山田由梨のアフタートーク「親のものでも、パートナーのものでない、わたしの体」【フェムテック調査団】

今回北原さんと対談をして、性について堂々と話せる場があることって、とても安心することだし、人に話せないと思っていた経験や悩みを当たり前に話せるのって健全で楽しいことだなぁと改めて思いました。

photo:shutterstcok
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フェムテックや、女性の体について雑誌などで特集が組まれることも増えてきたけど、まだまだ実際に友達やパートナーとそういうことをオープンに話せる人って少ないんじゃないかと思います。でも、それも当然。わたしたちは、学校でも家庭でも、十分な性教育を受けてきていないから。

わたしが通っていた学校では、性教育の時間は男女に分けられて何か秘密のことのように教えられました。何か聞いてはいけないことを聞いているような罪悪感すらあったのを覚えます。家でも親にオープンに相談できるような空気じゃなかったし、性にまつわる話は隠さないといけないものだと思っていた。

大人になってからだって、女性が自分の体についてオープンに話すと下ネタのように思われる風潮もまだある。そういう環境で育ってきたわたしたちが、急に当たり前のようにオープンに語るなんて難しいですよね。

だから、自分の体のことも、生理の仕組みも、プレジャーのことも、よく分からない、「遠い」ことのように感じてしまう。これは紛れもなく自分に一番「近い」問題なのに。

AbemaTVのオリジナルドラマ『17.3 about a sex』の脚本を書くために性教育について学んでいたとき、自分の身体をあらためて眺めて、どうしてこんなに近くにあるもののことを全然理解しないで生きてきたんだろうって、不思議な気持ちになったんですよね。

自分が自分の体の一番の理解者でなくちゃ。親のものでも、パートナーのものでない、わたしの体。

自分なりの生理との付き合い方、自分がどうしたら気持ちよくなりリラックスできるか、性にまつわる正しい知識を身につけて、自分の体を自分のものにできれば、自信もつくし、きっと日々の生活をより充実したなものにできるはず。正しい知識って安心につながるし、安心は充実した毎日につながると思うんです。

ラフォーレ原宿に出店された「ラブピースクラブ」のお店は、フェムテックグッズだけじゃなくて、知識を身に着けるための本も置いてあるのが素晴らしかった。きっと、友達やパートナーと、会話したくなるようなきっかけがたくさんあるはず。そうした”きっかけ”さえあれば、ひとりだけのものだった悩みの形がかわって、誰かともっとヘルシーに話し合えるようになるかもしれない。わたしたちの一番「近く」の話を。 

山田由梨
1992年東京都生まれ。劇団「贅沢貧乏」主宰・劇作家・演出家・俳優。2012年の旗揚げ以来全ての贅沢貧乏の作品のプロデュース、劇作・演出を手がける。俳優としても、舞台、映画、CM等に出演する傍ら、雑誌等にエッセイを寄稿するなど活動の幅を広げている。AbemaTV『17.3 about a sex』では脚本を担当して話題に。

text:Yuri Yamada photography:Akemi Kurosaka

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