楽しさや心地よさ、心身のコンディショニングをファーストにしたランニング「ゆるラン」。
今回は「ゆるラン」の一つとして、ラン初心者エディターが無謀にも、2つの気になる“ランコミュニティ”を体験取材! 実は今、この “ランコミュニティ”が日本のみならず、韓国やアメリカ、ヨーロッパ圏など、さまざまな国で盛り上がっているのです。
▼「ゆるラン」を楽しむランナー3人へのインタビュー記事
“ランコミュニティ”は、複数名で同じコースを走るグループのこと

街中を複数名で走ります
そもそも“ランコミュニティ”とは、「ランニングをしたい!」という人たちが仲間同士でチームを作ったり、主宰者のもとに集まって、複数名で一緒に同じコースを走るグループのこと。
自分だけではなかなか習慣化が難しい人、ランニング仲間が欲しい人、いつもと違う環境で走りたい人などが集まり、5km前後の距離を、会話できる程度の速度でゆっくり走るケースが多いそう。
とはいえ、コミュニティのあり方はさまざま。事前の申し込みなどは不要で、毎週同じ曜日・同じ時間・同じ場所に集合して走るオープンなグループもあれば、会費制&メンバー制で、ラン以外にも多様なワークショップやトレーニングなどを行うグループも。
1. 土曜日の朝活ランで、気分のいい週末に【土曜倶楽部】

土曜倶楽部に参加した日に撮影した、集合写真 写真:土曜倶楽部
今回エディターが参加したのは、事前申し込み不要でいつでも誰でも参加可能なコミュニティ「土曜倶楽部」と「080TOKYO」。いずれも東京・代々木公園をベースに活動しています。
実は、気が向いたときだけ(年に2回くらい)、家の近所を徒歩も含めて3キロ程度しか走ったことのないランニング初心者。
そのため、5キロも走れるのか、他のランナーについていけるのか、キツくなったらどうしよう、そもそも浮いてしまったり気まずくなったりしないか、など不安が尽きないのが正直なところ。けれど「百聞は一見に如かず!」「案ずるより産むが易し!」と自分に活を入れ、いざ挑戦!
まず最初に参加したのが、「土曜倶楽部」というコミュニティ。毎週土曜日の朝9:00に代々木公園の原宿門前時計塔に集合し、代々木公園と国立競技場を往復するグループです。

集合場所の原宿門前時計塔
土曜日の朝、ランニングウェアに着替えて自宅を出発。原宿駅構内のコインロッカーに荷物を預けることはできるものの、手ぶらの方が気楽なため、スマホとリップクリームのみの最低限の荷物で参加。着用しているランニング用パンツにジッパー付きのポケットがあるので、そこに入れたまま走る想定です。
9:00少し前に原宿門前時計塔に到着したところ、思ったよりも人がいる……! 休日ということもあり、「土曜倶楽部」以外にもスポーツブランド主催のワークショップや、他のランコミュニティなども集まっていた模様。どこの集団が「土曜倶楽部」なのか分からず、いろんな人に「土曜倶楽部の方ですか?」と聞いてまわることに。
そんなこんなしているうちに、主催の方々も合流できてランニングスタート! と思いきや、まず最初に簡単な自己紹介タイムが。名前(下の名前だけでも、ニックネームでも、自分が開示してもいい情報だけでOK!)と最近あった嬉しい出来事を一言。すると思っていた以上に、初参加の方やランニング初心者が多かった!
私が参加した日は40人程度集まっていたけれど、体感的には3分の1が初参加&ランニング初心者。中には「ランニング始めて3日目です」という方も! 他県から東京旅行に来ている方や、海外から日本へ遊びに来ている方などもいて、まさに一期一会感。
さらに自己紹介中に少し隣の人とお話しできたりもして、「いつものメンバー感が強くて、疎外感を感じたらどうしよう……」「初心者すぎて浮いたらどうしよう……」という不安は、走り出す前に消え去りました。想像以上にオープンでウェルカムでグッドバイブス!

おしゃべりしているランナー同士は固まっていたり、間隔をあけてゆっくり走る人がいたり。自由な空気感です
自己紹介タイムを終え、9:20頃から走り出します。往路は代々木公園からキャットストリートを抜けて千駄ヶ谷方面へ、目指すは国立競技場。一般の歩行者の方の迷惑にならないよう、2列で走るようにというアナウンスのもと、ゆっくりスタートです。
団体でのランニングなので、皆のペースに合わせないと!と思っていたのですが、実際は思った以上に自分のペースで走れました。列が長い&街中を走るので、止まることもあるし、抜いてもらうこともできる。そして一番いいなと思ったのが「大丈夫?」「頑張れ!」などの声掛けがないこと。
初心者ランナーの私としては、気を遣われることが一番キツいし、気まずい。「大丈夫?」と言われると、「心配かけてしまっているから、もっとペース上げなきゃかな?!」と思ってしまいます。けれどこのコミュニティの目的は、あくまでも楽しむこと。だからそれぞれが「気持ちいい!」と思えるペースで走るだけなので、お互いのランスタイルに干渉しすぎないのです。
みんなで走ってはいるけれど、ランナー同士の距離の詰め方は人それぞれ。近くを走っている人と「いい天気ですね!」「結構キツいですね(笑)」などと言葉を交わすこともあれば、黙々と走ることもある。知らない人同士だからこその、付かず離れずな距離感が心地よかったです。

国立競技場での集合写真撮影後、ゆっくりと走り出します
そうこうしているうちに、折り返し地点の国立競技場に到着。集合写真を撮ったり、水分補給をしたり、束の間の休憩を取ったら原宿駅へ向かって復路がスタート。
正直後半は、少し辛かったです(笑)。普段5キロも走ることがないので「ここからは未知数だ。どうしても無理なら、途中で抜けられるのかな」という考えが頭をよぎります。けれどどうやら、キツくなっているのは私だけではない様子。途中で歩いている人もチラホラ出始めて、私も遠慮なく歩いていました。そしてまた走れそうになったら走り出す! その繰り返しです。
とはいえ、途中で離脱している方もいました。あくまでも自由参加で、ランニングを楽しむことが目的だから、走り続けるのが難しくなったら抜けてしまっても大丈夫。「絶対に完走!!」と自分を追い込みすぎず、ゆるく楽しく、自分が心地よい範囲で走るのが一番です。

土曜倶楽部でのランニングを、GARMIN(ガーミン)の時計で記録していました。約5kmを46分ほどで完走!
途中はどうなることやらと思いましたが、無事にゴールの原宿駅前に辿り着きました! 私は最後の方だったのですが、到着すると先に走り終えたランナーたちによるハイタッチ花道が! 「お疲れ様!」「ナイスラン!」とお互いを労い合いながらするハイタッチは、心身に沁みました。
ランニングの後は、代々木公園内でのアフターパーティならぬ、アフターピクニックもあるそう。私は都合がつかず参加できなかったのですが、それぞれドリンクやパン、おにぎりなどを持ち寄って気楽におしゃべりするのだとか。サクッとランニングするだけでもよし、せっかくのご縁だからとピクニックで仲を深めるもよし。この自由さ加減もちょうどいいですよね。
次は私も、ピクニックまで参加してみたいなと思います!
2. 月曜日の夜ランで、1週間の好スタートを切る【080TOKYO】
続いて、月曜日の夜に集まるランコミュニティ「080TOKYO」にも参加しました! 毎週月曜日の夜、8:10に同じく代々木公園の原宿門前時計塔に集合。こちらは代々木公園からキャットストリートを通り、センター街を抜けて公園通りから代々木公園に戻るルートで走ります。
当日は1日中外で仕事をしていたので、自宅からランウェアでは行けず。とはいえ原宿駅周辺で着替えるのは難しそうと思っていたので、スパッツやスポブラ、速乾性Tシャツなどを洋服の下に仕込んでいました。
原宿駅では駅構内のコインロッカーに仕事の荷物と一緒に、脱いだ洋服を預け、身軽なランスタイルに変身! 原宿門前時計塔に向かいます。
この日は平日ということもあってか、周囲の人に聞かずとも「みんな080TOKYOに参加する人たちなんだな」となんとなく分かりました。が、声をかけやすい雰囲気なので、不安な場合は聞いてみるのがいいかなと思います!
ほぼ定刻通りに、主宰の方々から「準備体操しますよ〜!」というアナウンスが。全員で輪になって準備体操をして、その後初めて参加する人は自己申告制で軽い自己紹介(呼ばれたい名前だけでもOK!)。するとここでも、ドイツやアメリカ、台湾、韓国などの海外などから参加している方々もたくさんいらっしゃいました。
ざっと数えると、全体で100名くらい! かなりの大所帯だ……!とドキドキしていましたが、主宰者の方が「2列で走ること、一般の歩行者を驚かせてしまうような動きをしないこと」と街ランをする上での注意点を日本語と英語の両方でアナウンスしてくれていた&走っている間も必要な場合は声掛けをしてくれたので、安心しました。
平日夜の街は、土曜日の朝よりも混んでいます。帰宅する人たちもたくさんいる時間なので、邪魔にならないように気をつけつつランニング。人が多いということもあり、止まったりするため、ペースはゆっくりめ。初心者の私としては、ありがたいスピードでした。
いつも歩いている渋谷の街だけれど、ランウェアを着て走るのは初めて。なんだか新鮮で、日常と変わらない景色のはずなのに、非日常を感じました。一人ではこんな都会のど真ん中を走る勇気は出ないけれど、コミュニティでならできる。そんな特別感も魅力だな〜と思いました。
NHKの裏、代々木公園のケヤキ並木通りまで到着したら、もう後はラストスパート。すると一旦ここで集合したのち、コンクリートで舗装された公園内の太い一本道を全力ダッシュするというプチイベントが。私は疲れ始めていたのでゆっくりにしましたが、エネルギーのある皆さんはスタートダッシュかの如く、楽しそうに走っていました。
その後は公園の脇を通り、最初の集合場所、原宿門前時計塔に戻ります。後半は人通りがあまり多くないエリアだったので少しスピードが上がりましたが、マイペースでゆっくり走る人も多いし、そもそもが大所帯なので、気になりません。
ランナー同士のコミュニケーションに関しては、私の前後が海外から参加されている方だったこともあり、あまり取りませんでした! が、言葉は交わさなくても、お互いにケアし合っているような、目が合うとにっこり笑い合うような空気感が心地よかったです。
無事にゴールすると、ここでも「ナイスラン!」「お疲れ様」と、ハイタッチを交わしながら互いを労い合います。日常生活だとあまりないからこそ、声に出して目を合わせながら「お疲れ様」と言い合うのは、なんだか心に沁みますね。
【結論】初心者にこそ、ランコミュニティはいいかもしれない!
今回2つのコミュニティに参加してみて思ったのは、シンプルに「楽しい! 気持ちいい!」そして「また走りたいな」ということ。
走り切った達成感や、運動をした後ならではの爽快感は、噂に聞いていた通り。仕事のことで「あれどうしよう」「大丈夫かな」とモヤモヤしていた時期だったのですが、走り終わった頃には「まあなんとかなるか!」と気持ちが軽くなったことには驚きました。
加えて、休日の朝に走ったり、平日の仕事終わりに走ったりする行為自体が、いいことをしている気がして、気分がいいんですよね。「私、なんだかヘルシーな感じかも?!」と自己肯定感が上がり、それはそれでいいことだなと思いました。
そしてビギナーにこそ、決まった日時に集団で走るランコミュニティは向いているのでは、という実感も。「自分で自宅周辺を走ろう!」と思っても、また明日やればいいか、と後回しにしてしまう経験があり……結局半年に1回程度しか走らないのが私です。
けれど習い事のように日時と場所が決まっているランコミュニティは、「今日は行くぞ!」と準備するから後回しにしにくいし、集合場所に行くと「あれ! 久しぶり!」なんて仲間との再会もあったりして嬉しいんです。一人では走りきれない距離も、いい意味で周囲に飲み込まれて、あれよあれよとゴールできたり。集団だからこそのポジティブエナジーを享受できる気がしています。
土曜倶楽部と080TOKYOで走る中で、皆さんのランスタイルにも刺激を受け、早速ウェアを買い足してしまいました。また自分のタイミングで、ランコミュニティに参加して走りたいなとワクワクしています。