2016.11.29

「汚くて、ごめんなさい」。 #深夜のこっそり話 #507

先日、友人(男性)のデートに同席したときのこと。「焼肉を食べに行く」という魅力的な言葉に惹かれ、誘われてもいないのに自ら強引に参加。お相手は、佐々木希さんと満島ひかりさんを足して二で割ったような、正真正銘のべっぴんさん。

3人仲良く七輪を囲み、楽しく団欒していたとき。彼女の手に、意識を奪われました。華奢な身体&甘い顔立ちからは想像のつかない、大きな手を持つ彼女。指先はあかぎれで真っ赤に腫れ、関節の皮も剥がれてボロボロ、見ているだけでも痛々しい…。思わず「手、どうしたの?」と尋ねると、実家が経営する老舗料理店を手伝っており日々水仕事をしていた結果、手荒れが悪化してしまったとのこと。そして恥じるように手をさすりながら、こう発したのです。「汚くて、ごめんなさい」。

そんな言葉を聞いて、あんぐり開いた口が塞がらなくなった私。本来であれば愚痴のひとつやふたつ溢しても全然許されるであろうに、見ている相手を気遣って謝るだなんて…。その途端、先ほどまでプリンセスのように煌いていた彼女が、シンデレラへと変身。私の目に写るのは、美しさをエプロンで隠し、文句ひとつ言わずにせっせと家事をこなす健気な少女そのもの。友人へと目を向けると、彼もまた、感動モードにどっぷり浸ってる。

食事後ふたりと別れ、ひとり電車に揺られているときも、頭の中は「汚くて、ごめんなさい」の言葉でいっぱい。もし私が彼女の立場だったら、絶対にあんな言葉は出ないよな~、と。よく“内面の美しさが外見に滲み出る”なんていいますが、彼女の輝くような美しさもその謙虚さ故? 「美人で性格も良いなんて、どこをとっても勝てない…」と、女性としての完敗を認識。2017年という新たな年に向けて、目指すべき目標ができた気がします。(ライターA)