およそ7人に1人の子どもが貧困状態にあると言われる日本。これは決して子どもの自己責任ではなく、社会全体で解決すべき課題だ。現状と原因を知り、自分に何ができるかを一緒に考えよう。
Part1 あの人の声
貧困によって起こる教育格差。その解決策の一つとして地域密着の学習支援を行う、お笑い芸人・哲夫さんに話を聞いた。
Part2 実状をきちんと知る
子どもの貧困の実態と原因、社会に与える影響とは。貧困・格差研究の第一人者・阿部彩さんに聞いた。
話を聞いた人 阿部 彩さん(社会政策学者)
あべ あや●マサチューセッツ工科大学卒業。タフツ大学フレッチャー法律外交大学院修士号・博士号取得。2015年より、東京都立大学教授。同大にて子ども・若者貧困研究センターを立ち上げ、センター長も兼務。
手当てをしなければ、子どもの貧困はなくならない
深刻化する日本の子どもの貧困。その現状はいったいどのようなものか。
「貧困状態にある17歳以下の子どもは2018年の時点で13・5%、約7人に1人の割合です。親の所得に比例して子どもの学力や体力、健康状態、友達の数に差が出るという結果が出ており、いじめに遭う率や不登校になる率が増え、自己肯定感は低くなると言われています。そうしたことが原因で、人と会う機会が減れば、社会とのつながりがなくなり、ますます貧困から抜け出しにくい状況をつくってしまいます」
日本では2008年に「子どもの貧困」がメディアで取り上げられられるようになり、’13 年に「子どもの貧困対策法」が成立したが、その成果が出ているとは言い難いと阿部さんは指摘。貧困問題を放置すると、将来の国の財政収入の損失は15兆9000億円に達するという試算もある(※)。そして、それは国民全員が負担することになる。
「貧困状態の子どもは大人になっても貧困から抜け出せず、やがて親になったときその子どもも貧困に陥る〝貧困の連鎖〟が起きる。仕方がないと放置したままではいつまでも改善されません。まず、国民一人ひとりがこの問題に関心を持つこと。認識が高まり、声を届ければ国は必ず動きます。実際に日本より貧困率が高かった国でも、政策によって改善したケースがある。子どもがいる/いないにかかわらず、日本をどういう社会にしたいかを想像してみてほしい。次の時代をつくる子どもが本来の力を発揮し、のびのび育つ社会。それが私たちにとっても生きやすい未来の姿だと思います」
※日本財団 子どもの貧困対策チーム(2016)より参照
Q1.子どもの貧困とはなんですか?
Q3.子どもが貧困に陥る原因は?
Q5.子どもの貧困の問題点、社会に与える損失は?
Part3 サポーティブな現場から
貧困に苦しむ子どものために動き続ける人がいる。彼女たちは現場で何を感じ、どんなアクションをしているのか。
Part4 私たちにできること
個人でできる支援活動が広がっている。今日からできることのヒントを阿部彩さんに教えてもらった。














