ソラリス、ローサ・コーフ・ボセルほか