お口にまつわる4つの真実を追え!

インフルエンザもコワイ病気も口腔ケアで予防できるってホント⁉ その真実を3名のプロフェッショナルにリサーチ。

 

この3人に聞きました

総合診療医・歯科医師・歯学博士・YouTuber
松本朋弘先生
2016年より練馬光が丘病院にて、摂食嚥下と誤嚥性肺炎対策の専門医として従事。医学教育、他職種連携、社会的処方などをキーワードに活動中。さらに、YouTubeなどで医療者と社会との新しい関わりも提案中。

歯科医師・口もと美容スペシャリスト
石井さとこ先生
ホワイト ホワイト院長。歯と体を美しく保つためのアドバイスに定評があり、女優やモデルなどからの信頼が厚い。WEBマガジン「OurAge」の連載をはじめ、各媒体で歯が美しく見えるアドバイスを行う。

サンスターグループ 広報部
一坂理絵さん
ヘアケアのマーケティング担当を経て広報部へ異動し、現在はオーラルケア全般のリリースに関わる。オーラルケアのリーディングカンパニーとして、製品情報をはじめ歯周病とその予防に関しての情報も発信。

 

TOPIC 1 歯磨きで風邪対策

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最近よく耳にする歯磨きによる感染症予防。実際効果はあるのか?「私たちの口内には、約30億~6000億の細菌がいますが、これらの菌はプロテアーゼという酵素を出します。これが細胞膜をこじ開け、インフルエンザのウイルスの侵入を手伝ってしまいます。つまり、口内を不潔な状態にしておくと感染症につながりやすいと言えます」(石井先生)
「冬は空気の乾燥によって口腔内やのど、鼻の粘膜が乾燥し、ウイルスや細菌など外からの侵入を防御する機能が低下。特に朝の口腔環境は、睡眠中の発汗による体内の水分不足や口呼吸などの影響で乾いた状態であり、一日の中で最も口内の細菌数が多くなります。就寝前は歯間清掃具なども使いながらしっかり磨いて細菌をできるだけ減らし、朝は特に丁寧に歯磨きを行うことが大切です」(一坂さん)
体内に菌などを侵入させないためにも、起床したらすぐに歯磨きを。これをするだけで、老人ホームではインフルエンザの発症率が10分の1に減ったという報告も。朝食後は軽く口をゆすぐだけでもOK」(石井先生)

それでは、新型コロナウイルス対策にも歯磨きは有効?
「新型コロナウイルス感染症に関して、歯磨きによってウイルスが軽減するといったエビデンスが少ないながら出ており、感染予防の可能性が示唆されています。しかし、インフルエンザに対しての有効性は示されています。従って感染症予防には口腔衛生を徹底することが重要です」(松本先生)

 

TOPIC 2 実はドライマウスかも!?

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唾液の分泌量が減って口内が乾くと、飲食しにくい、口臭がきつくなるなど、さまざまな弊害が出るドライマウス。舌に痛みが出ることも。
「ドライマウスは高齢者に多い症状ですが、緊張を強いられる場面では年齢に関係なく唾液分泌量が減って口内がネバつき、口臭の原因に。逆に唾液はリラックスした状態のときに多く分泌されますから、リラックスできる時間を設けて。唾液には抗菌物質が含まれているため、ドライマウスだと虫歯や歯周病のリスクが高まります」(松本先生)
「ストレスやダイエット、噛まない食生活で若い人のドライマウスは増えています。マスク着用が常態化することにより口呼吸が増えたり、水分摂取量が減ることもドライマウス急増の原因に」(石井先生)

一度なってしまったドライマウスは改善することはできるのか?
「唾液腺マッサージも効果はありますが、まずはストレスを減らす、睡眠の質を高めるといった生活習慣の見直しを。また、アルコールを摂取すると体内の血中濃度が高まり、脱水症状になるため、飲酒したら同量の水を飲むことが大切。コーヒーも同様です」(松本先生)
「食事に根菜を取り入れたり、硬いおつまみを食べるなど、生活の中で噛む回数を増やす工夫を。また、疲れてくると唾液がネバつきがちなのでチューイングガムを左右20回ずつ噛むのもおすすめ」(石井先生)
のどが渇いていなくてもこまめに水分を摂るようにしよう。

 

TOPIC 3 歯周病は万病のもと

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男女問わず、成人の85%が罹患しているといわれている歯周病。痛みもなくじわじわと進行していき、最終的には歯を支える骨を溶かして歯を失うイメージが先行するけれど、コワイのはそれだけではなかった。
歯周病は世界で一番罹患率が高い感染症ですが、口臭や歯を失うなどの口腔内の問題だけではありません。歯周病菌は細胞を破壊し、血中から全身にまわって糖尿病や脳梗塞、動脈硬化、肺炎などさまざまな病気を引き起こし、最悪の場合は死に至らしめます。歯磨きの際に出血をする、フロスをすると臭う人は歯周病を疑ってください」(松本先生)
「口内にいる歯周病菌には、歯と歯肉の隙間から少しずつ出ている女性ホルモンを栄養源に繁殖するものがいるため、女性ホルモンが変動する思春期、妊娠期、更年期に歯周病が発症しやすくなります。丁寧な歯磨きはもちろんですが、歯科でのクリーニングも忘れずに」(石井先生)

歯周病菌が増殖する一番の要因は何といってもプラーク。プラークは食べ物のカスがたまったものと思われがちだけれども、その正体は細菌のかたまり。だからこそ、日々の歯磨きが歯周病予防の要となる。
「サンスターが30~40代男女(計500名)に歯周病に関する調査をしたところ、9割の人が歯周病を認知しているものの、同数の人が正しいケア方法を知らないという結果に。歯周病菌は誰もが持っている菌だからこそ、増やさないよう予防が重要。フロスなどをプラスし、毎日プラーク除去をすることが大切です。殺菌剤入りの洗口液の使用もおすすめ」(一坂さん)

自分だけでは落としきれないプラークだからこそ、3カ月に1回は歯科医院でクリーニングを受けるのが理想。また、歯ブラシの選び方から磨き方まで、歯科衛生士などプロから指導を受けることも大切だ。

 

TOPIC 4 マスク生活で口内環境も変わった?

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マスクで自分の口臭をリアルに感じるほか、口もとが隠れるため緊張感が薄れる、リモートワークで会話が減り、ホウレイ線やあごのたるみが気になるという人も。ニューノーマルで口まわりの悩みが増加中。
「マスクをすることで歯磨きが疎かになったり、マスクを外すのが面倒で水分を摂らず、口の中が乾いていることも。口の中が乾くと、ニオイのもととなる嫌気性菌が発生し、口臭の原因に。また、リモートワークなど働き方の変化で生活のリズムが変わり、慣れない生活のストレスからコーヒーや紅茶などの嗜好品を以前よりダラダラと摂ってしまい歯が汚れやすい状態の人も増えました。マスク生活だと口まわりの筋肉の運動量が減るため、筋肉の衰えが進行して老け顔モードに」(石井先生)

やはり口臭や顔のエイジングは気のせいではなかった!
「加齢による衰えのひとつで、食物を噛んだり飲み込んだりする機能が低下したり、滑舌が悪くなったりするなど、口に関連する機能が低下しつつある状態のことを"オーラルフレイル" と言います。リモートワークで人としゃべらない、外出しないことで、オーラルフレイルが早まることも。口に衰えがあると認知症リスクが高まり要介護になる可能性もあるだけに、将来を見据え、今から口の健康を保ってください」(松本先生)

ニューノーマルで口もと、ひいては全身の老化が加速してしまうとは!
「食事を飲み込んでむせたりするのは老化の始まりのサイン。でも、早いうちからトレーニングすれば鍛えることも可能。おすすめは、お口の代表的な体操のひとつである〝パタカラ体操"。"パ・タ・カ・ラ" と発音することで、食べるために必要な筋肉をトレーニングし、食べ物を上手にのどの奥まで運ぶ一連の動作を鍛えることができますよ」(一坂さん)