妊活を始めようとする時、最初に当たる壁は「まず何から始めたらよいかわからない」ということ。産婦人科や不妊治療クリニックへ相談に行く前に試したい妊活のファーストステップを、相談・チェック・サポートアイテムの3軸で調査。
妊娠に関する情報を得ようと思っても、親世代の頃とは取り巻く環境が異なるし、センシティブな話だから友人や同僚には相談しづらい……そんな悩みを抱えていたら、まずは気軽に相談できるオンラインサービスを試してみて。
無料から使えるLINE相談サービス【ファミワン】
妊活コンシェルジュのファミワンは、気軽に利用できるLINE相談サービスを運営。無料プランと月額3,980円のプレミアムプランの2種類を提供している。無料プランでは、今自分に必要な妊活アクションは何かを確認できる妊活チェックシートの結果と病院選びのアドバイスが、不妊症看護認定看護師から送られてくる。実際に試してみたところ、その時は4日で送られてきたので、すぐに自分で次のアクションを起こせる。
有料プランではビデオ通話での相談や、妊活関連のライブ配信に参加可能(一部動画は無料プランでも視聴可能)。相談内容によっては看護師以外にも臨床心理士や胚培養士など、悩みに応じた専門家からもアドバイスがもらえる。もちろん妊活を共にする男性も相談可能。男性の場合は女性以上に妊娠に関する知識が少なかったり、それについて話すことがタブー視されていたりするため、自然に学んで向き合えるようなアドバイスを行っているという。夫婦での話し合いがうまくいかなかったり、どう伝えるべきか悩んでいたり、コミュニケーションの相談も多いそう。
2018年3月にLINE相談サービスを開始し、2022年1月には会員数3万人を突破。法人向け福利厚生プログラムも提供しており、小田急電鉄やTBS厚生会、中部電力などへの福利厚生導入に加えて、ソニーグループ、全日本空輸(ANA)などにセミナーを提供している。さらに神奈川県横須賀市、長崎県、東京都杉並区などのさまざまな単位の自治体とも連携。あなたの会社や住んでいる地域でサービスが受けられるかもしれないから、ぜひチェックして。
福利厚生として導入できる企業向け相談プログラム【ルナルナ オフィス】
生理日管理を中心に、女性の心身の健康状態をサポートするサービスを展開するルナルナ。実はグループ会社にてオンライン診療とオンライン相談を通して女性の健康課題改善を目指す法人向けプログラム、ルナルナ オフィスがあるのをご存じだろうか。株式会社LIFEM(ライフェム)が運営するルナルナ オフィスでは、月経・妊娠(妊活)・更年期の3つの悩みに応じたプログラムを用意しており、企業はこの中から福利厚生の一環として社員に必要なものをいくつでも選択できる。現在は総合商社や大手化粧品メーカー、航空会社などで採用されている。
妊娠(妊活)プログラムの場合、聖マリアンナ医科大学病院の産婦人科の医師と提携し、妊娠や不妊についてのオンライン相談を行っている。妊活を現在進行形で行う人だけでなく、将来的に妊娠を望む従業員(女性に限らず男性も可)とそのパートナー(導入企業外でも可)も対象だ。利用者からは「漠然とした不安を話し、次に自分が起こした方がいいアクションについて具体的にアドバイスをもらえた」「治療を始めるかどうかや、治療の費用や頻度、待ち時間など、病院に行く前に知りたいことを気軽に相談できたことがよかった」といった声が寄せられている。
月経プログラムではオンライン診療を通して低用量ピルの処方を受けることができ、従業員の通院の負担などが軽減されている。企業がこうした支援制度を整えることについて、「上司や同僚の理解はもちろんのこと、費用負担や休暇の制度があると、安心して治療を進められる」「上長ともこのような話題をしやすくなる」など、プログラムに参加したことでなんらかのメリットが得られたという報告も。妊娠を望む働く女性にとって、妊娠・出産とキャリアの両立という問題は深刻なものになっている。ルナルナ オフィスではサービスを通じて、企業が不妊治療をサポートすることで社会課題改善の一助になることを目指しているという。
厚生労働省が公開している【不妊専門相談センター一覧】
厚生労働省は各都道府県、指定都市、中核市が設置している不妊専門相談センターの一覧を公開している。各センターでは不妊に関する医学的・専門的な相談や、心の悩み等について専門家に相談できる。電話、対面、メールの3つで対応可能な形式が表記してあるため、自分が相談しやすい方法を選択することが可能。
排卵日は? 精子の運動量は? それぞれの身体の状態をチェック
妊娠率は男女ともに、年齢を重ねるごとに身体の変化により低下していく。時間を大切に使うためにも、妊活を始めるにあたって、妊娠に関する身体の状態に問題がないかチェックを。まずできることとして、排卵日の予測や精子運動量の測定、妊娠を望む人用の人間ドックなどがある。
※紹介するアイテムは簡易チェックツールであり医療機器ではないため、予測・測定結果は医療機関の診断に代わるもの・確定的な診断ではない
唾液で排卵日などを予測する【コウノトリ 女性用】
排卵日の数日前の最も妊娠が成立しやすい時に性交を行うタイミング法では、排卵日予測が鍵となってくる。通常排卵日検査キットは尿を用いるが、コンピュータ周辺機器などの開発・製造を行うプラネックスコミュニケーションズが手掛ける妊活キットのコウノトリは、唾液で排卵日を予測できる。
キットに入っているのは望遠鏡のような形をしたコウノトリ本体と、唾液を採取する試験紙とスティック、そしてスマートフォンにコウノトリ本体を取り付けるホクリップ。スティックで採取した唾液を試験紙につけて本体に差し込み、専用アプリをダウンロードしたスマートフォン撮影すると、唾液中の結晶体を解析して排卵日、妊娠可能日が予測できる。
妊娠する可能性が高くなるとエストロゲンの数値が上がり始め、結晶体が全体的にシダ植物のような模様になり、シダ状結晶が出来た時は97%の確率で排卵日になるという。専用アプリで結果を保存することができるので、生理日などのメモとともに妊活スケジュール管理にも使える。
継続的にセルフチェックができるよう、30回分の試験紙とスティックがセットになった採取キットも販売している。精子の状態を解析・測定できるコウノトリ 男性用もあるので、パートナーと一緒に試してみよう。
男性が使える【ドゥーテスト® 運動精子濃度テストキット】
妊活は女性一人ではなくパートナーと共に取り組むものなので、男性の健康状態のチェックも欠かせない。不妊の原因はもちろん女性だけではなく、半数近い割合で男性に原因があることも。妊娠検査薬のパイオニアとして知られるロート製薬のドゥーテスト®から、精子の運動量をチェックするドゥーテスト® 運動精子濃度テストキットが2021年2月に登場。現在はオンラインのみで発売している。妊活経験のある男性社員が「妊活をひとりで背負う女性が多い。女性に任せきりで良いのか」と声を上げたことが「ふたり妊活」を提唱する製品誕生のきっかけとなった。
キットにはミニ顕微鏡や採取カップ、スティックなどが入っており、スマートフォンに専用アプリをダウンロードし合わせて使用する。採取した精液を10〜20分置きサラサラに液化させた後、手持ちのスマートフォンにミニ顕微鏡をセットし、アプリを起動させて精液を測定するだけ。自宅でできる簡単な仕様だ。
ドゥーテスト®はWHOが定めた精子の基準のうち、精子濃度と運動率に着目。2つの数値をかけ合わせた「運動している精子の濃度」を指標としている。アプリにはWHOの基準と照らし合わせて1mlあたりの運動精子数が表示される。万が一基準を下回っていた場合は、必要に応じてパートナーと共に医療機関に相談しよう。HPには『男性のためのふたり妊活読本』が公開されているので、そちらもチェックを。
妊娠に関する身体の状態をチェックする【プレコンドック】
有楽町にあるクレアージュ東京レディースドッククリニックが行っているプレコンドックは、「妊娠(コンセプション)前(プレ)のケア」という意味を持つ、プレコンセプションケアのための検査。子宮筋腫、卵巣嚢腫など妊娠の妨げになる可能性がある婦人科疾患を調べられる経腟超音波検査、卵子の残数を推定するAMH(卵巣予備能)検査、卵管癒着の可能性を調べるクラミジア抗体検査、妊娠後に子供への影響が懸念される風疹の抗体検査などが検査内容に含まれている。
自宅でタイミング法を試す時に役立つアイテムを紹介。不妊治療クリニックで受ける人工授精などに進む前に、自分達でできるさまざまなオプションを試してみて。
ポップなパッケージのシリンジ法キット【meeta】
コスメのようなおしゃれなパッケージで、一見すると妊活アイテムには見えないこちらは、シリンジ法キットのmeeta(ミータ)。シリンジ法とは、採取した精液をシリンジを用いて腟内に注入する方法。タイミング法を試みるカップルが、連日では体力がもたない、育児中なのでなかなか時間が取れない、腟内射精ができないといった理由で、排卵日前の性交のプラスアルファとして使用している。
シリンジ法というと注射器の先にカテーテルがついたような形状が一般的だが、meetaはそれらが一体型の容器になっているため、カテーテルと注射器の間に貴重な精液を残さず出し切ることができる。タンポンのような形状なので、使用したことがある人にとっては挿入に抵抗感のないデザインになっている。日本人女性の平均的な腟の長さに合わせて作られているので、奥までしっかりと挿入できる。
現在はオンラインの他、クリニックや鍼灸院、漢方薬局・ドラッグストアの一部店舗で販売をしている。今後は妊活を行うカップルが必要なタイミングで購入できるよう、販路を広げていく予定。商品名の“meeta”には、赤ちゃん(akachan=a)に会う(meet)という意味が込められているのだとか。
精液を腟内にホールドする【ファーティリリー カップ】
ファーティリリー カップは腟内に射精した精液が体外に漏れてしまうことを防ぐアイテム。性交後にカップを腟内に挿入することで射精された精子の流出を軽減し、子宮頸管まで到達することをサポートしてくれる。使用期限は最初の使用から6ヶ月なので、煮沸洗浄をして繰り返し使用できるのも嬉しいポイント。
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性交痛を軽減する【オーナット】
タイミング法で妊活を行う場合、性交そのものに負担を感じていたらなかなか進まないのも事実。もし性交痛によって妊活に前向きになれないのなら、性交痛を軽減するアイテム、オーナットをトライしてみて。
オーナットはファウンダーのエミリー自身が性交痛に悩んでいたことがきっかけで誕生。挿入側の根元に装着することで、挿入の深さを調節できる。ポリマーブレンドでできたリングはモチモチの感触で、お互いの心地よさを損なわない使用感が特徴。リングは4つセットになっていて、パートナーとの相性によってリングの数によって調整も可能。
妊活はひとりではなくパートナーと話し合いながら進めていくもの。まずはどういったスケジュールで進めていきたいのか、どんな方法を試してみたいのかを相談して、自分達にあったやり方で、ファーストステップを踏み出して。