ネイリスト浅野由記子さんが肌身離さず身につける結婚指輪2本のストーリー【ウェディングリングSNAP vol.24】

おしゃれな人はどんなウェディングリングを選び、どう身につけている? 結婚にまつわるストーリーとともに、指輪へのこだわりやデイリーなスタイリング、ライフスタイルに至るまで調査。日頃から美しい指先を作り続けるネイリストの浅野由記子さんをゲストに迎えた今回は、個性あふれるリングとネイルのバランスも参考に。

浅野由記子プロフィール画像
「be born」主宰浅野由記子

学芸大学のネイルサロン「be born」を主宰。“ミニマル&モード”というコンセプトにした、センスのよい仕上がりに、ファッション・アート関係者からも⽀持を集める。自然からインスピレーションを得た、オリジナルカラージェルも展開する。

自身の手もとできらめく、ふたりの絆の証

学芸大学のネイルサロン「be born」を主宰する浅野由記子さん。全身スタイル

ブラックのコーディネートに手もとの水色のワンカラーネイルが映える。浅野さんがプロデュースしたオリジナルカラージェルで、暖かみのあるジュエリーと絶妙なコントラスト。

2026年にオープン10周年を迎える学芸大学のネイルサロン「be born」を主宰する浅野由記子さん。私生活ではヘアメイクアップアーティストとして活躍するパートナーと約17年前に結婚し、現在は二児の母として育児にも励む。

浅野さん:「出会いは美容の専門学生時代。交際後、19歳のときに同棲を始め、夫がヘアメイクのアシスタントを経て独立した年に結婚しました。ちょうど私が25歳、彼が30歳でキリもよくて。長く一緒にいたので、その段階でもうお互いのことを知っているよき理解者でもありました」。

「be born」浅野由記子さんが結婚指輪と婚約指輪を兼用する前提で選んだのは、アガットのソリテールリング。パートナーのリングは、親指に身につけているそう。

毎日を共にする2本のマリッジリングはアガットで。それぞれ内側には、明るい結婚生活を願ってポジティブな言葉を刻んだ。

そう話す浅野さんが結婚指輪と婚約指輪を兼用する前提で選んだのは、アガットのソリテールリング。

「どんなスタイリングにも馴染む、小さなダイヤモンドがついたイエローゴールドのリングにしたい、と結婚前から自分の中で決めていて。当時のウェディングリングの素材はプラチナが多く、なかなか見つからなかったんです。ひたすらジュエリーショップを巡って、アガットのアトリエでやっと出合えた指輪を勝手に取り置きして(笑)。後日、彼と一緒に購入しに行きました」。

パートナーは一見シンプルながら、曲線美を描く結婚指輪をセレクト。ヘアメイクアップアーティストという職業柄普段は身につけていないため、近年はそのリングを浅野さんが拝借し、自身のリングとダブル使いするのが定番になっているとか。

「be born」浅野由記子さんの手もと。左手の親指にはパートナーのもの、薬指には自身の結婚指輪を肌身離さず身につけている。

左手:(親指)パートナーのマリッジリング/アガット (人差し指)リング/ハンドメイド (中指)3連リング/コセ (薬指)マリッジリング/アガット  右手:(人差し指)リング/チャンシー アトリー ジュエリー (薬指)リング/へレンズキャメル ブレスレット:ヴィンテージ

ウェディングリングに選ぶほど、イエローゴールドが好きだという浅野さんの手もとを拝見。左手の親指にはパートナーのもの、薬指には自身の結婚指輪を肌身離さず身につけている。
「最初は艶やかな金色でしたが、年を追うごとにマットな質感に。17年間、欠かさず指にはめているから体の一部のような感覚で、経年による変化さえも愛おしく感じています」。

両手にバランスよくセットされたリングは、大ぶりのシェイプや色石があしらわれたデザインなど、どこかオリエンタルなムードが漂う。「洋服がベーシックなので、ネイルとジュエリーで遊び心を意識しています」。

旅を彩るジュエリーや唯一無二のハネムーン体験

「be born」ネイリストの浅野由記子さんの愛用ジュエリー。海外では蚤の市や作家のアトリエに足を運んで購入することも

海外では蚤の市や作家のアトリエに足を運んで購入することも。上から時計回りに:ピアス/へレンズキャメル オーバルリング/旅先のスペインで 3連リング/コセ シルバーリング/チャンシー アトリー ジュエリー バンドリング/へレンズキャメル 太陽モチーフのリング/旅先のアムステルダムで

愛用のジュエリーは知人が手がけるブランドのほか、スペインやオランダといったこれまでの旅先で見つけた作品など、自身とつながりのある場所で購入することが多いのだそう。
「家族でキャンピングカーに乗り、北海道の美しい自然の中で夏休みを過ごすという幼少時代を通して、国内外を問わず旅行することが大好きになりました。2026年はトルコとギリシャ、イタリアを巡るクルーズを画策中です」。

「be born」浅野由記子さんが結婚の際、選んだハネムーン先は、セブ島の修道院へ住み込みのボランティア。

セブ島の修道院を訪れた17年前の写真は、今でも大事に保管している。女の子に足の爪のケアを教えているシーンも。

そんな旅行好きの浅野さんが結婚の際、選んだハネムーン先は意外な場所だった。
「これから先も好きな国には行けるし、せっかく夫婦になるならふたりで何か体験できることをしたいという意見が一致して、セブ島の修道院へ住み込みのボランティアに行きました。当時は少なかったインターネット上の情報を頼りに世界中を探し、そこがいちばん人手が足りない場所だったんです。女の子が多い施設だったので、彼は彼女たちに三つ編みを、私は爪のケアを教えてあげて。夫が子供に優しく接する様子を初めて見ることができたのも含め、とてもいい経験でした」。

「be born」浅野由記子さんが着用する、渦巻きモチーフが目を引くネックレスはスペインで購入。

渦巻きモチーフが目を引くネックレスはスペインで購入。へレンズキャメルのフープピアスは「デザイナーの祖母の形見の宝飾品を溶かして作った」という想いがこもったストーリーに惹かれたそう。

「be born」浅野由記子さんの全身スタイル。ヘルシーな肌見せやメタリックなシューズを組み合わせて軽やかに。

黒をベースにしながら、ヘルシーな肌見せやメタリックなシューズを組み合わせて軽やかに。トップス/ナイスナイス モーメント スカート/ウィッティ ヴィンテージ シューズ/ナインウエスト 首に巻いたスカーフ/ウィッティ ヴィンテージのオリジナル

この日は購入したばかりのお気に入りのスカートを主役に、大人が着こなすシックなオールブラックスタイルを披露。
「いつも服を選ぶときに意識しているのは、その日に訪れる場所のインテリアの一部になるイメージでコーディネートを組むこと。お客様もおしゃれをして来てくださるので、仕事中の装いは特に手を抜かないよう心がけています。そして、40代はとにかく品のよさが大事。最近はヨーロッパにもよく行っているので、スカーフだったりバンダナだったり、エレガントな小物も取り入れるようになりました」。

結婚や育児を経験したからこそ築けたキャリア

ネイルサロン「be born」の店内。壁には、オリジナルで展開するカラージェルのチャートが。

「be born」の“ミニマル&モード”というコンセプトを体現するクリーンな白壁に、1st〜3rdまで展開するオリジナルカラージェルのチャートが。全21色はすべて、愛する自然からインスピレーションを得ている。

現在は、中学2年生と小学6年生の息子を育てる浅野さん。出産と育児が、開業のきっかけになり、人生そのものの大きなターニングポイントだったそう。「ネイル業界の第一世代が私を含む40代。子供を産んだ27〜29歳当時は別の店舗のマネージャーを務めていたのですが、出産した途端に安定して働きにくくなる、という現実に直面したんです。多くの人がこれから結婚や出産を考えるであろう業界なのに、このままではいけないと焦りを感じ、働き方を問い直すためにも出店を決めました」。

ネイルサロンという枠組みを超え、スペースの一角をギャラリーとして活用しているのも「be born」の特徴。浅野さんの知り合いや、知人を介して出会った作家にアプローチして作品をピックアップすることも。

今年は店舗全体を使って、自身の思想や美学を具現化したインスタレーションも開催。オリジナルのハンドローションとネイルセラムも発表するなど、記念すべき10周年を前に2025年は全力投球の年だったという。「来年の春には、祐天寺のヴィンテージショップ『Witty Vintage』とのフィジカルな企画も計画中。10周年を盛り上げる、楽しいイベントにしたいですね」。