職人の手仕事を、アイパレットに

このパレットを見たとき、マダム・プージューのことを思い出しました。ドキュメンタリー映画「サイン・シャネル」に登場していた、生前のガブリエル シャネルを知る70代後半のブレード職人のことです。彼女の元には何人もの職人が送り込まれたものの、結局その技術を習得できた者はひとりもいなかったという逸話をもつ職人です。

私は、あの映画の主人公は彼女だと思っています。「限界なんて自分の決めるものだから」「私はこの技術を自分で作り上げたけれど、結局、代わりの効かない人間なんていないのよ。10年、50年後には新しい技を編み出す人が必ず出てくるのだから」「丸くなった背中は、費やした年月の証」、こんなことを口にしながら指先から生み出すブレードの緻密な美しさといったら。
シャネルのオートクチュールのアトリエを覗き込んだようなパレットには、今は亡きマダム・プージューの、職人技のかけらのようなものが刻まれています。圧倒的な眼福をもたらすアイシャドウは、その表面をなぞるのが惜しいほど。
オンブル ラメ ドゥ シャネル、伊勢丹新宿店にて数量限定発売中。値段は¥12,960(税込)、残りはごく僅かです。

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エディターIGARASHI

おしゃれスナップ、モデル連載コラム、美容専門誌などを経て現職。
趣味は相撲観戦、SPURおやつ部員。

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