先日、波瑠さんと斉藤由貴さんが出演するNHKドラマ「お母さん、娘をやめていいですか?」の番宣を観ました。お母さん役を演じる斉藤さんが自身の役柄を「フリルのついた暴力」と表現されていて、そのキーワードにどきり。カンのいい方ならピン!とくるでしょうか。岡崎京子さんの名作『pink!』に出てきた名台詞です。
“彼女気取り”の女性が、“彼氏”不在の間に勝手に部屋に入り、頼んでもないのに、掃除、洗濯、炊事をして悦に浸っていたとき、“彼氏”が心のなかでつぶやいた言葉です。恩着せがましい、自分よがりの優しさをそのように例えていました。上のドラマでも、波瑠さん演じる娘の美月に対して、「みっちゃんのことはぜーんぶわかるの」と、娘の気持ちや意思はお構いなしに、これよかれと土足で踏み込む母。実の親子で、根っこはお互いを思い合ってるからこそ突き放すというシンプルな解決策がとれず。相手を思っての行動と、相手が喜ぶことは必ずしもイコールではないんだなと改めて実感。親しき仲にも礼儀ありとはよく言ったもので、大切にしたい人ほど傷つけてしまう人の性の危うさは誰しも秘めているかも知れません。そうならないよう、意識的に自らを見直さなくてはいけないですね。
さらに、女友だち同士の、フリルのついた暴力が飛び交うドラマ「ゴシップ・ガール」も懐かしく思い出しました。こちらは、フリルというよりスタッズのついた意図的なものも含まれますが。親友の定義を考えさせられた作品でした。
そんなことを思い『pink!』にはじまり、岡崎作品をよみふけってしまった3連休。オンタイムで読んでいた当時は割と主人公に感情移入していたのですが、時を経て見ると新たな視点も芽生え面白く読めました。今だと、敵キャラの気持ちも理解できます。昨今は電子書籍が充実しているので気になる作品をすぐ読み直せるも魅力。冬の長い夜は、10年、20年前に読んだ作品をリバイバル読書してみるのはいかがでしょうか。(エディターR)
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