働く4人の女の“上げルージュ”

ローズの知的な華やかさが率直に意思を伝える自信をくれる
東京都庭園美術館 キュレーター 田中雅子さん

ルージュ アリュール 178 ¥4,200/シャネル
ルージュ アリュール 178 ¥4,200/シャネル

この仕事が好き!と思わず口を突いて出るのは、展覧会の1、2週間前。図面でしか見ていなかったインスタレーションがどんどん形になって行く様を目の当たりにするのは、この上なくエキサイティングです。レセプション当日はやっとのことでシャワーを浴びて、寝不足のままドレスアップして臨むことも。そんなときでも、シャネルの深く上質なローズカラーのリップを塗れば、沈んだ顔色がパッと明るくなり、知的な華やかさが添えられるよう。フランス留学中に出会ったキュレーターたちの姿勢から「華やかさと知性は相反するものでなく、両立するものなんだ」と学び、私もそうありたいと憧れているんです。一昨年に展覧会を企画した現代アートの巨匠クリスチャン・ボルタンスキーのアトリエを単身訪れて交渉する出張でも、このリップがお守り代わりでした。どんなに手ごわい方や権威のある方に対しても、物怖じすることなくストレートに話さないと、相手を説得することはできません。ほかのメイクアップはシンプルでもこのリップさえ塗っていれば、思いをオープンに伝えられるような気がします。

PROFILE
渡仏して現代アートを学び、美術館インターンやギャラリー勤務などを経て現職に。

 

いつもよりスマイルが増える女友達がくれたはなむけ赤リップ
デジタルプロダクトデザイナー 灰色ハイジさん

プレイリスト インス タントリップコンプリート マット RDv09 ¥2,500(編集部調べ)/資生堂インターナショナル グリーン小物入れ¥2,400・ピンク小物入れ(蓋のみ使用)¥1,800500/ウェルカム HAY事業部(HAY)
プレイリスト インス タントリップコンプリート マット RDv09 ¥2,500(編集部調べ)/資生堂インターナショナル グリーン小物入れ¥2,400・ピンク小物入れ(蓋のみ使用)¥1,800/ウェルカム HAY事業部(HAY)

デザイナーとしての未来を考え、パートナーの住むサンフランシスコに移り住む決心をしたのが2年前。友人たちが、結婚祝いを兼ねた壮行会を開いてくれました。そのとき、女友達から渡されたのが、資生堂 プレイリストの深紅のリップ。それまでは、グロスを使うことが多く、マットリップを塗るのは初めてでした。実は、社会人になりたての頃、憧れの赤リップに挑戦したことがあったんです。当時は似合わなかったうえに、男性陣からも不評。それ以来、赤は私にとって少し怖い色でした。けれど、自分を知る友人が選んでくれた赤を塗って、「いいね」と言ってもらえたことが自信をくれた。真っ赤なルージュを塗った日は、いつもよりにっこり笑えるし、強気になれる気がするんです。このリップは、義務的なメイクアップじゃなくて、アクセサリー感覚で「自分が楽しいから」塗るもの。ただ単にマイナスをゼロにするのではなく、プラスにしてくれるものなのです。友達とのナイトアウトやデザインイベントには、背筋を伸ばしてこの色を塗って出かけます。

PROFILE
米国を拠点にデジタルプロダクトやパッケージデザインを手がける。Twitter: @haiji505

 

正解のない問題に立ち向かう私を強くするブライトレッド
弁護士 sayaさん

ルージュ アンリミテッド RD160 ¥3,200/シュウ ウエムラ ノートブック¥1,300・ペンシル¥500/ウェルカム HAY事業部(HAY)
ルージュ アンリミテッド RD160 ¥3,200/シュウ ウエムラ ノートブック¥1,300・ペンシル¥500/ウェルカム HAY事業部(HAY)

自信が揺らいだとき、いかに切り替えて気持ちを強く持つか。気持ちの強さを試される場面では、シュウ ウエムラの赤リップを塗ります。朱色がかったブライトレッドは、自分を信じて立ち向かう気持ちを鼓舞する色。眠れずに臨んだ司法試験の朝にも塗った、思い出の一本です。4 日間にわたる司法試験では、4〜7時間、集中して論文を書くことも。途中で心が折れて帰ったり、倒れたりする人もいるほど過酷です。休憩時間に勉強する人が多いなか、私は鏡を見ながらリップを塗り直し、気合を入れつつリフレッシュしていました。現在の仕事は、新しいチャレンジへのアドバイスや、トラブルのフォローなど、企業を法律面からサポートする弁護士。法整備が満足にされていない分野でも、リスクや起こり得る問題を予見して対策を立てることが求められています。前例も正解もない問題に立ち向かう場面では、迷わずこの一本を選びます。この色を塗ると、自分の積み重ねてきたものを信じる勇気が湧いてくるんです。

PROFILE
主な仕事は企業法務。「WEAR」へのスタイリング投稿で人気を集める。Instagram: @saya_wear

 

自分を癒やしながら頑張りたい、枠にはまらないテンダーテラコッタ
「She is」編集長 野村由芽さん

ディグニファイド リップス 09 ¥3,200/セルヴォーク ポーチ¥23,000/alpha PR(アエタ)
ディグニファイド リップス 09 ¥3,200/セルヴォーク ポーチ¥23,000/alpha PR(アエタ)

もともと放っておくとどこまでも無理をしてしまうタイプ。去年の秋に、念願だったウェブメディア「She is」を立ち上げてから、一つひとつのことに真剣に向き合おうとするあまり、ともすると顔面蒼白になってしまうことが増えました。それでも取材やトークショーなどで人前に出なければいけないときは、セルヴォークのレンガ色のリップをさして、顔色と気持ちを切り替えます。アドレナリンが湧き出すような刺激的な色のリップも素敵だけれど、私にとっては唇の延長線上でなじみつつ、塗る前よりも確実に上げてくれるこの色がちょうどいい。がむしゃらに無理をするよりも、自分を癒やしながら頑張っていきたいという気持ちにしっくりくるのかもしれません。「She is」は世の中の真ん中からはみ出がちな人たちが、それぞれの思いを発信し祝福し合える場にしたい。だから、私も多数派ではない側から物事を見る姿勢を大事にしています。そんな私の中の「誰かに自分のことを決めつけられてたまるか」と静かに中指を立てている部分が、この何色とも形容しがたい曖昧な色に共鳴しているのだと思います。

PROFILE
ライフ&カルチャーコミュニティ「She is」を女性社員二人で立ち上げる。

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