先日、九州地方のとあるフレンチレストランを訪れたところ、最初の一品が白湯でした。聞けば、「名水百選」に選ばれているこの地域ならではの、“おいしい地産のもの”として、まず水を賞味して欲しいとの趣向でした。その水が流れる大地で育まれた野菜、その水を飲んでそだった牛のお肉や鶏が産む卵。水は、すべての“いのち”の源であります。もちろん、同じ水を使って出てくるこれからのコースの幕開けとして素晴らしい演出だと思いました。
たかが白湯、されど白湯。適温でだされたそれは口に含むとまろやかで、眼を閉じてのめばせせらぎが聞こえそうな、そんな“透明な味”さえしました。
あまりにも感激したので、家で再現しようと、ちょっと値の張る水を買って試してみましたがそのときの感激には3歩及ばず。空気や湿度も関係するのでしょうか。実際に現地で飲むという条件が必要なようです。それにしてもおいしかった白湯。ああ、あのSAYUをもう一杯、One More Cup of SAYU……♪。と、ボブ・ディランの歌を真似ながら思いを馳せる夜です。(エディターR)