助産師であり、性教育について発信するYouTuberであるシオリーヌさんのトークセッション連載。今回は、セクシュアルアイテムでおなじみのTENGAのグループ会社、TENGAヘルスケアが運営するティーン向けの性の情報サイト「セイシル」の古川直子さんをゲストにお迎え。TENGAヘルスケアの熱心な取り組みに、思わず感激!
セクシュアルアイテムのメーカーだからできること
S 実はTENGAグループって、「生活における性の満足感が、人生をよりよくしていく」ということに、すごく真摯に取り組んでいる会社なんですね。本当に、「なんて真面目な会社なんだ!」って驚きました。これまであった会社に対するイメージが変わりましたね。
F 私も入社するときに友達に反対されたりしました(笑)。でも今では、だからこそできることがたくさんあると思っています。TENGAというブランドは、若年層での認知度が8割くらいあるんです。そういう会社が性教育をやるというのは、すごくインパクトもあってキャッチー。今まで教育界ではなかなかできなかったことも、TENGAならできると思っています。
S こういった活動は、いくら熱意があってもお金や人的資源に余裕がないと、やっぱり限界がある。その点、企業だと資金力もありますしね。
F もともとTENGAヘルスケアの取締役は、障害者の性や高齢者の性など、今までスポットライトを浴びてこなかった性への問題意識を持っていたという経緯があって。そういう課題にフォーカスするのって、NPOだとなかなか難しいですよね。
S わかる! 時間もお金も、ものすごくかかる。本当に大事な問題なのに、すごくタブー視されていて、助成金もそう簡単には出ないですよね。それにしても、「セイシル」のメインターゲットは中高生ですが、会社の主力商品は成人向けですよね。「セイシル」の活動は顧客開拓にダイレクトに結びつかないのではと思うけど、会社としては大丈夫なんですか?
F そうですね、会社の名前も知ってもらえたらいいなとは思っているけれど、それは全然、主たる目的じゃないんです。まずは「セイシル」で正しく健全な性知識を得て、その上で大人になったら、TENGAの製品を楽しんでくれたらうれしいですよね。
S 性の知識って、その人の人生をダイレクトに左右する場合もあるから、そういう情報を発信していくやりがいはありますよね。
F 本当にそうですね。以前、「セイシル」を見て心当たりがあって、病院に行ったことで婦人科疾患が見つかったという子から「おかげで助かりました」という声をもらったことがあって。「セイシル」が、そのくらい大きな出来事のきっかけになりうるというのは、責任もやりがいも感じますね。
S 最近、性に関する商品を作っている企業から、性教育に携わりたいという相談を受けることがすごく増えて。「セイシル」がとてもいい影響を与えているんじゃないかな。性にかかわる企業が性教育をやっていこうという流れができつつある。これがさらに広がるといいですよね。
F ありがたいです。もっとみんなで連携していきたいですね!
『セイシル』
TENGAヘルスケアが運営する、ティーンがメインターゲットの、性教育を学べる情報サイト。楽しく性にまつわる悩みを共有・解消できる。詳しくは→https://seicil.com/
SOURCE:SPUR 2021年7月号「シオリーヌのご自愛SESSION」
photography: Kae Homma text: Chiharu Itagaki