デザイナーとして活躍する有友由理さんが、箱根「富士屋ホテル」にてウェディングパーティを開催! クラシカルなホテルでゲストとともに盛大に飲んで語らう、温かなムードに包まれた一日の全貌をお届け。
profile:有友由理さん(@yuriaritomo)
デザイナー。デザイナー職を経て2022年独立し、アパレルブランドに勤める原 紘樹さんと約1年半の交際を経て結婚。2023年9月30日に「箱根神社」にて親族を招待した挙式を、「富士屋ホテル」にて約90名を招いたウェディングパーティを開催した。
歴史ある箱根の名門ホテルが舞台
パリ・東京でファッションデザインを学び、デザイナーとしてバッグなどオリジナルアイテムの制作や店舗内装、ユニフォームデザインなどを手がける有友由理さん。同じくファッション業界に身を置く紘樹さんと2023年9月に実現したウェディングの舞台は、箱根で格調高いクラシックホテルとして知られる「富士屋ホテル」。普段からお酒を飲むことが大好きというふたりが目指したのは、お世話になった人たちみんなが楽しめる、温かくて和やかなウェディング。
思い入れのある着物を取り入れた和装スタイルや、伝統あるホテルの正統派フレンチを味わうパーティ、ミニマルなドレススタイルなど、ファッション業界で活躍するふたりならではの、センスが光るウェディングに注目したい。
ふたりの出会いは、由理さんが専門学校のプログラムで留学していたパリ在住時。紘樹さんが勤めるアパレルブランドのファッションショーに、由理さんがフィッターとして参加していたときのこと。そして出会いから3年後の2021年、由理さんが帰国し共通の友人を介して再会。すぐに交際が始まり、3ヶ月後には、立ち飲み屋で「結婚する?」と紘樹さんからプロポーズが! しかしあまりの急展開に、両親から結婚を反対されてしまったのだとか。
「パリの留学を終え、就職して間もなかった頃だったので両親が驚いてしまって。私自身も、こんなに早く結婚するとは思っていませんでした(笑)」。
当初は結婚式を盛大に挙げるつもりがなかったというふたり。約1年間の婚約期間を経て、結婚の許しが出た際に“結婚式をしてほしい”との由理さんのお父さまの思いを受け、ウェディングに向けて動き出した。
正式なプロポーズは、鎌倉のビーチにて。紘樹さんが選び、サプライズで用意していたエンゲージメントリングは、以前からふたりが好んでいたというシハラのもの。「結婚するならシハラがいいねってふたりで話をしていて。ダイヤの爪ありのリングを手に、2回目のプロポーズをしてくれました」。
正式なプロポーズは、鎌倉のビーチにて。紘樹さんが選び、サプライズで用意していたエンゲージメントリングは、以前からふたりが好んでいたというシハラのもの。「結婚するならシハラがいいねってふたりで話をしていて。ダイヤの爪ありのリングを手に、2回目のプロポーズをしてくれました」。
祖母との物語が宿る、振袖をパーティの主役に
ふたりがロケーションに選んだのは、明治11年(1878年)に創業した箱根のクラシックホテル「富士屋ホテル」。当初から、祖母から成人式のお祝いでプレゼントしてもらったという振袖を着たいと考えていた由理さん。イメージにマッチする会場に巡り合うまで、約半年もの時間をかけたそう。
「10軒以上検討したところで訪れたのが、知人が挙式をしていた『富士屋ホテル』。ホテルの厳かなムードや料理、そして箱根神社で神前式ができることが決め手に。さらに後日わかったことですが、幼少期から家族で富士屋ホテルには時折通っていたようで……実はご縁が深い場所でした」。
当日、和装に身を包んだふたりが「富士屋ホテル」の独特の雰囲気の中に佇むと、まるで昭和初期にタイムスリップしたかのような趣に。「箱根神社」の挙式では伝統的な白無垢、パーティのお色直しで吉祥柄の鶴や四季の花々がちらされた豪華な振袖を羽織って登場すると、その姿にゲストから大きな歓声が送られた。
パーティ会場は、大正9年(1920年)にボールルームとして造られたメインバンケット「レストラン・カスケード」。舌の肥えたゲストたちからも好評だったという料理は、富士屋ホテルで永い歴史を受け継いだフランス料理のフルコース。ホテルのシグネチャーでもあるコンソメスープをはじめ、新鮮な素材の持ち味を生かしたリッチな本格フレンチで、ゲストをもてなした。
「東京からのゲストが多く遠くまで来てくださったので、おいしいものを食べて飲んで帰ってもらいたくて。『お料理が本当に素晴らしかった』という言葉をたくさんいただいたので、その思いがかないました」。
披露宴中には、由理さんが祖母をエスコートして高砂へ向かうサプライズの演出も。急な指名に緊張した祖母が足早に歩くと、「おばあちゃん、ゆっくり!」とゲストから声が掛かり、会場は笑いと涙に包まれた。
「祖母が喜んでくれていたのもうれしかったですし、そんな祖母の姿はゲストの皆さんにも印象的だったようです。ホテルだとまた再訪できるので、記念日などに家族で訪れて、結婚式の日を振り返られたらいいなと思っています」。
会場を大いに賑わせたのは、自由にパーティを満喫する90名のゲストたち。ふたりが厳選した昭和の歌謡曲のBGMもあいまって「昭和のホームドラマ」のような一体感で会場は終始和やか。振袖、ドレスの2回のお色直しがあり新郎新婦が会場にいない場面でも、ゲストたちは各々に披露宴を楽しんでいた様子だったそう。
「着替えて会場に戻ってくると誰かが外で談笑していたり、ゲストの出入りが激しかったりと、本当に自由(笑)。今まで自分が出席してきた結婚式はみんなちゃんと着席している印象だったので驚きました。司会の方が『こんなにまとめるのが大変な、楽しい結婚式は初めてかも』と言うくらい。大家族のようなムードでみんなで泣いたり、笑ったりと感情の緩急が激しい、面白いパーティでした」 。
モダンなミニマルドレスで魅せるブライズルック
パーティの終盤には、大胆に開いたバックスタイルが印象的な「ソフィーエトヴォイラ」のスレンダードレスで登場。ウエストの細いバックストラップとタイトなボディが、マチュアなムードたっぷり。ボッテガ・ヴェネタのプレーンなストラップサンダルにジルサンダーの大ぶりなパールのピアスを合わせた、大人のエレガンスが漂うコーディネートを披露した。
ブーケとブートニアを担当したのは、オーダーメイドのアレンジメントやイベント用の装花を行う表参道「VOICE」。シンプルかつ優雅な印象のシングルブーケが、エフォートレスな雰囲気のドレスにフィット。
白無垢のモダンなアクセントとなったのは、陶芸作家の友人・伶実さんにオーダーしたセラミックのかんざし。「彼女はニューヨーク留学時代からのつき合いで、それ以来不思議と互いの環境が変わっても変わらずにそばにいる人。結婚が決まったときから、彼女のものを身につけたいという思いがありました」。
当初はピアスの予定だったものの、重さなどを考慮してかんざしに方向転換。左右どちらから見ても綺麗に見えるようにと試作を重ねて、2種類のかんざしが完成した。うなじに沿わせるようにミニマムにまとめたローシニョンで、かんざしがよく映えるバランスを考慮したヘアスタイルに。
遊び心がのぞくウェルカムアイテム
会場には、普段からラフで楽しいことが好きな、ふたりらしさが滲み出るアイテムを随所にディスプレイ。ビール好きのふたりを表現した広告ポスターや、紅白幕の前で撮影した写真をウェルカムボードにするなど、ゲストの笑顔を誘った。
ふたりらしさのすべてが詰まった一日に
由理さんのご両親に「結婚式をしてほしい」と言われるまで、たくさんの人を招待し、一日主役でいる結婚式には乗り気ではなかったというふたり。ウェディングを終えた今、開催することの意味を深く実感しているそう。
「家族や、家族のようにつき合ってきた友人が私たちのために集まり、お祝いし、涙を流してくれる……こんなに特別な時間があるのかと、新しい発見がありました。多くの方々から優しい気持ちを注いでもらった時間を忘れずに、ふたりで頑張っていこうと思います」。
新たなライフステージの起点となる結婚式で、改めて周囲の優しさに気づき、大きな励みを得たのだとか。人生の節目を経て、仕事でも「フリーランスとして、新たなプロジェクトなどを広げていきたい」と語る由理さん。自由なクリエイティビティを羽ばたかせる原点になりそうだ。