前シーズン主流だったシアー素材を用いた軽快なルックがさらに進化した今季、その流れを組み入れつつロマンティックな要素を色濃く出していたのが「デルフィーヌ・マニヴェ」だ。スウィート派にはたまらないドット柄のリラックスドレスのほか、多数のドレスに起用していたコルセット風のスカートはシンボリックなデザインでベストルックに名乗りを上げていた。
毎シーズン新たな優雅さの形を体現するニューヨーク発の最高級ブランド「リーム・アクラ」は、スカートを立体的に彩るビッグフリルが目を引いた。マテリアルはオーガンジーやレースなどあくまで透明感のある素材に徹し、今っぽい軽やかさをキープしながらドレスにインパクトを与えていた。
斬新なブラック、グレーをミックスしたカラーパレットのドレスは「ホートン」から。ブラックレースから透けて見える肌がセンシュアルな表情を醸し出し、スタイリッシュかつセクシーなルックを多数展開。トレンドセッターをいい意味で裏切るデザインを見せつけた。
セレブ御用達ブランド「モニーク・ルイリエ」では、じわじわと火がついてきているフィッシュテールドレスが登場。フロントアップのスカートは内側にチュールをあしらうことでピュアな透明感を宿し、歩くたびに絶妙に透けて見える脚を美しく見せていた。リボンのウエストマークや色づいたフラワーモチーフなど、フェミニン要素が多かったのも特徴のひとつ。
「ジェニー・パッカム」はお得意のヴィンテージライクな装飾にさらに磨きをかけ、輝きを放つ繊細なビーディングを多彩なパターンで提案した。シルエットは基本スレンダーで、ボディに優しくフィットするラインと大きく空いたV開きで女性の魅力を表現していた。
今回のランウェイの中で気になった膝丈スカートのひとつが「オスカー・デ・ラ・レンタ」のレースドレス。ラウンドネックのレーススリーブで圧倒的な気品を感じさせながら、フルレングスのスカートにしないことで軽快な印象を物語り、現代版クラシックドレスを見事に描いていた。同ブランドは他にも変化球シルエットのスカートが話題を集め、ピックアップしたドレスはミニマムなスレンダーを大胆なバック飾りでモダンに昇華した。
モデルが歩くたびに軽やかな装飾が揺れて視線を集める、そんな立体的デコレーションで彩られていた「マルケーザ」のコレクション。アルチザンの巧みな技術が光る装飾は、メインで使われたチュールやレースの透明感を一層際立たせ、ゴージャスだけど程よく力の抜けた、今の気分にぴったりの華やかさを主張していた。
冒頭で語ったトランスペアレントな流れをどこよりも強く印象付けた「ミラ・ズウィリンガー」。“MOREトランスペアレント”と名付けたいドレスの数々は、まるで体に溶けてしまいそうなほどの薄く繊細なマテリアルを駆使し、やわらかなセクシーさをコレクション全体で感じさせた。
ブライダルウィークを賑わせた最新ドレスが日本に到着する、その日が今から待ち遠しい!
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