深い呼吸で胸を広げ、たるみお腹を引き上げる!

エクササイズを頑張ってもお腹が痩せない! 痩せ型なのにお腹だけぽっこり!という悩みに、パーソナルトレーナー星野由香さんが、その問題点と効果的なメソッドをレクチャー。体を動かす前に必要な、目からウロコのTIPSとは?

<教えてくれた方>
星野由香さん●パーソナルトレーナー
東海大学体育学部卒。人間が健康で美しくいるための人体構造を突き詰め、西洋医学、東洋医学の両面から体の仕組みを探究。トレーナーとしての実務経験をベースに、ほぐしとピラティスを融合した理論的な独自メソッド「ほぐピラ®︎」を考案。モデルや女優のボディメイクも数多く手がける。

 

ぽっこりお腹の原因と解消法

食べ過ぎや便秘でお腹が出てしまうのは、自分でも納得がいく。でも男女ともに多いのが、なぜか下腹部だけぽっこりしている、お腹だけまったく痩せない、という悩み。パーソナルトレーナーの星野由香さんは「筋肉や脂肪以前に、その問題点は、体のバランスにあります」と指摘する。「エクササイズや食事制限でもなかなか効果が得られない、という人は、まず自分の体をチェックしてみてください。体の中には、空洞のようなスペースがあるのですが、後ろ重心の姿勢だと日常生活で腹圧がかかりにくく、内臓が下垂しやすくなります(下図B)。すると骨盤底筋に力が入りづらくなり、下腹部がぽっこり緩む悪循環に」。試しに、姿勢を整えて胸を大きく広げてみて。その空洞スペースが上に移動し下腹部がすっきりする(下図A)人は、脂肪や筋肉へのアプローチだけでは結果が出にくい、ということに。そしてこのスペースを正しい位置に戻すために有効なのが、呼吸。
エクササイズを頑張ってもお腹が痩せない、太っていないのに下腹部だけがぽっこり出ている、というタイプは姿勢と呼吸が問題かも。

リラックスして鼻から深く吸う呼吸メソッド

誰でもいつでもどこでもできる、心と体を効率よく整える方法が、呼吸。「彼方に広がる水平線を見渡したときを思い出してください。鼻から大きく、体だけでなく空間が広がるようにゆっくり深く吸い上げ、ポチャンとお湯に入るように吐く呼吸です。それだけで、横隔膜が大きく動いて腹圧がかかります。さらに、自律神経のバランスが整い、交感神経優位の緊張状態から、リラックスする副交感神経優位の状態に。リンパの流れを促し、代謝がよくなり、頭がクリアになって感情にひっぱられにくくなり、体に必要なものがわかるので食べ過ぎ、飲み過ぎも抑えられます。1日約2万回も繰り返す呼吸を極めると、体は驚くほど変わるのです」。

呼吸法 その1ー息を深く吸えない人に
今の呼吸で胸、わき、背中が膨らむかをチェック。鼻から大きく息を吸い、吐くときは口でも鼻でもいいので、力を抜いてフッとため息をつくように。肋骨の動きを感じながら、リラックスした状態で行います。吸って吐いてを3〜4回ゆっくりリピート。



1)肋骨をぐるっと覆うように3つ折りにしたバスタオルを胸に巻き、両端を手で持って鼻から息を吸い上げる。胸が大きく広がりタオルが両サイドに引っ張られるのを感じて。(イラスト左)

2)肋骨を閉じるようなイメージで、息を全部吐き切る。肋骨が閉じ、バスタオルが重なる部分の面積が増えるのを感じて。(イラスト右)

3)バスタオルを巻いたまま、体を右にひねって息を鼻から大きく吸い上げる。骨盤は正面に向け、上体だけをひねるのがポイント。(イラスト左)

4)上体をひねったまま肋骨を閉じるようなイメージで力まずに息を吐く。ひねったままの呼吸で肋骨の可動域が広がる。3〜4回繰り返したら、反対側も同様に。(イラスト右)

呼吸法その2ーお腹が硬く肋骨の動きが悪い人に

「お腹が硬いと横隔膜の可動域が狭くなり、胸が広がりにくく呼吸の質も悪くなります。硬いお腹を柔らかくほぐしましょう。回数は決めず、柔らかく変化したと感じたら止めて」。

硬い部分が柔らかくなったと感じるタイミングは人それぞれ。自分の感覚を重視して。

みぞおちの中央に手を当て、息を吐くときに手を押し込んで圧をかけ体を丸める。同様に、肋骨に沿って、真ん中、下に手をずらして圧をかける。硬いと感じる部分を繰り返す。

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