今年で創業235年の歴史を誇るショーメ。その始まりは1780年、貴族の家に出入りしていた宝石職人マリ=エティエンヌ・ニトが、パリのサントノレ通りに店を構えたことに遡る。その後、ニトはナポレオンと運命的な出会いを果たし、ニトが手掛ける宝飾品に魅せられたナポレオンは1802年、ニトを皇帝の初代公式ジュエラーに任命する。フランス王室の宝である140カラットのダイヤモンド“レジャン”を嵌め込んだ宝剣や、初代皇帝となるナポレオンと后妃ジョゼフィーヌの戴冠式の宝冠、さらに後の后妃マリー=ルイーズとの婚礼の際の豪華な結納の装身具セットなど、ニトは皇室の威厳と権力を象徴する豪華なジュエリーを次々と制作。その名声は、たちまちヨーロッパ全土に広まった。
1885年に経営を引き継いだ4代目ジョゼフ・ショーメは、メゾンに自身の名前を冠し、従来のデコラティブだったデザインの伝統に自然の素材の美しさとアーティストの感性を重視するスタイルを取り入れ、現代のジュエリーの基礎を築いた。その後ショーメは、1900年のパリ万国博覧会を皮切りに、この時代の国際博覧会すべてに出品し、数々のグランプリを受賞。フランス王室はもちろん、イギリス王室やロシア、中近東、アジアなどの王室や貴族の御用達ジュエラーとなり、世界のトップジュエラーとしての地位に君臨した。
華やかな歴史を背景に、世界各国の王侯貴族のウェディングジュエリーを制作してきたショーメ。中でもティアラの制作に注力し、これまでに3500個に及ぶティアラが王侯貴族のウェディングを筆頭にさまざまな結婚式用に創られた。そんな由緒正しき伝統と卓越した技術を受け継ぐショーメのブライダルコレクションには、大切な人との絆を象徴する「リアン・ドゥ・ショーメ」コレクションや、ナポレオンの最愛の女性・皇后ジョゼフィーヌをイメージした「ジョゼフィーヌ」コレクションのように、感情豊かで親密な愛のメッセージが込められている。パリのヴァンドーム広場のアトリエでひとつひとつ丹精込めて創られたブライダルジュエリーは、いつの時代も花嫁にとって憧れと幸せのシンボルなのだ。
(写真左)ヴァンドーム広場12番地にある本店2階のル・グラン・サロン。ルイ16世の海軍財務総監の命により建造されたこのサロンは、1927年にフランス政府から歴史的建造物に指定された。作曲家のショパンが晩年を過ごした場所としても有名で、現在は上顧客のサロンとして使われている。 (写真右)1919年のプリンス・シクスト・ド・ブルボン=パルムとエドウィージュ・ド・ラ・ロシュフーコーの結婚のために制作された「ブルボン=パルム・ティアラ」。ロイヤルウェディングを華やかに彩ったこのティアラは、高さがあり堂々とした印象を与えながらも、軽やかなアール・デコスタイルを先取りしたモダンなデザイン。同ティアラにインスパイアされたリングも揃う。
ショーメ
電話:03-3613-3188