2019年8月の入籍後、2020年初めに挙式を計画したものの、ロックダウンにより日程の延期を決断した編集者の伊藤夏音さん。「お世話になった家族や友人と、ちゃんとお酒を酌み交わしたい」、そんな夫・舜さんの言葉もあり、タイミングを待っていたところに2022年夏頃、舞い込んできたのが軽井沢のホテル「ししいわハウス」の2号館がオープンするというニュース。
「会場を見学して、その建築美にすぐ心を奪われました。場所が決定したことで、親族・ふたりの会社の同期を招待する軽井沢と、都内で友人たちとを招待する二拠点でのウェディングにしようと話がまとまり、再び動き出しました」。
2019年にオープンした「ししいわハウス軽井沢」は、雄大な自然のなかに溶け込むように設計された隠れ家的リトリートホテル。会場は新しく2022年7月にオープンし、木をふんだんに使用し設計された第2号館。ふたりのウェディングプロデュースを担当したNormally weddingのプランナー・斉藤さんから、挙式1組目のカップルにならないかと相談を受けて実現した。
「自然と共存する空間や佇まいに引き込まれて、直感的にここで挙げたい!と決定しました。料理とホスピタリティも素晴らしく、非日常を体感する特別な日にぴったりな場所です」。
セレモニーは、両親と手をつないで入場した新郎の舜さんへ、ゲストから一輪ずつダリアを手渡しするシーンからスタート。最後にダリアをブーケにまとめ、夏音さんへと渡すダズンローズの儀式では、新しい家族の繋がりを感じさせた演出に。
誓いは、職場の同期たちから「ふたりに誓ってほしいこと」を投げかけられ、答えていく人前式スタイル。仲間を思いやるやり取りに、会場は笑いと涙で包まれた。
「最後に“妻に誓ってほしいこと”として、夫から『仕事や他の人のことに一生懸命になりすぎず、自分のことを大切にして』と言ってもらって。私のことをよく見てくれているんだなと実感して、うれしく温かい気持ちになりました」。
後日に控えた友人とのパーティも見越して、こだわってドレスを選んだという夏音さん。セレモニーでは、レトロなムードが漂う「Qazari(カザリ)」のロングスリーブドレスをセレクト。
「なかなか好みのものが見つからず、やっと巡り合った名古屋のドレスショップの一点もの。東京から数回通ってフィッティングをしました。身体のフィット感が完璧で、ボリュームレスだからさらっと着こなせるし、会場のナチュラルで上品な雰囲気にもぴったり!」
また、お色直しで着用したのは、「CELFORD×HANAEMORI(セルフォード×ハナエモリ)」で購入したドレスライン。
「急遽お色直しをすることになったため、費用を抑えつつ探していたときに出合ったのがこのドレス。1着目からの変化も感じられるし、インパクトのある首元のボリューム感が決め手になりました」。
セレモニーの後は、ゲストとの会話を楽しむウェディングパーティへとシフト。
ふたりが選んだ結婚式のテーマは、オランダ語で居心地が良く、ポジティブで温かい感情を意味する「gezellig(ヘゼリヒ)」。
「パーティでは、ゲストがどんな人で、新郎新婦とどんな関係性かを紹介する時間を設けました。一緒に写真を撮ったり会話を交したりする時間もしっかり確保。コロナ禍を共に経験したゲストたちと、以前のように笑いあえる時間は不思議でもあり、温かく幸せな気持ちになりました」。
愛する人たちと共に過ごす時間を余すことなく楽しむ、忘れられない一日となった。
装花、テーブルコーディネートでキーカラーとなったのは、夏音さんの大好きな色であるオレンジ。会場全体がオータムウェディングのムードもたっぷりの柔らかい世界観に包まれた。
コロナ禍の数年、旅に出ることが難しかったこともあり、今回のウェディングは「家族とのショートトリップ」としてロケーションを選んだ夏音さん。
「両家とは前日の夜、軽井沢で一緒にディナーへ。結婚式の前に、改めて挨拶を交わすことができた有意義な時間となりました」。
また、夏音さんの大切な家族であるおばあさまも、車椅子でウェディングに参加。制限のないこの時期を待って、ウェディングを実施することの意味を感じられた。