若返りのためのキーワード【1〜5】

お話を伺った方

岡部美代治さん
ビューティサイエンティスト。化粧品の基礎から製品化までを研究してきた経験をもとに、スキンケアを中心とした美容全般をわかりやすく解説し、正しい美容情報を発信している。

中川桂先生
シロノクリニック恵比寿 副院長。不自然さのない美しさを追求し、最善で最短の無理のない治療を得意とする。2018年に開設した予防医療に特化した「長寿外来」も受け持つ。

エイジングケアとは低下した細胞の機能を高めることにあり

 エイジングケアが多くの女性の関心事となり、各メーカーからさまざまな着眼点のエイジングケアコスメが数多く登場しているが、実際エイジングケアとはどういったものだろうか? シロノクリニック恵比寿で新たに開設された長寿外来の担当医でもある中川桂先生に話を伺った。
「エイジングを進行させる大きな要因は、酸化、糖化、炎症、現代環境。これらは単独で老化を引き起こしているのではなく、すべてがリンクしています。つまり、エイジングケアをするにはこれらをケアすることです」
 また、長年化粧品開発の現場に携わってきた岡部美代治さんは言う。
「人の体には不要なものを取り除き、新しい細胞を生み出す機能が備わっています。しかし、ストレスや紫外線、喫煙などの外的要因や加齢や偏った食生活によってこの機能が低下すると自らリカバリーする力が衰え、エイジングを加速させます。エイジングケア化粧品は、これら落ちた機能をサポートすることで本来の力を取り戻すことを目的に作られています」
 これは、肌も髪もボディにおいても同じ。そこで、今、美容業界が注目しているエイジングワードをピックアップしてみた。

KEYWORD 1
抗酸化

酸化して発生する活性酸素の働きを抑えること

人は呼吸によって酸素を取り込み、食事で摂った栄養素を使ってエネルギー産生をしている。「この過程の中で酸素の一部が変化したものと、使われなかった酸素が"活性酸素"です。活性酸素は体内に侵入した細菌やウイルスの攻撃から体を守ってくれる大事な物質ですが、酸化力が非常に強いため、過剰に発生すると正常な細胞まで攻撃します」(中川先生)。これが老化の原因。「ビタミンCやEなど、活性酸素から体を守る抗酸化物質を摂ることが大切」(岡部さん)

1 抗酸化作用の高いアイリスとパパイヤ酵素の働きで肌表面の酸化を取り除き、細胞再生の正常化を図る。
カプチュール ユース エンザイム ソリューション(150㎖)¥6,900/パルファン・クリスチャン・ディオール
2 高い抗酸化作用で知られるビタミンCを高濃度で配合している。
オバジC25セラム ネオ(12㎖)¥10,000/ロート製薬

KEYWORD 2
抗糖化

余分な糖とタンパク質が結合。AGEsの発生を抑制

「酸化反応で促進されるのが"糖化"。体内で余分な糖とタンパク質が結合することで糖化し、最終的に『AGEs(糖化最終生成物)』を生成。すると、生体の機能不全を引き起こし病気のもとに」(岡部さん)。一度糖化すると元に戻らないだけにやっかいだ。「糖化するとコラーゲンの変性や黄ぐすみの原因に。基本は糖の摂取を控えること。さらに、酸化した脂質の分解物がタンパク質と結びつきカルボニル化すると、水分量の低下やたるみ毛穴にもつながります」(中川先生)

3 糖化による肌への影響を最小限にとどめる攻めの美白アプローチ。
エクシア AL ホワイトニング イマキュレート エッセンス MXC[医薬部外品](1.5㎖×28個)¥25,000/アルビオン
4 抗糖化素材を配合し、コラーゲンの糖化抑制、肌の褐変化抑制作用、黄ぐすみをケア。
ベイリー モイスチャー フェイスクリーム(40g)¥10,000/Veilly Tokyo

KEYWORD 3
抗炎症

気づかない慢性炎症を鎮め、肌ダメージの進行を止める

気づかない微弱なレベルでも肌内部に炎症があると、シミをはじめ、さまざまなエイジングサインを進行させるという。「紫外線や摩擦などによって肌内に弱い炎症が起き、これが慢性化すると肌細胞にダメージを与えます」(中川先生)。「炎症によりサイトカイン物質が発生するとメラニンの生成が促進され、黒ずみやシミにも」(岡部さん)。化粧品のききが悪い、何となく肌の奥がムズムズするようなら、抗炎症成分配合の化粧品を積極的に取り入れるのがおすすめ。

5 ストレス性敏感肌のスパイラルを断ち切るために敏感症状を鎮め、ストレスダメージを受けにくい肌に。クリアリファイナー センシティブ[医薬部外品](200㎖)¥4,200/アユーラ
6 肌を鎮静させ炎症を抑えてバリア機能を強化する土台化粧水に桜の力を追加し、透明感をUP。
マイクロ エッセンス ローション フレッシュ(200㎖)¥12,500/エスティ ローダー

KEYWORD 4
現代環境

紫外線、空気中の汚染物質、高温多湿な日本の気候

乾燥や紫外線はもちろん、花粉やPM2.5などの大気汚染物質や異常なまでの暑さも老化を引き起こす要因に。「汚染物質やアレルギー物質が肌に付着したり、紫外線だけでなく、近赤外線、ブルーライトも炎症性サイトカインを発動させてハリ、ツヤ低下につながります」(中川先生)。「今は紫外線だけでなく、現代の過酷な環境から肌を守る化粧品が充実。これらを積極的に使うことでエイジングを遅らせることは可能です」(岡部さん)。髪もプロテクトが必要に。

7 パサつきやハリ・コシの低下など、毛髪環境に悪影響を与える大気中の汚染物質から頭皮と髪を守るスーパーフード成分を配合。
BT+Pバリア スカルプシャンプー(480㎖)・同 ヘアトリートメント(480g) 各¥1,400/スーパーフードラボ
8 高温多湿な環境下で汗をかいても落ちにくく、耐久性にも優れた塗膜を開発。SPF50+・PA++++。
ビオレUV アスリズム スキンプロテクトエッセンス(70g)(オープン価格)/花王
9 夏の暑さが本来のメラニン生成のサイクルを乱れさせ、メラニン生成量を増加してしまうことに着目。心地よいジェル。
ホワイトショット RXS[医薬部外品](50g)¥12,000〈5月1日発売〉/ポーラ

KEYWORD 5
幹細胞コスメ

幹細胞へのアプローチをはじめ、幹細胞まわりの環境を整えるコスメ

ヒト幹細胞、幹細胞培養液、植物幹細胞などが話題だが、幹細胞と通常の細胞はどう違うのか? 「幹細胞は分裂して自分と同じ細胞を作る能力と、別の種類の細胞に分化する能力を持ち、際限なく増殖できる細胞のこと。ここにアプローチするのが幹細胞コスメですが、決して幹細胞そのものが入っているわけではなく、幹細胞の機能を活性化させる成分が配合されています。結果として不足している細胞を補うことになり、エイジング効果が期待できると考えられています」(岡部さん)

10 長年にわたる色素幹細胞の研究をヒントに、シミの源流からアプローチする美白美容液。フェアルーセント薬用ホワイトセラム[医薬部外品](100㎖)¥10,000〈4月21日発売〉/メナード

11 脂肪幹細胞が生み出す肌再生成分を高濃度に抽出した培養上清をスキンケアに応用。新たにミトコンドリアトランスファーにも着目。エピステーム ステムサイエンス リフトクリームa(45g)¥33,000/ロート製薬

FEATURE