KIYOMI TSUJIMOTO / 辻元清美議員
1960年奈良県生まれ。大阪育ち、立憲民主党所属。大学在学中、民間国際交流団体ピースボートを設立。1996年衆議院選挙初当選以降、国交副大臣、総理補佐官、女性初の国対委員長(野党第一党)などを歴任。
「女性の活躍こそ、社会の経済成長につながる」
20年以上にわたって衆議院議員として活躍するも、昨年の選挙でまさかの落選。一度途絶えた国政の道に、今年"新人"参議院議員としてカムバックした辻元さん。「落選には本当に落ち込みました。ただ、全国から"国会に辻元さんがいないのは寂しい。次の衆院選を待たずに、参院選に挑んでほしい"と声援をいただき、出馬を決意しました」
挑戦するからには、生まれ変わった姿を見てもらいたい。街頭演説では、白シャツやTシャツなどカジュアルなスタイルで立ち、"新・辻元清美"をアピール。「形から入らないとね(笑)。今回の選挙は若い女性ボランティアもたくさん協力してくれました。彼女らとさまざまな意見を交わす中で、私自身も刺激を受けました。私の政策の大きな柱は女性が活躍できる社会づくり。今、日本が直面している少子化や経済の長期低迷は、育児や介護などの負担が女性にかかりすぎているのが一因。女性の負担をサポートする仕組みや、正社員になれる制度などを整え、女性の収入がアップすれば消費が活性化し、経済も成長する。女性が抱える問題を解決することで、日本の閉塞感を打破できると思います」
ただし、国政の中には意見の違う議員もいる。実現に向けてどう働きかけるのか。「私は以前から、超党派の議員連盟活動を行なってきました。NPO法、DV禁止法など、政党を超えて議員が協力して新しい法律を成立させてきた経験があるので、同じように政党を超えて、立法を目指したい。また、自民党の野田聖子議員とクオータ制実現に向けても動いています」
衆議院と違って、参議院の任期は6年。活動内容も中長期的な視野で活動していきたい、と話す。「今回の選挙で全国行脚するうちに地方の厳しい現実がたくさん見えてきました。特に食料自給率の低さは、大きな課題です。今後は各地域のソーシャルビジネスを行う方々をつないで、活動を支えたい。全国にある点を線で結ぶ活動ができるのも参議院議員の強みだと思います」
(上)選挙期間中は日本各地、44都道府県を巡った (中央)DEPT Company代表のeriさんの呼びかけで作ったオリジナルパッチ。"へこたれへん"など辻元さんの決意の言葉が (下)"フットワーク軽くいたい"と、参議院議員になってからはスニーカーを愛用
Q&A
趣味:
断捨離。必要最低限のものだけでシンプルに生きたい。勝手に物を捨てるので秘書たちに怒られますが(笑)。
好きな食べ物:
国会議事堂内にある国会中央食堂の「国会カレー」。和牛と玉ねぎを長時間煮込んだ真っ黒なルーが特徴です。
推している人やモノ:
ヒョンビン。かっこいいですよね〜。原宿で開催された『愛の不時着展』ではカレンダーを購入しました!
勝負服:
エンポリオ アルマーニのグレーのスーツ。選挙のときは、Acne Studiosの白シャツが定番でした。
RIO TOMONOH / 友納理緒議員
1980年東京都生まれ。自民党所属。看護師として働きながらロースクールに入り、弁護士に。医療訴訟を多く手がけるほか、衆議院議員政策担当秘書などを歴任し、2020年から日本看護協会参与として活動。
「看護の現場を女性が働きやすい職場のモデルケースに」
看護師と弁護士、二つの顔を持つ友納理緒さん。「看護の現場で医療事故が起きると、患者と医療機関側が対立し、裁判になるケースがある。現場を知る者として医療従事者を支えたいと思い、弁護士を志しました。トラブルの原因を探っていくと、過酷な労働環境の中で疲労がたまり、ミスを犯すケースが多い。事故をゼロにはできなくても、看護師が安心して働ける環境を整える法律や制度が必要だと思い、立法の世界に踏み出すことにしました」
初の選挙では、自民党からの出馬を決意。「公約を掲げるだけではなく、実行することが大事。法案や政策は多数決で決まりますから、政権与党である自民党に所属することがベストだと思いました。また、党内はいろんな分野のスペシャリストがいるので、多様な意見をもらえることも心強く思っています」
専門知識や現場の声を知る者として、看護医療の環境の改善に尽くしたい、と友納さん。今、最も力を入れている政策は看護師の処遇改善、保育体制の見直しだ。「コロナ禍で、医療の就業環境はいっそう過酷になりました。夜勤回数や総労働時間の短縮など、働き方を適切なものに変えたい。また、現在の医療現場では出産・育児といった女性のライフイベントとの両立が難しい。子どもを預けることを諦めて、仕事を制限している女性も少なくありません。働きながら安心して子どもを育てられる病後児保育や学童などの受け皿となる場所を増やしたいです」
友納さん自身も2人の子を持つ母親。子育てをしながら働く厳しさは、政界にも共通している。「選挙戦は朝8時から夜8時。地方での選挙活動を終えて家に帰るのは深夜で、子どもとふれ合う時間はほぼありません。議員になってからも、党の勉強会が朝8時からで、保育園に預けてからでは間に合わない。女性が国政の場で活躍するためには形式的ではなく、実質的な平等が必要。男性がつくった政治のやり方に女性が合わせれば必ず無理が生じる。選挙のやり方も政治活動も改善して、子育てをしながら政治ができる体制をつくりたいです」
(右)選挙中、街頭で市民と言葉を交わす (左上)9月に開催された厚生労働部会看護問題小委員会に出席。看護職員らの処遇改善などに対しての意見を述べた (左下)友納さんの"推し"である「看護の日」のキャラクター"かんごちゃん"。LINEスタンプ愛用
Q&A
趣味:
皇居ラン。信号で止まらず5㎞走れるのが気持ちいいです。走るのがつらいときは、ほぼ歩いています(笑)。
好きな食べ物:
蕎麦。司法修習生の頃、岩手県盛岡市で過ごしました。わんこそばの最高記録は66杯です。
推している人やモノ:
「看護の日」のキャラクター、かんごちゃん。ハローキティとのコラボグッズもあるんですよ。
勝負服:
イメージカラーがレモンイエローなので、洋服を選ぶときはレモンイエローを入れるように意識しています。
MAKIKO DOGOMI / 堂込麻紀子議員
1975年茨城県生まれ。無所属。流通経済大学卒業。ジャスコ株式会社(現イオンリテール株式会社)入社、2007年労働組合専従となり、イオンリテールワーカーズユニオン副委員長、連合茨城執行委員などを務めた。
「絶対的リーダーを目指すより、市民のみなさんと一緒に社会を変えていきたい」
「まさか自分が国会議員になるとは」。そう話すのは、茨城選挙区で初当選を果たした堂込麻紀子さん。婦人服売り場の店員を経て、労働組合の役員に。14年間、生活者と働き手の両方の視点から、職場の課題解決に向けて取り組んできた。「働き手のさまざまな悩みを聞く中で、職場や家庭だけでは解決できない分野があると気づきました。根本的な解決に向けて法律や制度を変える必要があると思い、国政を目指すことに。メインの政策は働き手の課題解決。中でも、まず取り組みたいのは賃上げです。正規雇用だけでなく、パートやアルバイト、非正規雇用の賃金を上げていきたい」
また、配偶者扶養控除の制度見直しも必須だと語る。「既婚女性の中には配偶者控除を受けるため、所得税がかからない範囲で働かざるを得ない人は少なくありません。もっと働きたい、キャリアアップしたいと思っても、賃金が上がる分、働く時間を減らしたり、職場選びや働き方を考えなくてはいけない。法律に縛られて、才能を発揮できない女性が多くいるんです。以前から問題視されていましたが、なかなか改善が進まないのは、やはり政治の世界に当事者が少なかったから。私には働く女性の仲間がたくさんいるからこそ、彼女たちの思いを国政に反映したい。また、更年期障害も含めて女性のライフステージに合わせた、キャリア設計をサポートする政策や制度にも注力したいです」
そして、女性の力はもっと政界に必要、と続ける。「これまで政治家は強いリーダーでなければいけないと思われていました。でも、そうじゃない。私はみなさんと同じ目線で一緒に課題を解決する"庶民派"の政治家でありたい。日々の生活で精一杯で、声を上げられない人もいる。そういう人こそ政治が手当てをするべき。
"困ったことがあれば言ってください"ではなくて、こちらから積極的に当事者と接する機会を設けて問題を可視化していくべき。だからこそ、同じ目線に立って、声を聞くことが大事だと思っています」
(左)初めての選挙活動。「街頭で"行ってらっしゃい"と声をかけるつもりが、"いらっしゃいませ"と言ってしまったことも(笑)」 (右)台風などの被害を受けて移設された、茨城県大子町新庁舎を見学。「材業が盛んな町らしくぬくもりある木材が特徴です」
Q&A
趣味:
食べ歩き。自然も大好きなので散歩もよくします。おすすめスポットは"西の富士"とも呼ばれる筑波山。
好きな食べ物:
餃子と豚汁、茨城県が生産量日本一を誇る蓮根を使った料理。霞ケ浦湖畔に広がる蓮の田んぼは絶景です!
推している人やモノ:
大谷翔平選手、King Gnuの井口理さん。お二人とも才能はもちろんのこと、努力を重ねているところが好き。
勝負服:
自然を思わせる、グリーンが自分のイメージカラーなので日頃から身につけるようにしています。
MOTOKO MIZUNO / 水野素子議員
1970年富山県生まれ。立憲民主党所属。東京大学法学部卒業後、旧宇宙開発事業団に入社。国連会議やNASAなどとの国際交渉、男女共同参画推進のための有志チーム「宙女」の立ち上げなどを行う。
「政治に企業勤め人が入ることで多様な意見をもたらし政界内が発展する」
"宇宙かあさん"というユニークなニックネームで知られる水野素子さん。掲げるのはイノベーションと子育てに関する政策だ。「私は旧NASDA/JAXAに28年間勤めてきました。日本は高い技術力がありながら、産業競争力が落ちている。その原因は法整備を含む政治行政上の課題です。これを変えることで日本の産業は大きく成長できる。また、私は2人の子どもを育てるシングルマザーですが、日本は子どもを育てづらい環境です」。徐々に改善されてはいるが、北欧諸国に比べると、保育サービスや子育て世代への支援は十分とは言えない。「少子高齢化社会なのに、働きながら笑顔で子育や介護ができる社会じゃないと、未来は明るくならない。だから、まず取り組みたいのは、家計を圧迫している教育費の無償化。教育費の負担を軽減できれば、少子化も改善できるはず。また、離婚後の養育費の算定根拠を是正したい。現在の養育費は義務教育がベースで、高校以上の学費はゼロ、習い事の費用もゼロで算定されています。女性は非正規雇用で収入が低い場合も多く、これでは一般家庭の子どもと比べて学習機会に不足が生じてしまう。この課題を改善していきたいです」
女性は家事や育児、介護などを負担している割合が多く、そういった暮らしの現場にこそ、課題と提案があるという。「政治に女性が入ることで、暮らしに寄り添った提案ができる。また、今の政界には圧倒的に企業勤め経験者が少ない。就職難や失業、通勤しながらの育児といった経験をしていない人が政策を考えているんです。それはなぜかというと、選挙はお金も時間もかかるから。一般の会社員でも、休職して選挙活動ができる制度をつくれば、一歩が踏み出しやすくなるはず。社会で経験したこと、おかしいと思ったことを変えていくのが政治の役目。だから、政治業界への参入障壁を下げて、古い政治を変えていきたい。私は欠員補充のため3年という短い任期ですので、遠慮も躊躇もなく、ぐいぐい行きたい。今までと違う提案、政治をやることが強みだと思っています」
(左)宇宙航空研究開発機構(JAXA)時代、国際交渉の場での活躍が認められ、NASAから感謝状が贈られたことも (右)「当選を願って、娘が書いてくれた七夕の短冊はお守り代わり。いつも大事に持ち歩いてパワーをもらってます」
Q&A
趣味:
旅行と温泉。好きが高じて、温泉ソムリエの資格も取得。おすすめはやっぱり神奈川県の箱根温泉ですね。
好きな食べ物:
甘い物全般。まだ食べたことないのですが、参議院議員会館の中の食堂の「参議院ラーメン」が気になります。
推している人やモノ:
飼っているインコ。手乗りにして子どもと一緒に可愛がっています。犬、猫も好きです。
勝負服:
名前の"水"の字と、長年関わってきた"宇宙"を連想させるブルーが勝負色。スーツやバッグで取り入れてます。