伝説の子ども向け番組『テレタビーズ』とともに考える #深夜のこっそり話 #543

チェンマイから帰国してすぐさま、大掃除やら買い出しの手伝いでバタバタと過ごしていたとき。実家に入りきらない荷物を祖父母の家に保管しているのですが、祖母から「もう何年も使っていないのだから、いい加減、整理しなさい」と警告が。人生で最も苦手とすること=断捨離というほど、物を捨てることが苦手。開かずの間と化したクローゼットの中に大事に保管してあるもののなかに、テレタビーズのぬいぐるみがあります。

『テレタビーズ』はイギリスのBBCで1997年〜2001年の間に放映された、幼児向けテレビ番組。ずんぐりした体型がキュートなキャラクター4人(人という呼び方で合っているのかは不明)が、テレタビーランドという世界で、いろいろな遊びを繰り広げます。ちょうど20年前、小学生だった私は、父の仕事の関係で渡米したばかり。英語がわからず、年の離れた妹&弟に混じって、幼児向けの番組を観ていました。

そんな私の心を奪ったのが、登場キャラクターのユニークさ。年長で紫のティンキーウィンキーは男の子だけど、かわいいものが大好き。真っ赤なハンドバッグがお気に入りで、時にはチュチュを着ておめかし。2番目の年長者のディプシーは緑色で、唯一、茶色の肌の持ち主。4人の中でずば抜けた運動神経の持ち主で、ダンスが得意。3番目のティンキーウィンキーは黄色で、好奇心旺盛なおてんば娘。最年少の女子ポーは真っ赤な服のように気が強く、特技はカンフー。さらにスクーターをビュンビュン乗回す、スーパーライダー。

人種、性のステレオタイプ、LGBTを反映させたキャラクター設定は当時、大きな話題に。「子どもに悪影響だ」という保守的な意見に反し、ティンキーウィンキーがゲイの間で大人気になったりと、社会現象を起こす番組となりました。現在も世界が抱えるタブーを20年も前に、しかも幼児向け番組で取り上げていたのって、すごいことだなあ、としみじみ感動。

テレタビーランドのように、性別や人種の垣根を越えて安心して仲良く暮らし、好きなファッション・趣味を楽しむことができる世界こそが、世界が掲げるべき「新年の抱負」なのかも。連れて帰ってきたディプシー&ポーを枕元に飾り、そんなことに思いを馳せる三が日の夜でした。(ライターA)