アカデミー賞に対するボイコットを提案したジェイダ・ピンケット・スミス。Photo: Getty Images
ゴールデングローブ賞授賞式の興奮が覚めやまない先週14日(現地時間)、ついに映画界で最も権威のある賞と言われる「アカデミー賞」のノミネートが発表されました。候補となった作品や俳優たちが発表されるや否や、監督や俳優という主要の賞に、黒人が含まれていないことへの批判がソーシャルメディア上で噴出。さらにはハッシュタグ“#OscarSoWhite(真っ白なオスカー)”がトレンドとなる事態に。
そんな事態に対してまず声を挙げたのが、2016年のアカデミー賞の司会者で、黒人コメディアンのクリス・ロック。自身のツイッターでアカデミー賞のPR動画を公開し、「The White BET Awards(白人版BETアワード)」というコメントをつけた(BETアワードとは、ブラック・エンターテインメント・テレビジョンの略。その年にエンターテインメント界で大きな活躍を見せたアフリカ系やラテン系など、マイノリティの人々に対して贈られる文化賞)。
さらに、アカデミー賞の有力候補を言われながらもノミネートから外れた俳優ウィル・スミスの妻、ジェイダ・ピンケット・スミスも、Facebookで声明を発表。「肌に色がある人々は、芸術的な成果を認められることが少ない。我々は全員、式典に参加するのをやめるべきかしら? 深い失望感の中で、敬意を込めて,J」と、怒りを露にしながら、ボイコットを呼びかけました。
しかしながら現在白熱する大統領選では、過激な差別発言を繰り返している共和党候補者のドナルド・トランプが支持率をグングン伸ばしている状況下。差別を批判する人と共鳴する人が共存し一国の中で戦う姿がこれほど明確に見えるのも、「人種の坩堝」と言われるアメリカならでは。その状況の正否は別として、弱者が立ち上がらなければ、始まらない「戦い」。以前から問題視されていましたが、日本はとても、弱者が立ち上がりにくい国。“お国柄”と言ってしまえばそれまでですが、犯罪の被害者に限らず、薬害被害、民族、性など、あらゆる分野で被害を受けている側が意見を発しにくい立場にいると感じているのは、私だけではないはず。現在のアメリカの姿から、日本が、そして日本人が学べることが大きいのではないでしょうか。(ライターA)