「ふたりの幸せの実りを分かち合いたい」。そんな想いのもと、日本各地から集めた旬の野菜や果物、花々で祝福の宴を描いた飯島聡子さんと小林大地さん。舞台に選んだのは、400年の歴史を重ねてきた日本庭園を擁する「八芳園」。ダイナミックなフラワーアレンジメントや注目のドレスブランドを取り入れた、ふたりらしい和ウェディングの解釈とは?

Profile:飯島聡子さん ディレクションカンパニー「COLLINE Inc.」ゼネラルマネージャー。クリエイティブディレクターとして活躍する小林大地さんと2024年7月に入籍。2025年11月1日「八芳園」にてゲスト約70名を招いたウェディングパーティを開催。

実りに満ちた一日。「八芳園」でかなえる飯島聡子さんの和モダンウェディング【ハッピーストーリーvol.99】

「ふたりの幸せの実りを分かち合いたい」。そんな想いのもと、日本各地から集めた旬の野菜や果物、花々で祝福の宴を描いた飯島聡子さんと小林大地さん。舞台に選んだのは、400年の歴史を重ねてきた日本庭園を擁する「八芳園」。ダイナミックなフラワーアレンジメントや注目のドレスブランドを取り入れた、ふたりらしい和ウェディングの解釈とは?

Profile:飯島聡子さん ディレクションカンパニー「COLLINE Inc.」ゼネラルマネージャー。クリエイティブディレクターとして活躍する小林大地さんと2024年7月に入籍。2025年11月1日「八芳園」にてゲスト約70名を招いたウェディングパーティを開催。

 

“日本の美意識”を軸に描いた和の祝宴

八芳園の庭園にて。飯島聡子さんと、クリエイティブディレクターとして活躍する小林大地さんの和装姿。

八芳園の庭園は、都心にありながら自然と向き合える希少なロケーション。

ディレクションカンパニー「COLLINE Inc.」のゼネラルマネージャーを務める飯島聡子さんと、クリエイティブディレクターとして活躍する小林大地さん。

ブライダルの現場で培った経験を背景に、ホテルやレストランなど多様な空間づくりに携わってきた聡子さん。現在は姉・智子さんとともに「COLLINE Inc.」の一員として活動中。その感性をいかして、ウェディングの舞台に選んだのは2025年10月にリニューアルオープンした「八芳園」だった。

「海外のさまざまな文化に触れるなかで、あらためて日本の美しさに惹かれるようになりました。この国の文化を知るほど、日本に生まれてきたことを誇りに思っています。八芳園が大切にする『日本の美意識』が、空間や料理の細部にまで丁寧に表現されていると感じたことが、場所を選んだ大きな理由です」。

ウェディングのテーマは「The Harvest of Happiness(幸せの収穫祭)」。
食べることが大好きで、日頃から“体験を分かち合う”ことを大切にしてきたふたり。結婚を披露する場というよりも、ゲストと喜びをシェアする時間として一日を構想した。会場は農場を思わせる斬新なフラワーディスプレイで彩られ、木々には新鮮な野菜やフルーツが実り、ゲストが実際に収穫を楽しめる仕掛けも。庭園を望む空間で、和のエッセンスを随所に取り入れた料理を味わうなど、ふたりの遊び心と美意識が行き届いた、特別な一日をプロデュースした。

2025年5月、「NOT A HOTEL NASU」でのフォトシューティングのワンシーン。

2025年5月、「NOT A HOTEL NASU」でのフォトシューティングのワンシーン。

ふたりが出会ったのは2023年。聡子さんの職場の先輩と、大地さんの同級生が結婚したことをきっかけに、「性格が合うと思うよ」と紹介されたのが始まりだった。

「お互いにクリエイティブな現場で働く者同士ということもあり、思い描くライフスタイルや価値観が自然に重なったんです。性格もよく似ていて、どちらもポジティブで楽観的(笑)。一緒に過ごすうちに、この人と人生を共にするんだろうなと、早い段階で確信に近い感覚がありました」。

交際から半年後、ふたりで訪れた鎌倉に宿泊した際、大地さんからプロポーズ。結婚という節目を意識しはじめたとき、聡子さんの心に浮かんだのは、姉の仕事を通して幾度となく足を運んできた八芳園の庭園。「ここしかないと思いました」、そう語る聡子さんが中心となり準備をスタートし、グランドオープンを待つかたちで挙式の日取りを決定。入籍から約1年を経た2025年11月1日、縁の深い八芳園を舞台に、祝宴の日を迎えた。

祝福に包まれて迎えた、温かな門出

八芳園の敷地内にある独立型セレブレーションホール。特別仕様の入場シーン。

八芳園の敷地内にある独立型セレブレーションホール。特別仕様の入場シーン。

柔らかな光に包まれ、秋晴れとなったこの日。ウェディングは、独立型セレブレーションホールでの人前式からスタート。水盤のまわりを歩いて入場するふたりの姿を、ゲストは屋内から見守った。
「屋内に到着するまで約1分半、ゆっくりと時間をかけて歩いていきました。式場に近づくにつれてゲストの表情が少しずつ見えて、歓声が聞こえてきて…。その瞬間が一番、心に残っているワンシーン。皆さんがそれぞれ、私たちとの思い出を重ねながら見守ってくれているように感じました」。
この日、聡子さんが身にまとったのは白無垢。実家のリビングに飾られていた、母の白無垢姿の写真を目にするたび、幼少の頃から憧れを抱いてきたのだとか。
「母の花嫁姿の記憶が、ずっと心の奥に残っていて。白無垢と角隠しは、いつかかなえたい花嫁姿でした」。

「八芳園」での挙式にて。実りの象徴である米の稲穂を主役に、白菊を添えたブーケ。

実りの象徴である米の稲穂を主役に、白菊を添えたブーケ。

白無垢は、「The Bridal Boutique KOTOHOGI by HAPPO-EN」のクリエイティブディレクターである姉・智子さんがデザインを手がけた一着をセレクト。

「印象的だったのは四季が少しずつ移ろっていく、その美しさの表現でした。同じ白でも糸の色味や重なり方が微妙に違っていて、冬から春へ、紅葉が始まる気配などを想像できるんです。その繊細さにときめきました」。 

伝統的なスタイルを大切にしつつ、普段から金髪ボブの聡子さんらしさを活かし、小物でさりげなく変化をつけた。

和の格式を大切にしながら、モダンな感性を自然に織り交ぜた、聡子さんならではの和装スタイルが完成。

和の格式を大切にしながら、モダンな感性を自然に織り交ぜた、聡子さんならではの和装スタイルが完成。

和を表現したリングピローは、苔とすだちを用いたオリジナル。

和を表現したリングピローは、苔とすだちを用いたオリジナル。

マリッジリングは、母と姉も指輪を選んでいたことから、ティファニーをセレクト。デザインはそれぞれの個性に合わせ、聡子さんはTが重なった「トゥルーナローリング」、大地さんはプレーンで太めのマットゴールドを選んでふたりらしいこだわりを追求した。

また、ダイヤモンドのエンゲージメントリングは、聡子さんが母から譲り受けた特別な一本。
「もともと、母がエンゲージメントリングとして父から贈ってもらったもの。ピンとくる指輪に出合えていなかったとき、母から『試してみる?』と言われ、着けたらサイズがぴったりで! いつか娘に引き継ぎたかったという母の想いを聞き、受け継がせてもらいました」。

誓いのシーンで光を放つティファニーのマリッジリングと、母から受け継いだリング。

誓いのシーンで光を放つティファニーのマリッジリングと、母から受け継いだリング。

収穫と食を楽しむ、体験型のおもてなし

八芳園のパーティ会場「クラブフロア」。「農園」をテーマにした装花で会場を作り上げた。

花材をひとつずつ厳選して、和のエッセンスを感じられるディスプレイに。

パーティ会場の「クラブフロア」は、天井に和紙が飾られ和の趣を感じさせる洗練された空間。色鮮やかな花々をふんだんに用い、「農園」をテーマにした装花で会場を作り上げた。

「木々には蔦や苔を絡ませ、テーブルには本物の野菜やフルーツを並べました。バターナッツかぼちゃ、枝豆、唐辛子、日本で最大級の扇レモンやライムなど、会場は爽やかな香りに包まれていました」。
野菜や果物は眺めるだけでなく、ゲストが自由に手に取れるようテーブルに配置。素材は日頃から親しくしている生産者に相談し、この日のために日本各地から集めた朝どれの新鮮なもの。生産者それぞれの背景や思いを共有することで、香りや装飾、会話が自然につながるパーティシーンが生まれた。

ふたりの席にセットされたのは、「いつか新居に迎えたい」と思い描いていた「ラインプロダクツ」のハイチェア

ふたりの席にセットされたのは、「いつか新居に迎えたい」と思い描いていた「ラインプロダクツ」のハイチェア。会場の色味と美しく調和する一脚は、特別にリースで用意してもらったもの。

テーブルに置かれたフルーツが、会場に爽やかな香りを添えて。

テーブルに置かれたフルーツが、会場に爽やかな香りを添えて。

料理は、箸で食べられる和食ベースのメニューを用意。披露宴の開始前から、蟹味噌を使った甲羅焼きなどが振る舞われ、「おいしい!」という声があがる中、ふたりが入場しパーティがスタート。ドリンクにもこだわり、オリジナルカクテルには装花のイメージに合わせて日本茶や野菜・フルーツを取り入れた。

「メインのお肉を食べているときに、テーブルのラ・フランスを切ったり、レモンを絞ったりするゲストもいて、自由に楽しんでくれて(笑)。素材を囲んで自然に会話が生まれるのがすごくうれしかったです」。

先付としてサーブされた蟹の甲羅盛り。メニュー表には“「先に食べはじめててね」の想いを込めて”とふたりから寄せられた愛嬌たっぷりのメッセージが。

先付としてサーブされた蟹の甲羅盛り。メニュー表には“「先に食べはじめててね」の想いを込めて”とふたりから寄せられた愛嬌たっぷりのメッセージが。

ゲスト同士の距離が自然と縮まるよう、席次はなみなみ状に配置。

ゲスト同士の距離が自然と縮まるよう、席次はなみなみ状に配置。顔見知り同士はもちろん、初対面のゲストも会話に入りやすいレイアウトで、新しいつながりが生まれる時間に。

スピーチは、主賓の挨拶・乾杯に加え、5名のゲストに依頼。クリエイティブ業界で活躍する話し上手の面々が、それぞれふたりとの出会いや思い出を披露し、ゲスト同士の会話も弾む場に。テーブルは、ゲスト同士の距離が近くなるように配置され、料理や会話を通して自然とつながるコミュニケーションの時間が生まれた。

オリジナルカクテルは、ノンアルコールを含めた3種類を提供。どれも大人気で、あっという間になくなったそう。

オリジナルカクテルは、ノンアルコールを含めた3種類を提供。どれも大人気で、あっという間になくなったそう。

収穫の際に使ったバスケットは、ウェルカムボードとして入り口にセッティング。ゲストを「収穫祭」の世界観で迎え入れた。

収穫の際に使ったバスケットは、ウェルカムボードとして入り口にセッティング。ゲストを「収穫祭」の世界観で迎え入れた。

パーティの最後には、ゲストひとりずつにバスケットが配られ、木々に実った野菜や果物を自由に収穫する時間が設けられた。会場は温かな空気に包まれ、「収穫祭」のテーマを全員で体感。帰宅後には、収穫した野菜で作ったスープの写真などがSNSに投稿され、ゲスト同士で余韻をシェアした。

個性をまとう、モードなドレススタイル

お色直しは、日本人デザイナー・TOMO KOIZUMIと「The Bridal Boutique KOTOHOGI by HAPPO-EN」が手がけた、コラボレーションによるオリジナルドレス

「The Bridal Boutique KOTOHOGI by HAPPO-EN」で取り扱う、ヘッドピースブランド「Kol(コル)」。木蓮と竹をモチーフにしたデザインが、装いに静かなアクセントを添える。

後半のお色直しで選んだのは、世界的に注目を集める日本人デザイナー・TOMO KOIZUMIと「The Bridal Boutique KOTOHOGI by HAPPO-EN」が手がけた、コラボレーションによるオリジナルドレス。
「普段からTOMO KOIZUMIさんのものづくりに強く惹かれていたので、このドレスを着られた瞬間は人生の宝物です。フリルが白からグレーへとグラデーションになっていると知り、その細やかなこだわりにも心が動きました」。
着物に用いられる正絹の経糸をビスチェの織り地に取り入れた一着で、パーティの終盤を印象的に彩った。

TOMO KOIZUMIを象徴するフリルが際立つドレス。織物の艶が美しいビスチェに呼応するよう、紫陽花を軸に薔薇と濃いピンクのトルコ桔梗を束ねた、立体感のあるブーケを合わせて。

TOMO KOIZUMIを象徴するフリルが際立つドレス。織物の艶が美しいビスチェに呼応するよう、紫陽花を軸に薔薇と濃いピンクのトルコ桔梗を束ねた、立体感のあるブーケを合わせて。

「SENSTUDIO」のドレスをまとって、2回目のお色直し。

ドレスの存在感をさらに引き立てる、深みのある色合いでまとめたシックなブーケ。

もう一着は、日本初上陸として「The Bridal Boutique KOTOHOGI by HAPPO-EN」が唯一取り扱う「SENSTUDIO」のドレス。立体的なフラワーモチーフが全体に配されたデザインに、初めて目にした瞬間、心を奪われたという。
「実は夫も同じドレスに惹かれていたと後から聞いて。ふたりの感覚が重なったことも、印象に残っています」。
ドレス一着でムードを一変させ、その存在感を際立たせるスタイリングを楽しんだ。

未来へ向かう、ふたりのパートナーシップ

2025年5月、自然に囲まれた「NOT A HOTEL NASU」にて家族だけのフォトシューティングを実施

2025年5月、自然に囲まれた「NOT A HOTEL NASU」にて家族だけのフォトシューティングを実施。日常の延長にある上質な非日常で、食事や滞在そのものが大切な思い出に。

自身の結婚式を通して、祝うかたちや過ごし方には多様な選択肢があることを、あらためて実感したという聡子さん。
「まずは目の前の仕事にきちんと向き合うこと。お祝いの場や過ごし方を、自由な発想で提案していきたいという思いも強くなりました。そのうえで、プライベートでは、ふたりでまだ見たことのない景色や、味わったことのない体験を、少しずつ重ねていけたらと思います」。
パートナーとの人生は、特別な節目を経て、静かに次のフェーズへ。ふたりらしい未来は、これからの日常のなかで形づくられていく。

[WEDDING DATA]
会場:八芳園 ドレス:The Bridal Boutique KOTOHOGI by HAPPO-EN ディレクション:COLLINE Inc. (クリエイティブディレクター飯島智子)ヘア&メイクアップ:門田麻記子 装花:飯田諭史 写真:yansu KIM アートディレクション:宝田夏奈