2021.05.11

CLEAN「クリーン クラシック アルティメイト オードパルファム」/秋元才加(俳優)

レモンライムに、ロマンティックなホワイトローズやチュベローズが重なり合い、濁りのない石鹸の香りに。朝の光に包まれた、湯上がりの清らかな体を思い起こさせる。
(60㎖)¥10,450/ブルーベル・ジャパン ドレス¥39,600/ステディ スタディ(トムウッド)

 昔から香水は好きだ。高校生のとき、背伸びして初めて買った香水はエスカーダのイビザヒッピーだった気がする。高校のロッカーの中にそぐわない、あの赤い容器が忘れられない。セクシーな女性への憧れからか、今考えると甘すぎて選ばない香りだが、若さゆえの選択だったのだろう。虫が寄ってきてしまうんじゃないかと思うくらい甘い香りをプンプンさせながら、学校生活を送っていた。その頃おつき合いしていた彼は、ドルチェ&ガッバーナのライトブルーを使っていたなぁ。今でもよく覚えている。ほかの記憶は朧げになっているというのに。芸能の仕事を始めてからは、より香りに意識が向くようになった。いろいろなTPOによって香水を使い分けるようになった。現場の方への配慮でもあるが、つける香水によって自分の気分や振る舞い方も変わってくる気がしたからだ。なんて、自分は影響されやすい人間なのだと驚きつつ、情けない気持ちにもなる。
 香りの影響力に気づいた私が、普段から使用しているのが、クリーンのアルティメイトだ。AKB48の同期で香りを上手にまとっているメンバーの一人、宮澤佐江ちゃんに教えてもらった。少し温かみのある清潔感のある香りで、かつ等身大でいられる香り。今の私が求めている香りである。この香水をつけるたびに、10年以上も前に、「ねぇ、いい香り~。匂い嗅がせて? 何使ってるの?」と嗅がせてもらった、彼女の赤ちゃんのような甘い首すじを、くっきりとした映像とともに思い出す。香水の力はすさまじい。脳と記憶にダイレクトにつながる。歴代香水たちを並べてみたら、その人がどんな人間なのか、どんな人生を送ってきたのか見えてくるものがあるかもしれない。飽きっぽくて香水一本使い切ったことのない私だが、結局は石鹸の香りにたどり着く。いつの間にか、歴代香水と恋愛遍歴を重ねて振り返る自分がいる。なんだか、とても恥ずかしい気持ちになった。