2022.01.28

ふたりの“サードプレイス”を見つける、新たな家族婚を発信【花ノ結婚式屋 飯田諭史さん】

家族だけの宿泊型ウェディング「花ノ家族婚」を2020年6月にローンチ、8か所の魅力的な宿を開拓した仕掛け人であるクリエイティブディレクター・飯田諭史さん(※以下敬称略)にインタビュー。家族婚という新しい文化、そしてSDGsへもつながるスタイルの魅力にフォーカスする。

少人数ウェディングの新たな形を作るなら、今しかない

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ドラマティックな安藤忠雄氏の建築で晴れの日を迎えられる「瀬戸内リトリート青凪」

ーー大切な家族と旅する「花ノ家族婚」をはじめられたきっかけ、コンセプトは?

飯田 コンセプトは“記憶を巡る心の旅”。家族と旅をすることで互いを知り、優しさや温かさを改めて感じる、そんなきっかけを「花ノ家族婚」で作れたらと考えています。元々所属するブライダルプロデュース会社「花ノ結婚式屋」は枠にとらわれないオリジナルウェディングを数多く手掛けていて、新しい形の少人数ウェディングができないか構想中でした。そんな中パンデミックが起こって、やるなら今だろうと。どうせやるなら毎月1会場ずつ増やしていこうと思い切って踏み出し、気づけば「瀬戸内リトリート青凪」、淡路島の「ISLAND LIVING」に「嵐山邸宅 MAMA」と、2021年だけで6軒、計8軒の宿と手を結ぶことができました。

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滞在時は朝日を浴びながらのバスタイムを堪能したい「ISLAND LIVING」
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レストランでの賑やかなパーティと心落ち着くゲストルームでの時間、その両方が堪能できる「嵐山邸宅 MAMA」

――これだけの魅力的な会場とは、どうやって出合ってきましたか?

飯田 最初のリサーチはインターネットがベースですが、ホームページだけでなくSNS、旅行サイト、口コミなど徹底的に下調べをします。判断基準はそこでしか味わえない体験価値があるかどうか。気になった宿には必ず直接出向き人に会いに行きますが、基本的にどの宿も想像をはるかに超えてきます(笑)。それこそ最初のあいさつからポリシーが感じられ、パジャマひとつとってもこだわりがある。例えば奈良にある「ume, yamazoe」は“生まれ”“目覚め”をコンセプトにしていて、宿にあるフィンランド式サウナでその理念を五感で感じられる。お声がけしてきた宿は結婚式を行ったことがないところがほとんどだったので、「花ノ家族婚」のスタイルをゆっくり説明させていただき、長い時は3カ月かけてじっくり縁を結んでいくこともありました。

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「ume, yamazoe」にあるのは、”ただいま”と言いたくなる山里の穏やかな情景と人の温かさ

1日目、2日目と両家の仲が深まっていくのを目の当たりに

飯田 海の綺麗な場所で式を挙げたいというふたりには、結婚式と同時に家族で過ごす余白の時間を作れる可能性を感じた「413はまひが HOTEL&CAFE」という沖縄の宿を提案しました。

――準備期間や式当日はどんなスケジュールになりますか?

飯田 「花ノ家族婚」ではコロナでスタンダードになったオンラインでの打ち合わせを活用して、ふたりだけでなく両家の親族にヒアリングをする場を設けています。お母さまから見た新婦、ご兄弟から見た新郎など、それぞれの立場から見たふたりの印象をお聞きし、それらを披露するコンテンツを宿泊中に用意します。具体的には家族と共に人生を振り返り、感謝を届ける「巣立式」、家族からの言葉をふたりへ贈る「新郎新婦の取扱説明書」などを行って、家族と家族が交わるきっかけ作りを演出します。

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ヘアには花嫁希望の生花のデコレーションを。装飾ひとつにもこだわりを凝縮
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両家共通の想い出として刻まれた、海をバックにしたガーデン挙式

――宿泊中に家族同士の仲もぐっと深まりますね!

飯田 沖縄の結婚式では1日目にバーベキュー、2日目に「巣立式」や「新郎新婦の取扱説明書」贈呈などを行い、ラスト3日目には宿泊中の写真をダイジェストでまとめてムービーを流したんですが、私も泣いてしまいました(笑)。1日目の食事では横の人としか話をしていなかったのが、2日目、3日目には向かいの人や斜めに座っている人とトークするなど、両家がどんどん仲良くなっていくのを目の当たりにできました。普通はあまり家族の方とは交流のないウェディングスタッフですが、23日と長い時間一緒にいさせてもらうと、そこも全然違います。私が装花を手掛けていることもあって、途中からお祖父さま、お祖母さまが「(お花の)先生」と気軽に話しかけてくれて、ご両家の女性ゲスト全員にお揃いの生花でヘアパーツを作ったのもいい思い出です。

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拍手を送る親族のヘアには飯田さん作のヘッドフラワーが

SDGsに繋がる新たなウェディングへの道筋

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瀬戸内の美しい海がいつでもそばにある「URASHIMA VILLAGE」

飯田 意外かもしれないですが、宿選びはその土地に所縁があるというよりは、単純に“行ってみたかったから”という声が多いです。私たちも言うならば、ふたりのサードプレイスを作ってほしいと願っています。これからの未来で縁を深めたい、何度も来たいと思える土地を発見してほしい。それがその土地の価値を伝えることになり、現地の人々に仕事を生む地域創生へのサイクルへと繋がったらいいなと!

――すでに構想しているものはありますか?

飯田 香川の「URASHIMA VILLAGE」では地元で獲れた名産品を引出物にするなど、日々オーナーとディスカッションを重ねています。各宿のオーナーは自分たちの宿や、関わっているその土地の人々も大好きなので、新しいアイデアをどんどん提案してくれる。新郎新婦が結婚式をきっかけに、いろんな形でその土地と繋がりを持ってくれたら嬉しいですね。

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「URASHIMA VILLAGE」はロケーションを活かしたフォトシューティングも魅力

コロナ禍で再確認した、日本の素晴らしさ

飯田 第8弾までローンチした「花ノ家族婚」ですが、まだまだ紹介したい宿はたくさんあるんです。日本は本当に素晴らしいですよ! 各都道府県に一つはおすすめの宿があるぐらい、魅力的な場所が数多く存在している。

――今後も精力的な活動が続いていきそうですね

飯田 まずは2022年に予定している結婚式をきちんと着地させ、「花ノ家族婚」の価値をしっかり提示していくことが一番。まだまだスタートしたばかりで興味がある方も実態がよく分からないというのがほとんどだと思うので、そこをクリアにしていくのが目標です。宿泊スケジュールではあえて余白の時間を設けているので、ぜひご両家の絆を深めてください。

 

 

―PROFILE―
飯田諭史[Satoshi Iida]さん
ブライダルプロデュース会社「花ノ結婚式屋」のクリエイティブディレクターを務める傍ら、同社のプロジェクト「花ノ家族婚」の中心メンバーとして会場の開拓から式当日のディレクションまで担う。魅力あるヒト・モノへの嗅覚が鋭く、興味のある事柄には直接会いに行きハントするのが信条。

花ノ家族婚
https://hana-no-wedding.com/family/

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