メローな夏の終わりに行きたくなる場所と、開きたくなる写真集 #深夜のこっそり話 #784

9月ですね。大人になってサーフィンを始めてから、夏の終わりと秋の始まりがせめぎ合う今の時季がいちばん好きです。

 海の家が撤収されていつもの姿に戻り、色も音もトーンダウンするビーチ。柔らかな光に照らされて、控えめにチラチラと光る波頭。「あぁ、今年の夏も終わりだねぇ」と、少し感傷的な気分に浸りながら眺める、ピンクの朝焼けもオレンジの夕陽もたまりません。夏休みも敢えて9月に取り、シーズンオフのリゾート地に行くこともしばしば。そこに集う人々が醸し出す、メローな空気感も居心地が良いのです。

 毎年そんな季節になると、開きたくなる写真集があります。2003年に出版された、写真家・横山泰介さんの「surfers ~ many many classic moments」です。ご自身もサーファーである横山さんが30年間撮りためた、サーファーのポートレート集で、ケリー・スレーターやロブ・マチャドといったサーフィン界のスターから、木村拓哉や坂口憲二などのタレントまで、様々な分野で活躍するサーファーたちの、穏やかで無防備な表情が収められています。

 ここに切り取られたピュアな一瞬は、夏の終わりの刹那的な美しさにも似ているようで。波乗りをしてもしなくても、9月の海のセンチメンタルに共感してくださる方ならきっと、きゅん、とするはず。今年7月には、1集の後の15年間で撮影されたものをまとめた第2集「surfers~on their pure stoke」も発売になりました。こちらには東京オリンピックで活躍しそうな若手ライダーの姿も。ゆく夏を惜しみながら、今宵もページをめくりたいと思います。(エディターY)

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