涙星ってどんな星? 凛とした佇まいと響きのタイトルイメージ

涙星ってどんな星? 凛とした佇まいと響きを持つ、【SUQQU】の和名の妙を知る

日本発信のブランドとして、製品の色名も日本の美学を映した「漢字の和名」にこだわるSUQQU。ブランド立ち上げ当初は、古来から受け継がれてきた色名や言葉をそのまま用いていたが、現在は独自の造語が大多数を占めている。ブランド誕生20周年を迎えた今でも、SUQQUの色名に深い成熟とともに新鮮さが感じられるのは、その創作努力の結晶。今回は是非とも、ひとつひとつの色名を声に出しながら読んでみて。

我が子に名前を付けるかの如く、一名入魂!

SUQQU

「名前でこの子(製品)の一生が決まる。それくらいの覚悟と信念を持ってじっくり熟考し、吟味に吟味を重ねて色名を付けています」

ストイックなまでに熱い想いを語ってくださったのは、SUQQU商品開発マネージャーの佐藤実紗さん。SUQQUでは1つのコレクションを一人の担当者が受け持ち、テーマ設定から製品納品まで、一貫して全ての責任を担っている。だからこそ、1つ1つの製品に対する思い入れが強くなる。また、お客様に旬を届けたいという思いから、テーマやメイクの仕上がりイメージを時間をかけて練ることで、常にSUQQUの新しい一面を見せられるという。

「まずはコレクションのテーマを決め、他の作業と同時進行でテーマに沿った漢字や名前の候補をいくつか用意しておきますが、実際に名付けをするのは、できあがった製品の顔を見てから。さらに、その漢字の名前をどう読ませるか、言葉にしたときの音の響き、濁点は付けるか否か、字並びが与える印象はどうか。その漢字や言葉が持つ別の意味や、花の名前なら花言葉の意味などを念入りに調べ抜いてから、出生届を出すような気持ちで命名します」(佐藤さん)

「粒」にちなんだ漢字を集めて名前を紡いだ、新しいリキッドアイシャドウ

SUQQU リクイド ラスター アイズ 秋新色

色や大きさの違うパールを贅沢に使用。岩絵具の粒のようにパールの輝きは密なのに、使用感はザラつかず、なめらか。(左から)リクイド ラスター アイズ 01『桃簾石-TOURENSEKI』、02『白金-HAKUKIN』、03『涙星-NAMIDABOSHI』、04『辰砂-SHINSHA』、05『煌紫檀-KOUSHITAN』、101『眩耀-GENYOU』(限定色)、102『光琥珀-MITSUKOHAKU』(限定色) 各¥4,070/SUQQU

この秋は「多彩」をテーマにしたコレクションを発表。新製品の「リクイド ラスター アイズ」は色や大きさの異なるパールを贅沢に用いて、まさに多彩な目元を叶えてくれる、今シーズンのヒーローアイテムだ。

「『多彩』のテーマは、日本古来の岩絵具から着想しました。岩絵具は鉱物を砕いて作られた画材の一種で、存在感のある粒感や粗さが特長です。だから色名もまずは、岩絵具の粒感やパールリッチな輝きを思わせる漢字……『砂』、『星』、『煌』、『眩』などを集めて、そこに色のエッセンスを加えていきました」(佐藤さん)

「煌めき」に、美しい色合いの木材である「紫檀」を組み合わせた『煌紫檀(こうしたん)』や、『光琥珀(みつこはく)』がそのパターン。『桃簾石(とうれんせき)』や『辰砂(しんしゃ)』のように、実在する鉱物からとった名前もある。

「お気に入りは、『涙星(なみだぼし)』。どこか儚げで憂いがあり、でも輝きと強さも秘めているライラックカラーにふさわしい名前を、と考えた造語です。『涙』も『星』も、粒感やキラめきを連想させる漢字。そして涙は、悲しいときも嬉しいときも流れ出るものなので、あのなんとも言えない絶妙な色にぴったりだと思ったんです」(佐藤さん)

SUQQU リクイド ラスター アイズ 秋新色 スウォッチ

(左から)リクイド ラスター アイズ 01『桃簾石-TOURENSEKI』、02『白金-HAKUKIN』、03『涙星-NAMIDABOSHI』、04『辰砂-SHINSHA』、05『煌紫檀-KOUSHITAN』、101『眩耀-GENYOU』(限定色)、102『光琥珀-MITSUKOHAKU』(限定色) 各¥4,070/SUQQU

「レッドリップ」では伝え切れない、『紅』と『赤』に込められた意味

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ほのかに透けるマットと、濃密バームのようなツヤやかシアー。その2つの質感で、『焦紅』のカラーを展開。『真赤色』は気品と純真さに満ちた色。(左から)モイスチャー リッチ リップスティック 10『焦紅-KOGAREAKA』 ¥5,500、シアー マット リップスティック 10『焦紅-KOGAREAKA』、09『真赤色-MAAKAIRO』 各¥5,500(セット価格)/SUQQU

ひとつの色名が、2つのリップ製品に使われるという特別なケースもある。それが、佐藤さん命名の『焦紅(こがれあか)』。もともと「モイスチャー リッチ リップスティック」のために作られた色名だが、色も名前もあまりに秀逸だったため、「シアー マット リップスティック」にも採用された。

「思い焦がれる、恋焦がれるという意味を持つ『焦』に、『紅』を組み合わせて、少し背伸びしたような、憧れ感のあるレッドリップの魅力を表現しました。『赤』ではなく『紅』にしたのは、『紅』のほうが大人っぽく高貴な雰囲気があるから。『紅』の読み方は『あか』、『べに』、『こう』のどれにするか迷いに迷って、やっと完成した渾身作です」(佐藤さん)

『焦紅』には『紅』を使ったが、「シアー マット リップスティック」の09『真赤色(まあかいろ)』には「赤」を選んだ。

「こちらの色は、よりシンプルな赤。色の純度の高さを表現したかったので、あえて『赤』に」(佐藤さん)

SUQQU リップ スウォッチ

(左から)モイスチャー リッチ リップスティック 10『焦紅-KOGAREAKA』 ¥5,500、シアー マット リップスティック 10『焦紅-KOGAREAKA』、09『真赤色-MAAKAIRO』 各¥5,500(セット価格)/SUQQU

日本の文化や美意識をインプットして、色名や漢字をストック

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発売から2年以上たった今でもトップセラーを誇る2シェード。モードだけど尖り過ぎない、絶妙なさじ加減が人気の秘訣。(左から)シグニチャー カラー アイズ 02『陽香色-YOUKOUIRO』 、04『純撫子-SUMINADESHIKO』 各¥7,700/SUQQU

入社以来15年の長きにわたり、SUQQUの世界観を築き上げてきた佐藤さん。日頃から日本の絵画や書物などを見たりして、常に新たなテーマや色名のヒントを探し続けている。他の商品開発メンバーの名付けに刺激を受けることも多いという。人気のアイシャドウパレット、「シグニチャー カラー アイズ」の『陽香色(ようこういろ)』と『純撫子(すみなでしこ)』が、まさにそれ。

「『陽香色』は、『陽だまり』に『香り』を組み合わせたのが素晴らしく、私なら思い付かなかった組み合わせ。私なら『光り』という漢字を使っていたかもしれません。『純撫子』は、異例の由来を持つ名前。実はこの『シグニチャー カラー アイズ』の前身となった『デザイニング カラー アイズ』に『絢撫子』というカラーがあり、その進化版のピンク系パレットとして生まれたのが、この『純撫子』なんですよ」(佐藤さん)

『絢撫子』は惜しまれつつも廃盤となったが、『純撫子』は不動の人気カラーに成長。

「ローンチ当初は、『発色も質感も、この上なく完璧!』と確信して送り出した製品でも、トレンドの移り変わりとともに意識が変化してきたり、ピグメントや処方の進化でより良い製品が作れるようになると、アップデートを考えはじめます」(佐藤さん)

20周年を迎え、さらなる高みを目指して進化し続けるSUQQU。今後も洒落感と使いやすさを併せ持った色とハッとするような美しい名前で、大人の心を豊かに彩ってくれるはず。

エディターが名付けに挑戦!

商品

リクイド ラスター アイズ 03 『涙星』

ネーミング案

「漢-AMANOGAWA」

着想源

取材時に「一文字の漢字の名前がスゴイ」と聞いて、探してみました! 熱血な「おとこ」を思わせる『漢』が、「あまのがわ」とも読めるなんて、意外過ぎませんか!? その二面性とキラキラと美しい天の川が、製品のイメージに重なりました。

採点

もう少し頑張りましょう

コメント

「漢」と書いて「あまのがわ」と読む意外性はとても素敵です。が、やはり「おとこ!」のイメージが強く……SUQQUが目指すのは「凛としてしなやか」。もう少したおやかさが欲しいところです(笑)
「天空星」「夜空星」「星流」など、もう少しストレートな表現でも素敵だと思います!

もう少しがんばりましょう

佐藤実紗さんプロフィール画像
SUQQU 商品開発マネージャー佐藤実紗さん

SUQQU歴15年。メイクコレクション、ベースメイクを担当。名品揃いのベースメイクの数々も世に送り出す。個人的な推し商品は、スキンケアでも艶が叶う「アクフォンス ハイドレイティング ローション」

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