最近頻繁に耳にするようになった「性的同意」というワード。テレビの向こう側にあるニュースの世界だけではなく、大人になった私たちの日常とも密接に関わっている。誰もが尊重される社会のために、その必要性を再確認したい。
※本特集内には、性的同意に関連する被害の描写が一部含まれています。フラッシュバックなどの心配がある方は注意してご覧ください
読者に聞いた、「性的同意」にまつわる体験談
メールマガジンの読者を対象に、今回のトピックにまつわるアンケートを実施。誰しも身に覚えがありそうなエピソードを起点に、自分ごととして見つめ直してみる。
「彼氏がコンドームをつけてくれません。避妊してくれず妊娠した場合、負担がかかるのは女性のほうなのに、ちょっとした手間もかけず自分の快楽を優先された時点で性被害だと感じる。そうした場合どう伝えるのがいいのか、今でも悩みます」(30代・女性)
「気分的にそういうことをしたい気持ちではなかったときに、浮気を恐れて、ことに及んだ体験が何度かある。つき合っており、好きな人であっても女性はしたいときとしたくないときがあると思うが男性は違うのかもしれない、と戸惑う」(30代・女性)
「(婚姻関係にある相手との性行為について)正直なところ嫌なときが多くありました。拒否するとあからさまに機嫌が悪くなるパートナー。加齢とともに痛みを伴うようになってしまっても理解は得られず。性的な部分(の不一致)が解消できないパートナーへの不満がたまり、離別しました。自分の場合は昼間に体の状態をよく説明し、解消できる方法を一緒に探したらよかったかな、とちょっと思っています」(50代・女性)
「そのような雰囲気になりそうだと察知したので、寝たふりをして無理矢理やり過ごしました。友人関係だから、性的なことは望んでいないため、はっきり断りたい。今後の関係性に影響しないように、引き続き友人でいたいときの伝え方を知りたい」(20代・女性)
「今日は抱かないでほしいと言われていたけれど、寄り添ってキスしていたら抱きたくなって、行為へと及んでしまった」(40代・男性)
「飲み会に参加したときに女性から強くホテルに誘われたことがあった。未だにどう気持ちを伝えればよかったのか、迷います」(40代・男性)
「性的同意」とは性にまつわる行為に関して、あいまいにせずに互いの意思を確認すること。ニュースでは「性的同意年齢」(一般的に「性的な行為に同意する能力があると認められる年齢の下限」と言われ、現在の日本の刑法では13歳と定められているが、引き上げるべきとの意見も多い)について報道されることが多いが、大人になってからもつど考えるべき事柄だ。
今回のアンケートでは「『性的同意』について知っていましたか?」という質問に対して、回答者のうち約74%の人が「知っている」と回答した。体験談として多かったのは「(同意がないままに)雰囲気に流されてしまった」というもの。関係性はさまざまで、知人や上司、初対面といった相手に限らず、恋人同士や夫婦間でもパートナーとの行為に悩んでいる声が集まった。どんな関係性においても、当事者のどちらかが望まない性行為は行われるべきではないが、まだまだその認知度が低いのが現状だ。
SOURCE:SPUR 2021年12月号「知っておきたい、『性的同意』のこと」
illustration: Naomi Nose interview & text: Rio Hirai, Miho Oashi