香るマッチ、淑女のエチケット #深夜のこっそり話 #630

中学時代の英語の先生の事を時折思い出します。遥か彼方の記憶を、何を今さら思い返しているのかと言いますと、何よりエチケットに厳しく、イギリス育ちの先生の話が面白かったのです。先生は、「カレーライスをキレイに食べる人になりなさい。お皿を汚さないように、ライスをルーに寄せながら食べるのよ」とか、「静まりかえるお葬式で笑いそうになったら…」など、独自の視点でオリジナリティ豊かなアイディアをいろいろと教えてくださいました。

 ある時はお化粧室(トイレ)の話になりました。「外出する際はアイロンのかかった清潔な美しいハンカチとマッチを持ち歩く事。ライターじゃだめです」。そして先生は続けます。「訪問先のお手洗いで大きい方をした後には、出る前にマッチを1本すると消臭され空気が変わり、次の方が心地よく使えます」と伝授。「中学生にマッチを持ち歩かせるの? 補導されちゃうよね」と笑っていました。そんな話をしてくれた事をすっかり忘れていたのですが、代官山に初上陸した、1803年パリで創業した総合美容薬局オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーに置かれた香るマッチを見つけて、脳内にそのフレーズがプレイバックしました。「こ、これだ! こんな素敵なものがあるなんて…」と見入っていまいました。木製の芯棒に香液を浸して作られたフレグランスマッチ。これぞ、淑女の世界です。

 フランスからオーナー夫妻が日本に移住してオープンさせたこだわりの店内はまさに大人のアトリエ。一歩足を踏み入れたとたん、世界が変わります。種類豊富なフレグランスや植物オイル、石鹸、スクラブ、フェイスやハンドクリームと並ぶ中、フレグランスマッチが販売されています。

 興味深く眺めていると1本すってくださいました。一般のマッチの炭っぽさとは違い、ほのかに香る良い匂い。これは淑女の第一歩として持ち歩きたい。スプレー式や液体の消臭剤とは違う、香るマッチを携帯してみてはいかがでしょう。自分のためではなく、他の誰かのために、さりげなく香らせる、心地よくする気持ちを持ちたいものです。もちろん、夜のリラックスタイムのキャンドルを灯すのにも最適。静かな夜と優しい香りの序曲がはじまります。(エディターT

オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー
住所:東京都渋谷区恵比寿西1-25-9 B1
0120-09-1803
営業:11:00~20:00

衣類のエチケットも大切!1日の終わりにシュッ>

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