90年代に細眉やリップライナーを流行させ、キム・カーダシアンより早くコントゥアリングを取り入れた伝説のメイクアップアーティスト、ケヴィン・オークイン。彼の天才的なメイクアップの技とセンスに惚れ込んだのは、リンダ・エバンジェリスタやケイト・モスなどのスーパーモデルはもちろん、ウィノナ・ライダー、グウィネス・パルトロー、シャロン・ストーン、イザベラ・ロッセリーニなどの幅広い年代の女優たち。そして、シェールやホイットニー・ヒューストンなどの歌手とそうそうたる顔ぶれで、まさに80年代後半から90年代にかけての人気者のほとんどのメイクを手がけたと言っても過言ではないほど。
1997年NYコレクションのバックステージで、リンダ・エバンジェリスタにメイクを施すケヴィン・オークイン。Photo:Getty Images
惜しくも2002年に早逝したケヴィンだが、ここ最近の90年代リバイバルブームに乗って、再びその輝かしい功績が再注目されている。昨年の『Kevyn Aucoin Beauty & the Beast in Me(原題)』に続き、今年の夏には『Larger Than Life: The Kevyn Aucoin(原題)』と、ケヴィンを題材にしたドキュメンタリー作品が続々公開に(日本公開は未定だが、一部オンデマンドでの視聴は可能)。
スーパーモデルのシンディ・クロフォードと仲睦まじい様子のケヴィン。Photo:Getty Images
まだスマートフォンのない時代にビデオで撮影されていたバックステージ映像や、今見ても新鮮なモードメイクもさることながら、ケヴィンを愛する豪華セレブたちのコメントも作品の魅力。『Larger Than Life: The Kevyn Aucoin(原題)』では、細眉ブームを牽引したケイト・モスが「歯医者みたいな椅子に座らされて、眉を全部抜かれた」と振り返り、ナオミ・キャンベルは「ケヴィンが担当する席以外に座ろうなんて思いもしなかった。いつも行列ができていたけど、ほかの人のところになんて行かなかった」とその人気ぶりを証言している。
1995年のCFDAアワードでは、モデルのナジャ・アウアマンをエスコートPhoto:Getty Images
著書『Face Forward』のなかで 「メイクアップは楽しいもの。誰かに言われていやいやするものではない」、「個性を認め強調することができる、それがメイクアップのもつ素晴らしい面のひとつ」と語るケヴィン。自らのコンプレックスを受け入れ多様な美しさを讃えるその主張は、20年近く経った現在でも色あせることはない。むしろ、ようやく時代がケヴィンに追いついたのだ。
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