2022.08.10

このみりん、どうかしている

どうかしてるくらい、美味しい。今までみりんと思っていたものはなんだったんだろう。

このみりん、どうかしているの画像_1
試飲会でまずいただいたのは、そのまま飲む「グラスみりん」。ちなみにアルコール度数は13~14%

ストレートで口にしたとき、衝撃が走りました。濃い。甘い。馥郁とした深みがあって、のどを越えてしまうのが、惜しくなる。このまま舌の上で永遠に遊ばせていたい。そのくらい美味しいみりんと出合ってしまいました。

このみりん、どうかしているの画像_2
愛の深い味醂 300ml \2,200/アムリターラ(2022年8月中旬発売予定)

お正月のお屠蘇としてみりんをいただく地域もあるそうです。みりんをグラスに注いで味わった経験はなかったのですが、この美味しさには大感激。これ、甘露酒としてイケるクチじゃないか……。お酒大好き人間の前に現れたスーパールーキー、その出会いに小躍りしたのは言うまでもありません。

このみりん、どうかしているの画像_3
高級酒として飲まれてきた歴史もあるみりん。滋養強壮、疲労回復としての働きも。こちらは愛の深い味醂に玄米黒酢とソーダ水、シークワーサーなど配合のアムリターラのサプリメント「スパイスフルビューティ」とミックスしたカクテル

純米本みりんの原料は、ごくシンプルなのです。もち米、米麹、米焼酎。もち米を蒸して米麹と焼酎と仕込みます。すると米麹から生成されるアミラーゼによって、米のデンプンが糖分に、タンパク質はアミノ酸などのうまみ成分に変わります。この醸造工程で、酵母やうまみはもろみとなり、ゆっくりじっくり、美味しさや味わいを深めていくのですが、私が普段口にしている大量生産のみりんは、そうではない。醸造工程を劇的にはしょり、「本みりん」と呼ばれるみりんでは出荷まで3か月、「みりん風調味料」に至っては発酵調味料や化学調味料などを盛大に調合してハイ販売っていうじゃないですか!

このみりん、どうかしているの画像_4
こちらは愛の深い味醂+レモン+生姜のすりおろし汁をソーダで割ったカクテル。真夏に効く1杯!

すべての工程に惜しみなく愛情が注がれています。ええ、もう変態級に。物語は愛知県碧南市の杉浦味醂で始まりました。大手メーカーによる安価なみりんが市場のシェアを占めるなかで、小さな味醂蔵は次々に姿を消していく。経営困難に陥るなか、三代目が蔵の2階で偶然見つけたのが、お祖父さんが残した秘伝のレシピ。100年前にしたためた古式三河仕込み純米味醂の調合を、現代に蘇らせることを彼は誓うのです。かつて祖父がこしらえ、「愛櫻」と名付けて売り歩いていたその看板を守るため、伝統的な製法を復刻させ、本来の味を取り戻す——そのためには、高価な原料を調達し、大量生産とは比べ物にならないくらい長い時間を発酵に費やさなくてはなりません。

このみりん、どうかしているの画像_5
愛の深い味醂に玄米黒酢、ブラックペッパーとベイリーフ、唐辛子でピクルスにした野菜。お酒のアテにも最高です

並大抵ではない努力を経て、今では超人気純米味醂を生み出す創り手として見事復活した「杉浦味醂」とアムリターラが手を組んだのが、このみりん。原料に熊本県産の緑米のもち米(ちなみにこちらも超ストイックな自然栽培で変態的に作られている原種米です)と米麹、本格焼酎を厳選。もろみには180日というあり得ないくらいの時間をかけ、昔ながらの圧搾機で丁寧に絞ります。そのあとの貯蔵熟成にも300日以上。つまり出荷まで1年以上かかっているんですよこのみりん!贅沢過ぎます。 

このみりん、どうかしているの画像_6
ちなみにお披露目会の場所は恵比寿のバー「オーディン」。店内には低速ジューサーが並ぶほか、ハーブが育つコンテナも。こだわりで勝負すれば、アムリターラに負けないバーです

古代米を使っているため、養分が豊富。お米がしっかり発酵分解しているので、香り立ちもとっても華やか。だから、ぜひたっぷりしたワイングラスで香りを回してから味わってほしいのです。甘みたっぷりなのに、糖質は同量で砂糖の約4割。血糖値を跳ね上げるGI値も砂糖が109なのに対し、15しかありません。血糖値が急激に上がりずらいのも、おとなには嬉しいメリット。

このみりん、どうかしているの画像_7
愛知県の「愛」、杉浦味醂の「愛櫻」の「愛」、そして長~~~いもろみにかける愛情深い工程の「愛」。三つの「愛」を込めてこの名前になりました。ホント、「愛」が深すぎます

「きれいは、おいしい」そのシンプルなことばが全てを物語っていると思うのです。口にしたものが、明日の自分になる。というわけで、頑張った夏の日の晩酌にお気に入りのグラスでチビチビといただくうちに、あっという間に飲み干してしまったんですね。料理に使う前に空瓶になっていた事実に愕然。ああ、あのみりんでピカピカのぶりの照り焼きを作りたい。味がしみしみにしみたカボチャの煮物を作りたい。発売は今月中旬。手間を惜しず、時間と愛情を注いで作られた宝石のようなみりんを、この手に再び掴むことができるのでしょうか。発売日、アムリターラの店舗に駆け込むアップを今から始めています。

エディターIGARASHIプロフィール画像
エディターIGARASHI

おしゃれスナップ、モデル連載コラム、美容専門誌などを経て現職。
趣味は相撲観戦、SPURおやつ部員。

記事一覧を見る

FEATURE