SPURなどのファッション誌や、世界のコレクションを舞台に活躍するモデルAoiさんが結婚! 自由な感性や自身の結婚観を表現した、アーティスティックなフォトシューティングの様子をお届け。「VIVIANO(ヴィヴィアーノ)」の幻のウェディングドレスをまとった、唯一無二のドレススタイルにも注目して。
「174センチと身長が高かったので、自然とモデルをするようになった」というAoiさんがデビューを果たしたのは、2015-2016年秋冬の東京コレクション。東京ニューエイジの「kotohayokozawa(コトハヨコザワ)」、「AKIKOAOKI (アキコアオキ)」のショーに出演したのがキャリアの始まりだった。
その後も出身地・大阪の大学に通いながらモデル業を続け、卒業後は単身ヨーロッパへ。海外エージェントに登録し、2019年「John Lawrence Sullivan」春夏のメンズコレクションでランウェイデビューを飾るなど、世界で活躍する。そんな彼女が結婚に至った経緯とは。
Aoiさん:「彼と出会ったのは2022年の夏、仕事で滞在していたイギリスから帰国して間もない頃でした。新宿のとあるバーで、たまたま隣りの席になったんです。初対面の印象は“優しい人”。よくよく話を聞いたら、絵などを描くクリエイターというだけあって、話が面白くて! 後日、ふたりで会ったときにはすっかり意気投合して、おつき合いを始めました」。
自分を知り、認めることに繋がった彼との出会い
交際がスタートしたのは、折しも海外のコレクションにキャスティングされるようになった頃。海外出張が多く日本滞在時はホテル住まいだったということもあり、彼の提案で同棲がスタート。そして交際から約1年後の2023年7月、ふたりは結婚という形を選択し、ひとつの家族に。
「もともと結婚願望はあったのですが、私はとにかく心配性で。私を安心させるために、彼が“結婚”という約束をプレゼントしてくれたと思っています」。
誓いの証ともなるウェディングリングは、Aoiさんがもともと好きだったというティファニー。小さくミルグレインが施されたタイムレスな一本をセレクトした。
「『サプライズが好き』と彼に伝えていたところ、ある日突然、部屋にティファニーのショッパーが置かれていて! ドキドキして開けたら、入っていたのは指輪ではなくカタログ。彼がショップへ行ったら『結婚指輪は普段着けるものだから、パートナーと一緒に来てください』と言われたそうで…(笑)。後日ショップに出向いて、おそろいのリングを選びました」。
お互いに歩み寄って“改めて自分を知る”結婚生活
結婚生活では、今まで見えていなかった“本当の自分”に気付かされたというAoiさん。お互いが持つ“常識の違い”を共有し、話し合いを重ねてきたそう。日常においての感覚のすり合わせについて、Aoiさんはこう振り返る。
「結婚当初は食器の洗い方や洗濯物の畳み方など、彼のこだわりを理解できないことがたくさんありました。でも彼も同じで、私の行動に違和感を感じることもあって。私自身を否定することなく、認めてくれたり助言をしてくれるおかげで、居心地がとても良いんです。視野が広がって、以前に増して人生を楽しんでいます」。
男でも女でもない。それぞれの個を表現したウェディングフォト
ふたりが記念として残したのは、結婚の一般的なイメージである甘いハッピーなムードとはひと味違った、どこか物憂げな写真の数々。『結婚は綺麗なことだけじゃない』というAoiさんの結婚観を、大判のフィルムカメラ「ディアドルフ社の8×10(エイトバイテン)」を使用して表現した。撮影を担当したのは、パリと東京を拠点に活躍するフォトグラファーのYuji Watanabeさん。
「テーマとしたのは『人間』。フォトグラファーのYujiさんとは、撮影まで何度も打ち合わせを重ねてきました。男や女という性別を超えた、ありのままの個をお互いが受け入れるようなイメージです」。
デジタルカメラが主流のシューティングとはまた違う、フィルムカメラで撮影するという緊張感にもこだわりが。ふたりの間に流れる空気感、体温や湿度など「一瞬しか写らないもの」を収めた、ノスタルジックな作品が完成した。
「ヴィヴィアーノ」の特別なウェディングラインをまとって
撮影時に着用した衣装は、日本のファッションブランド「VIVIANO(ヴィヴィアーノ)」のドレス。コレクションを通じて知り合ったデザイナーのヴィヴィアノ・スーに依頼し、ブランド初となるウェディングライン(未発表)でのシューティングを実現したもの。
「結婚を決めたときからヴィヴィに、ドレスを着て撮影がしたいと相談をしていて。彼にもヴィヴィアーノのドレスを着てもらって、撮影に臨みました」。
彼のロングドレスは“男女に垣根がない”という、ニュートラルな価値観を表現した重要なキービジュアルに。シューティングではウェディングドレスのほか、色鮮やかなブルーのドレスも着用。ヴィヴィアーノを象徴するリズミカルなチュールが、ふたりのウェディングスタイルをよりモードに演出した。
“きれいなだけじゃない”結婚の現実を表現
ヘッドピースは、ヘア&メイクアップアーティストであり、アートピースのクリエイターとして活躍する松野仁美さんの、バラをモチーフにした作品をセレクト。美しい花を人間に巻きつけることで、“きれいなことばかりではない”結婚生活の痛みや、障害を表現。職業・モデルである自身の感性を色濃く映した、アーティスティックな世界を作り上げている。
”好きでいるための努力”を欠かさず、フレッシュな夫婦でいたい
結婚は、ふたりで新しい家庭を築き上げていくクリエイティブな作業。Aoiさんは試行錯誤しながらも、結婚生活から得た自分自身の変化を心から楽しんでいるのだとか。
「人間と人間が生活をするのは、改めて大変なことなんだと実感しています。まさに人生観のぶつかり合い。ふたりでよく話すのは“嫌いにならないための努力”、“好きでいるための努力”を続けるということ。疑問に思ったことはすぐに話し合ったり、LINEなどの文章で思いを言語化することを心がけています」。
また、経験を重ねるごとに楽しくなってきたというモデルの仕事は、彼が喜んでくれることも仕事のモチベーションのひとつに。現在、表情や体から伝わる表現力を日々磨いているそう。
「駆け出しの頃は必死でしたが、最近は心に余裕が少し出てきたと感じていて。海外や日本で出会うモデルやダンサー、街の人たちなどの動きを研究しながら、撮影やショーで生かしていきたいと思っています」。
モデルとして最前線を走りながら、どんなことにも挑戦しつづけるスピリットを持つAoiさん。パートナーとの新しい人生を踏み出した彼女の活躍に、今後も目が離せない。