ヒロ 最近、私の中で再燃しているのがチークが主役のメイクアップ。残暑が厳しい秋の入り口に、もう少しだけ夏の余韻に浸っていたい。そんな想いを浮かべた火照り顔って、素敵じゃない?
——ロマンティックでいいですね!
ヒロ では早速、そんな〝夏の余韻チーク〟を完成させるプロセスをお伝えしていきたいと思います。ニュアンスのある表情づくりのためには仕込みが重要。まずはメイクアップフォーエバーの「アーティスト カラークレヨン 432」(1)をチークを入れる位置にベースとしてのせていくところからスタート。
——いきなり血色感を足すのではなく、シェードカラーで一度影を落とすところから始めるんですか? びっくりです。
ヒロ そうよ〜! 1をほんの少しだけ指の腹につけて、頰の高めの位置になじませていきます。チークボーンに沿うイメージでトントントンと軽やかなタッチでタッピングしていくのがポイントです。これを何度か繰り返して繊細に重ねて、〝あるかないか〟の影を落としてあげて。黒目幅にだけ、ちょんちょんとさらに重ね塗り。一番出っ張っているところに影をプラスして、ズンと沈めます。表面をフラットにして、整えてあげるイメージです。
——これまでのメイク人生において、シェーディングとチークは目的が相反するアイテムだと思っていたので重ねる発想がありませんでした。こうすることで、どんな効果が狙えるんですか?
ヒロ 大人の肌にいきなりチークをのせてしまうとピュアさが前に立ってしまうの。でも、モードな顔つきには奥行きがマスト。影を落とした上にチークを重ねることで、ぬくもりあるムードが自然と肌に溶け込んでくれるのよね。
——なるほど。チークが主張しすぎない仕上がりも大人にはうれしいです。
ヒロ でしょ〜? 仕込みが完了したところで、いよいよチークのお出まし。使うのは、ディオールの「ディオールスキン フォーエヴァー ブラッシュ ソフト フィルター 01」(2)。ペタルというローズ系のお色みです。シェーディングを仕込んだ部分より少し広めに、指でちょんちょんちょんとのせていきます。さらに、指に残ったものを上まぶた、上唇の山の上、鼻の底辺のゾーンにもささっとなじませてあげると、顔全体にパッと高揚感が生まれるの。そしてこのホイップみたいなブラッシュのソフトマットな質感が、気になる毛穴の存在感をソフトフォーカスしてくれるという、うれしいプレゼントまでついてきます。
——このチーク、一見愛らしいカラーなのに、質感がマットだから媚びない印象になるところも、かなりよきです!
ヒロ 素敵ですよね。でも、ここで終わると思いきや、ラストにハイライトを投入。光を足してフィニッシュさせます。
——最後に明るさを足すんですね。
ヒロ もちろん〝光〟は欲しいけれど、大人の肌はそもそもくすみがちだから、いきなりハイトーンをのせるとそこだけ浮いてしまうの。だから、素肌の色みに寄り添う血色感をつくり込んで土台を整えた上に、ハイライトを重ねて光と肌をシームレスにしてあげるイメージ。使うのは、NARSの「ライトリフレクティング ルミナイジングパウダー 03960」(3)のローズゴールド。その表面を、水に浸して絞ったファンデーションブラシでふわーっとなぞって、2をのせたゾーンにシュッと重ねたら、完成。
——ドラマティック感、増し増しです。
ヒロ 本気でドラマ、始まっちゃうわよ。