1年以上前の連載開始当初から、密かに想いを寄せていたアディクションへのオファーがついに叶い、クリエイティブディレクターのKANAKOさんへのインタビューが実現! 発売前からバズり中の夏のカラーコレクションをはじめ、特別なネイルカラーやKANAKOさんならではのこだわりが詰まった定番品も登場。製品や色に託された想いやコンセプトに触れてみて。
表現したい感情や色に重なる、イメージソースをあてはめて
この夏の「OUT OF YOUR SHELL」コレクションのモデルビジュアルは、これまでのコレクションの中で歴代1位のお気に入りだというKANAKOさん。コレクションの着想源は、「SHELL(貝)」。貝を見つけたときのような高揚感や、ときめきを表現している。
「今回のコレクションでは、白の中に色んな色が溶け込んでいるような、内面的な美しさや複雑な魅力を解き放つようなカラーを作ろうと決めていました。企画開発チームにそんな提案をする上で、みんながイメージしやすいカラーソースを探したところ、色や輝きが絶妙に変わる『貝』を思い付いて。貝殻って、外側はゴツゴツと荒っぽいものもあるけど、内側はツルンと白くて滑らかで、ピンクやグリーンなどの輝きが混ざっていたり、そんなギャップがおもしろい。
今回もこれまでも、私が手掛けたコレクションは、自分の内面と向き合うような精神的なコンセプトから起草しているんです。内側に意外性のある美を秘めている貝殻も、そんな私の思想に通じるものがあったので、その点でも今回のコレクションのテーマにぴったりだったんです」
KANAKOさんが色名を付けた製品もあるが、今回のコレクションを含むほとんどの製品は、KANAKOさんと企画開発チームの共同作業で名付けられている製品も多い。
「まずは私が製品のコンセプト出しのときに、長い文章を書いて説明したり、素材になるような言葉をたくさん挙げていくんです。企画開発チームの人はその中から言葉を拾ってくれたり、その世界観から想像を膨らませて名前を付けてくれることも。最終的に私がチェックして、色名がコンセプトから外れていないかなどを確認してから、世に送り出しています」
天才肌でアーティスティックな雰囲気のKANAKOさんだが、意外にも(?)活字が好きで、コンセプトの説明文もパソコンでびっしり書き尽くしているという。
「抽象的なイメージを文字として形にするのが好きなんですよ。半年くらい前から、作りたい色やイメージをふんわり考えておき、インターネットや本などから写真を集めたり。ポエムや歌詞から印象的な言葉やフレーズをストックしたり。そしてコンセプト出しの最後の仕上げ作業は、3~5日ほどホテルに缶詰めになって、1人きりで集中して行います」
シェルのようなキラめきに満ちた、アイメイク製品にフォーカス
そんなプロセスを経て生まれた夏のカラーたちは、パッケージも貝を思わせるホワイトカラー。スタープロダクツは「ザ アイシャドウ パレット“アウト オブ ユア シェル”」。
「歴代の『ザ アイシャドウ パレット』は、必ずマットなカラーが1色入っているんですが、今回の限定版には光る色だけしか入れたくなくて、スパークル2色+パール2色の2質感で構成。キラキラだけど透け感があって肌にすんなりなじむから、過剰にギラついたりせず、使いやすいんです」
101『Amethyst Sea』は神秘的な夕日に包まれた海を、102『Sunrise Tide』は朝日に包まれた穏やかな浜辺を思わせるシェード。色名もそんなイメージで付けられた。
「パレットで作った目元に、単色シャドウをプラスしても楽しいんですよ。『ザ アイシャドウ パール』の111Pは、パッと見ると真っ白のようですが、肌の上では透明の光に変わり、動きや角度によってオーロラグリーンに輝きます。まさに貝殻の内側のようなニュアンスを生み出し、実際に手に取ってこそ真価がわかる色。モデルビジュアルでも上まぶたの中央に重ねています。色味を強く出したい場合は、『ザ アイシャドウ マット』の105Mなどのマットカラーを。先ほどの111Pの下に仕込んでもキレイ」
111P『Hidden Shell』は、貝殻を見つけたときのような高揚感や、貝殻の内側が色んな色にキラめいている様子から。105M『Be Cheerful』は、ポジティブな感情を色名に。
「『ザ スパークル マスカラ“アウト オブ ユア シェル”』の101は、貝殻のキラめきを閉じ込めたようなグリッターマスカラ。いつものマスカラの上から重ねたり、毛先にのせたり、下まつ毛につけたりしても可愛い」
101『Shelly Dust』という色名も貝殻の破片のような輝きを表現している。
モロッコのマラケシュが見せる、2つの情景の色を指先へ
幻想的な海辺の世界観から一変、5月に発売されるネイルカラーのテーマは「モロッカン ドリーム」。モロッコのマラケシュにある「マジョレル庭園」と、マラケシュの街並みの2つからインスピレーションを受けて生まれたという。
「数年前にモロッコで行われた、メンズのファッションショーのバックステージに入ったときに訪れた地。ショーは砂漠で行われたんですが、オフの日にマジョレル庭園に遊びにいったら、あまりに鮮やかなブルーの建物や生き生きと生い茂る植物たちに圧倒されて、まるで別世界に来たかのよう。一方でモロッコの市街地は赤土のレンガに燦々と太陽が照り付け、活気ある市場にはたくさんの種類のスパイスや、染料なのかわからない鮮やかな粉が何種類も並んでいて。そのコントラストが印象的で、今回のネイルカラーに落とし込みました」
『ザ ネイルポリッシュ』の109C、110C、111Cはマジョレル庭園から、その他の5色はマラケシュの街中からイメージ。色褪せたような多肉植物の110C『Succulent Green』、サボテンの花から名付けた111C『Moon Cactus』、赤土でできた建物を思わせる114SP『Clay Wall』など、異国情緒あふれる名前が付けられている。
全99色・6質感を誇るアイシャドウから、推し色を選ぶなら?
アディクションといえば、全99色が揃う『ザ アイシャドウ』も有名。現在は、KANAKOさんがクリエイティブディレクターに就任してから作った色とそれ以前からある色が半分くらいずつ混在している。
「私が最初に作った色は002M、影と皮膚の間の色です。全く違和感なく肌に溶け込んで、目元の陰影を深めてくれる色。ほかのアイシャドウを付けたときも、この002Mを使ってアイシャドウと皮膚との間をなじませると、色だけがパキッと浮いてしまうことなく、色がじんわり自分になじんでくれるんです」
002M『Thousand Feathers』の色名は、この色がたくさんの羽のように柔らかい印象だから。
「クリームタイプの010Cと014Cは、スモーキーメイクが簡単&スピーディにできるようにと作った色で、海外でも人気なんですよ。
016Cの淡いラベンダーは、パウダーアイシャドウの下に仕込むことで、色と質感をじゅわっと肌に溶け込ませてくれる。この016C『Ever Mine』は、ラブレターをテーマにしたコレクションのときに発売されたので、『ずっと私のものでいて』という甘い色名に。このコレクションを作るときには、とにかくたくさんのラブレターを読んだんです。過去の偉人たち、例えばモーツァルトなんかの書いたラブレターを読んで、こんなに熱く情熱的な愛の表現の仕方があるなんてと驚いたのを覚えています」
アディクションでいちばん長い色名を持つ、グロウスティック
最後に、KANAKOさんが色名を手掛けた『ザ グロウ スティック』をご紹介。こちらはKANAKOさんがいちばん最初に作ると決めていたアイテムであり、その情熱を映したかのように色名も飛び抜けて長い!
「自分が見た情景を顔に落とし込むように作った色と質感。いちばん明るく、少しシルバーっぽく光る001P『Above the Moon』は、『月の向こう側に行っちゃうくらいアガるよ』というようなことを表現したフレーズから取った名前です。002P『When the Sky is Gold』、空がゴールドに輝くときの美しさを閉じ込めて。003P『The Sun I Can Touch』は、触れる距離にいる太陽──、そばにいるあなたは、太陽のように輝いて眩しい。ちょっとロマンティックな感じなんです。011G『Feel The Heat, See the Light』は、恐らくアディクションの中で最長の色名ですね。思いのたけを詰め込み過ぎて、製品のラベルでも文字が小さくて見えないと声が上がったくらい!」
いつでも全力投球で、新しい魅力と感情を呼び覚ますプロダクツを提案し続けてくれるアディクション。今シーズンはくすみ知らずのUV下地や高機能クッションも充実。肌からポイントメイクまで、フルで楽しんで。
エディターが名付けに
商品
ザ アイシャドウ パール
111P『Hidden Shell』
ネーミング案
『Tamate Bako Crush(タマテバコクラッシュ)』
着想源
開けてビックリ玉手箱のごとく、付けてうっとり緑色☆な、このカラー。シェルコレクションの1色として、海界隈のキラキラなもの、意外性のあるものを探して名付けました。
採点
もう少しがんばりましょう
コメント
Tamate Bako Crushは…60点!もう少しがんばりましょう(笑) 辛口ですいません(笑)少し元気で若々しく感じますね:)
名前の響きがすごく弾けているのでもっとギラギラした商品を想像させてしまうかなと思いました!この企画は面白いですね(笑)
クリエイティブディレクターKANAKOさん
2020年より現職に就任し、ブランドの新しい魅力を展開。streetersに所属し、グローバルに雑誌、広告、ファッションショーなどに携わる。世界各国のメディアで、作品やインタビューが数多く取り上げられている。色と肌とが境目なくなじみ、すべてが一体となるようなルックを提案し、それを叶えるプロダクツを提供。